魔道連盟本部では、最高司祭ネルフを始め五大司祭が皆集まっていた。
そこでネルフが口を開く。
「我々が今まで苦労して追ってきたキュリオンの居場所、正体がついに
判明した。」
「本当ですか!?」
メンデルは目を丸くして驚く。
「ああ、しかもこんな身近にいてたとはな。盲点だった。
分かったきっかけはほんの偶然だったのだが、その正体は
このサンアルテリア王国、政界の大御所、ゴア=ウェルズ。」
D=クラプターは議会の席に着いていた。
「ではこれより、議会を開きます。」
中央、奥に座る議長が開会の言葉を発する。
そこで、D=クラプターは手を上げる。
「私は昨今の我が国の問題を解決するための特別チームの結成を
行いたい。ここで結成に関する決議を取りたいと思います。」
ここで、また一人手が上がる。それは白鬚を生やした男だった。
「はい、ゴア君。」
議長が指名する。
「はい。私はD=クラプター首相の決議の前に首相に対する
不信任決議案を提出します。」
その声はある夜、『ヘルヘブン』のギーグと会話していたものと
同じだった。
「何!!」
D=クラプターは驚きの表情を隠せない。
「分かりました。では、これよりD=クラプター首相に対する
不信任決議案の採決を行います。賛成の者は挙手をお願いします。」
議長は淡々とした口調で話を進める。
議場の議員たちのほとんどが手を上げた。わずかに手を上げなかったものも
視線を落とし、D=クラプターとは誰も目を合わせなかった。
「数えるまでもありませんね。では、多数決を持ってD=クラプターの首相の職
を辞すことを決定します。」
「そんなバカな。ゴア議員。あなたはこれまで議会運営において
私に協力してくれたじゃないか。なぜ今になってこんなことを...。」
D=クラプターの問いにゴアは冷たい視線を向ける。
「まだ分からないのか?君はもう用済みということだよ、D=クラプター。
そして、首相の後任はもう決まっている。来たまえ。」
ゴアがそう言って手をパンパンと軽くたたくと、やってきたのは正装のシドだった。
「紹介しよう。次期首相となるシド君だ。」
ゴアの紹介に合わせてシドは軽く頭を下げる。
「誰だ。そんな奴俺は知らないぞ。」
D=クラプターは取り乱して言う。
「ここで長年政治に携わってきた私が言おう。このシド君は首相にふさわしい
仕事をしてくれるだろう。どうかな、諸君?」
先ほどD=クラプターの不信任決議案に賛成した議員は皆答えるように拍手を
送った。
「う、嘘だ!私はこれまでこの国の為に考え行動してきた。それなのに...」
「もういいだろう。おい、警備員。そいつをつまみ出せ。」
ゴアがそう言うと、警備員が2人、D=クラプターの横にやってきて力づくで
議場から締め出した。
D=クラプターの電撃解任の話はすぐに魔道連盟へも届いた。
「一歩遅かったか。この国の政治を乗っ取られた状況では、すぐにキュリオン(=ゴア)を
捕えるということは現時点では不可能となった。打開策を早急に考える必要が
あるな。」
五大司祭は頭を悩ますこととなった。
ヴェロニス連邦共和国で。
「な、何なんですか?!」
驚くエミルの前には護衛兵を串刺しにして現れた
血まみれたギルガメッシュの姿があった。
「そこの席をどいてもらおうか。」
ギルガメッシュは不敵な笑みを浮かべる。
「それはどういう意味ですか?」
エミルは現状の理解をしようとする。
「俺がお前に代わってこの国を支配してやるってことだよ。」
「そ、そんなこと...。」
とエミルが喋ろうとしたとき、ギルガメッシュが割って入る。
「さ、分かったらさっさとどきな。」
ギルガメッシュの後ろから2人、甲冑で覆われた兵士が現れてエミルを取り押さえる。
「そいつを牢屋にでもぶち込んどけ。」
ギルガメッシュが2人の兵士に命令するとエミルを力づくで連れていった。
「ふはは。まさかまた王の座に着くことになるとはな。」
ギルガメッシュはエミルが座っていた椅子に座り高笑いをしていた。
エトールにて。
「きゃあぁぁぁ!!」
突然、街中に魔獣が1体現れる。
兵士達が出てきて包囲するも、その魔獣は兵士達を自身の爪で
紙くずのように切り裂いていく。
その魔獣は城内、王女レナのいる玉座まで足を踏み入れた。
レナは状況を理解し、座っていた椅子から立ち上がった。
「我が名はラボス。『ヘルヘブン』の実行部隊『アビスメーツ』の1体。
これよりこの国及びこの大陸は我が支配下とする。」
魔獣はレナにそう宣言した。
「あなたが、どれほどの存在か私は知りません。しかし、私はここで
素直にどうぞとあなたに同意することは出来ません。」
レナは魔獣ラボスに毅然と向かい合う。
「ならば死ぬがよい。」
ラボスはレナの腹を爪で突き刺す。
「ぐはぁっ。」
レナは口からも血を吐き、その場に倒れた。
「グォォォォオオオオオ!!」
ラボスは顔を天に向け、吠え叫んだ。