dark legend   作:mathto

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「え、でもここには国と呼ばれるような集まりはないよ。制圧のしようが

ないと思うけど。」

「『アビスメーツ』のメンバーにはそれぞれ特別な力を持っている者が

多いの。私にもそれがあって、『マナ』と呼ばれる力なんだけど...。」

イーシャの説明にルービンはよく分からず、首をかしげて聞いていた。

「自然を操るというのかしら、超自然的な力なのよ。」

「う~ん。」

ルービンはイーシャの説明をうまく理解出来ないでいた。

「分かりやすく、力を見せてあげますね。」

そう言うと、イーシャは目を閉じて両手を胸の前で空気を挟むように

向き合わせる。

すると手の間に光の玉が現れる。そこからさらに光が放たれ、ルービンに

向けられる。ルービンは光に包まれるとすぐにビュンっと姿が消えた。

「このように自然の力を持った精霊を一時的に消すことも

私が精霊の力を使うことも出来たりって、姿が消えたら私の説明も

聞けませんね。フフフ。」

イーシャは涼しげな笑みを浮かべていた。

 

「!?」

「どうした、マルク?」

ジルはマルクの様子がおかしいので尋ねた。

「はい。私は風の精霊ルービンと仲良くなり、その加護を受けていたのです。

本来よりも少し強い魔法が使えるようなことで、要はステータスの

底上げです。それが、今突然感じられなくなったのです。」

「ってことは?」

「おそらく、ルービンに何かがあったということでしょう。」

「それは、心配だな。早く見に行かないとな。」

「そうなのですが、今のこの国、いや世界の状況を見るとすぐに

動いていいものか悩みどころですね。」

「確かにね。いきなり首相が変わったり、ヴェロニスとエトールが

訳の分からない奴やモンスターに乗っ取られたって話だしね。」

メアリーが話に割って入る。

「う~ん、そうだな。俺たち世の中についていけてないって感があるよな。

ここは我慢してもう少し状況をここで把握してからの方がいいってことだな。」

「はい。」

ジルたちはもう少しの間、様子を見ることにした。

 

サンアルテリア王国議会にて。

ゴアが手を挙げて発言していた。

「あぁ、我が国の中にある魔道連盟についてなのだが...。」

他の議員がゴアに注目する。

「解散をさせるべきだと思う。」

ゴアの発言に他の議員たちはざわついていた。

そこで一人の議員が手を挙げる。

 

 

 

「はい、エリック議員。」

議長が名前を呼び、発言を促す。

「ゴア議員。お言葉ですが、魔道連盟の我が国における平和維持、

問題解決についての貢献は相当なものです。それを解散させるとは

どういうことですか?」

他の議員も同意見の者がいるのか、うんうんと頷いている者もいた。

ゴアは手を挙げる。

「はい、ゴア議員。」

議長はゴアに発言を促す。

「確かにこれまでの魔道連盟の功績は輝かしいものだ。しかし、

いい組織が永久にいい組織であるとは限らない。どうも最近は

この議会、政治に干渉しようという動きを見せている。この

素晴らしき民主主義の国に一部の力を持った魔導士が影響を

与えようとしている。これはとんでもないことだ。これを主導する

5大司祭については拘束し、事情を詳しく調べなければならない

と考えている。」

ゴアの説明にこの場にいた議員たちはほとんどが納得し、

話はゴアの思うように進むこととなる。

この議会での動きはすぐに魔道連盟へも伝わることとなる。

一人の若い魔導士が魔道連盟本部の中を駆けていた。

そして、5大司祭が集まる部屋の扉をバタンと開ける。

「ネルフ様、大変です。議会がこの魔道連盟を解散に追い込み、

5大司祭を捕えようとしています。」

伝達に来たその若い魔導士は息をハァハァと切れ切れになりながら、

ネルフへ一大事を伝えた。

「何!?キュリオンめ、早速仕掛けてきたか。逆らって治安隊等と

ぶつかれば無関係な者に被害が出てしまう。ここは他の魔導士達は我々の

言いなりになっていたという風にして出来るだけ安全な場所に避難させ、

我々5大司祭はどこかに隠れ蓑を作って潜むことにするのが、比較的

無難な策だろう。」

他の4司祭もネルフの意見に頷いた。

 

ギルガメッシュ、ラボスらは国を占領した後は基本的に従来のやり方を踏襲し

既存の制度、機関をそのまま利用することで国民が過剰に混乱することを防いだ。

その上で徐々に制度に手を入れ、少しずつ情勢は悪いものへと変化していく。

犯罪者への罰則を緩めることで犯罪率は上がり、治安が悪化、社会不安が

高まり、生産性は下落していく。

 

シドとキュリオンが部屋で向かい合っていた。

「ギルガメッシュはともかくラボスが王の座でじっと出来るというのは

意外だな。」

シドはふと呟く。

「よく分かっていないな。あの方が与えた殻はそういう役割を演じる

ように作られたものだ。」

「なるほど。そういうことか。で、魔道連盟の動きは想定済みでいいのか?」

「あぁ、5大司祭が一時的に身を隠したが直に現れるだろう。

我らの排除を狙って。」

キュリオンは不敵な笑みを浮かべた。

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