ネルフは話を続ける。
「それでは、戦いについてどういう方法をとるかに移る。
まず、各地を支配している者を集中的に各個撃破する方法。
こちらの戦力が相手を上回る可能性が高く最初はスムーズに
事が進むと思える。しかし、若干の時間差は生じその間敵が
こちらへの対応策を立てたり罠を張ったりするという危険性が
デメリットとなる。もう一つはこちらの戦力を振り分け、
同時にすべての敵を叩く方法。それならば相手に対策や罠を作る
スキを与えずあわよくば奇襲にもなる。こちらの戦力を分散
させること自体はデメリットにはなるが...。」
「なるほどな。要は戦力を集中させるか分散させるかってこと
だな。しかし、この大所帯で戦力を集中させて力を出し切れるかって
いうと疑問があるよな。」
「確かにそうじゃ。チームワークがよければ個々の力以上の強さを
出すこともあるが、ここにいる全員となると難しいものがあるな。」
「て、ことは分散させるって方法で決定だな。」
ジルの決定にその場にいる全員が頷いた。
「後は、誰がどこへ行くかってことだな...。」
これより全員による話し合いが始まる。
街中を歩くシドとキュリオン。
「ん!?」
シドが何かに気付く。
次の瞬間。
ガンッ!!!
突如現れたカフィールが自身の巨大な神剣エクシードでシドに斬りかかったが、
シドは一瞬で剣を手にしてそれを受けた。
「これはとんだ挨拶だな。」
シドがそう言うと、カフィールは一旦離れた。
「一撃で決まれば幸運だったがなかなかそううまくはいかないか。」
「この街中でやる気か?」
シドが問う。
「まさか。こんな人の密集したところで戦えば、周りに被害が出るのは
分かりきっている。」
カフィールはそう言うと、構えを解き剣をしまう。
それを見てシドも同じく剣をしまった。
「今日は確認しに来ただけだ。敵がどの程度の力を持っているかをな。」
「それで、どうだった?」
シドはカフィールに尋ねる。
「あの一撃を防いだ時点で相当な力を持っているのは容易に分かる。
思っていた通り一筋縄ではいかないようだな。しかし、次に会うときは
必ず仕留める。」
カフィールは力を込めて言った。
「そうか。こちらも楽しみにしておこう。」
そうして、カフィールはシドとキュリオンの前から立ち去った。
「カフィールか。おもしろい男だな。」
シドは僅かに笑みを浮かべていた。
シドたちの前から去ったカフィール。
カフィールはふと空を見上げる。
ドスンッ!
空から落ちてきたのは赤い甲冑を身に纏った竜騎士ゼムルだった。
ゼムルは気を失っていた。
「おい、大丈夫か?」
カフィールはゼムルに駆け寄り、声をかける。
「傷は大したことはないようだが...。」
カフィールは自分の借りている宿にゼムルを連れていく。
「う、うぅ。」
ゼムルは目を覚ます。
「目が覚めたか?」
カフィールが傍で座ったまま声をかける。
「俺は一体...。」
「何があったかは知らんが、ここは一応安全な場所と思ってもらって
構わない。」
「そうだ。俺は故郷から逃れてきたんだ。」
ゼムルはふと思い出す。
「訳ありか。」
「俺はあのギーグを倒さねばならん。組織『ヘルヘブン』の一味
『アビスメーツ』のギーグを。」
「何!」
カフィールはゼムルの言葉に反応する。
「どういうことか詳しく話してくれないか?」
カフィールはゼムルに説明を求める。
ゼムルはカフィールにありのままを伝えた。
「そうか。それは気の毒だな。故郷を壊滅に追い込まれたとは。
しかし、ギーグの居場所は知らんな。他の『アビスメーツ』のメンバーは
世界各地を支配しているのだが...。それにそのギーグという男は
卑劣な魔導士だろう。お前の力がいかに強かろうとも敵の策略に
嵌められ返り討ちに遭うかもしれん。」
「それでも構わん。俺は危険でも戦わねばならない。」
「いや、待て。」
そこへエウドラがやってくる。
「お、お客さんか。」
「いいところに来たな。」
「いいところ?」
カフィールはエウドラに説明する。
「なるほどな。ギーグねぇ。俺は協力するのは構わんが、そちらさんは
それで構わないのか?一人で復讐を果たしたいんじゃないのか?」
エウドラの質問にゼムルは少し黙って考える。
「俺にとって『ヘルヘブン』は俺が信じる正義の為に倒すべき敵だ。
ゼムル、お前が『ヘルヘブン』の手の者を倒すというのなら喜んで
協力したい。このエウドラは俺と違って正義感といものは持ち合わせてはいない
が、信用出来る男だ。お互いの利害の一致の為に承諾してはくれないか?」
エウドラの質問で悩むゼムルに、カフィールはゼムルに説得するように言った。
「そうだな。せっかくの好意を無駄にするのは申し訳ない。私怨の為に
他人を巻き込むのは不本意だが、利害が一致するというのならこちらから
喜んでお願いしたい。」
「決まりだな。」
カフィールは満足そうな表情で言った。