石から出た煙はやがて集まり一つの物体を作り上げていく。
「なんだ、なんだ?」
「なんですか、あれは?」
ジルとマルクは何が起こっているのか分からず
混乱していた。
「早く、逃げて。」
レナはその正体が分かっているらしく恐怖の表情を
浮かべジルとマルクに向かって言った。
「何言ってんだよ、きれいなねーちゃん。
俺はあいつを倒すためにわざわざ来たんだぜ。」
ジルはカルトルを指差して言った。
「ふははは。甦るぞ、古の魔獣『ラクシャーサ』が。」
カルトルはジルたちを無視し喜び震えていた。
煙だったものは4本足に人型の上半身をした大きなモンスター
へと姿を変えた。その顔はまさに鬼のようで全身から
鋭い爪や牙が突き出していた。
甦ったばかりのラクシャーサは、
手を握ったり開いたりを目で見て
じっくりと自分の体の動きの感触を確認していた。
「これは...。」
ジルとマルクはあっけにとられている。
「もう終わりよ。」
レナは顔を手で覆い、現実から目を逸らしたくなった。
「さあ、行け。ラクシャーサよ。人間どもに地獄を
見せてやれ。」
カルトルがジルやレナたちを指差して言った。
「うるさい、俺に指図をするな。」
ぐしゃ。
カルトルの頭部がラクシャーサの手によって握り潰された。
「え。」
それを見ていた3人は驚きを隠せなかった。
「俺をつまらん石に封印しやがって。人間どもめ、許さん。
皆殺しにしてやる。」
ラクシャーサは怒りで自分の手を強く握り締めた。
そして視界に入った3人を見て激しく睨みつけた。
「あなたたちは早く逃げて。」
レナは自分を犠牲に2人を逃がす覚悟をした。
「あなたはどうするんですか?」
マルクがレナに尋ねた。
「私はこの国の王女。どんなことがあろうとも国民を
放って逃げる訳にはいきません。」
レナがそう答えるとすぐにジルが、
「おい勝手に決めるなよ。なんで敵が目の前にいるのに
逃げなきゃいけないんだ?倒せばいいんだよ。」
と言って剣を構えると一直線にラクシャーサに向かって
いった。
「(よし、いける。)」
ジルはラクシャーサに素早く斬りかかった。
パキン。
「げ、うそ。」
ジルの剣がラクシャーサの腕に当たった瞬間にあっさりと
折れてしまった。ショックを受け動きの止まったジルを
ラクシャーサはその手の鋭い爪で切り裂いた。
「うぎゃぁぁ。」
ジルの腹から血を流し大きなダメージを受けて倒れた。
さらにラクシャーサはジルにとどめを刺そうと腕を振り上げ
爪をジルの心臓目掛けて突き刺そうとした。