dark legend   作:mathto

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バサァッ。

服を脱ぎ棄てたシドの姿が再び見えたとき、それは先ほどまでの

ものと随分違っていた。

「悪魔か?」

カフィールがそう問うほどに異質な物となっていた。

「悪魔、まぁ、似たようなものか。俺の真の名は冥界の王ルシファー。

死を司る番人なり。」

「ルシファーだと。」

カフィールは相手の強大さを肌で敏感に感じ、緊張感を高めていた。

「姿が変わったといっても先ほどのダメージは確実に残っている。

俺を仕留めるのなら今が最大のチャンスだぞ。」

ルシファーはカフィールに攻撃を誘う。

「(こいつの言うことに偽りはないだろうが、この見た目の変化は

ただのこけおどしではない。何か恐ろしい未知の力を

秘めているに違いない。ここは慎重に構えなければ危険だと本能が

訴えかけてくる。)」

「臆しているのか?ならば、こちらからいかしてもらおう。」

ルシファーは右手をカフィールに向け紫色の光が膨らむ。

その光は一気に前方へと放たれる。

「(それほど大した攻撃には見えないが...。何か仕掛けでもあるのか?)」

光はそれほど速くはなく、カフィールは警戒して避けようとした。

しかし、光は曲がりカフィールを追尾する。

カフィールは剣を以って光を切り裂こうとした。

「!?」

光は剣とぶつかった瞬間、放射状に分かれてカフィールに当たった。

「ぐっ!」

「『アストラル・カース・ウィドウ』。その名の通り対象に呪いをかける。力を下げ、

ダメージを与え続ける毒のようなものだ。聞こえは単純で貧相ではあるが、

普通の人間なら即死となるだろう。いくら小細工が効かないといっても

これが効かないということはないだろう。」

「なるほど。最大級の呪いか。これでも聖騎士の端くれ。多少の呪いや毒の

類は撥ねかえす自信があるのだが、これはそうはいかないようだ。」

カフィールは口から血を滲ませる。

「しかし。」

カフィールは体を奮い立たせる。

「これで諦めるようなことはない。」

カフィールは力を振り絞り剣を構える。

「本当に大したものだ。相当なダメージと苦痛を与えているはずだが、

まだ戦えるというのか。ならばこちらも応えねばならないな。」

ルシファーは右手に紫色の光を宿しそれを剣状へと変化させた。

「『アストラルソード』。」

カフィールとルシファーが再びぶつかる。

「(この光の剣。俺の剣にぶつけないところを見ると強度は低いのか。

しかし、今の状態で攻撃を受ければ致命傷になりかねんな。)」

カフィールはそう分析し警戒を続けながら闘い続ける。

 

 

 

「『この剣の特性。瞬時に見抜いているようだな。だが、それは

問題ではない。』」

ルシファーが考えているようにルシファーは自身の剣をカフィールの

剣とはぶつからないように気をつけながらも攻撃を続け、互角の勝負

を繰り広げ続ける。

「『いつまでも消耗戦を繰り広げるわけにはいかない。ここは狙いにいく。』」

カフィールは攻撃を続けながら、必殺の一撃を狙う。

「ここだ!」

カフィールは力を振り絞り、剣にオーラを宿す。

「『セラフ・スクライド』!」

カフィールの必殺の剣がルシファーを貫く。

「グフッ。」

ルシファーは口から青い血を吹き出す。

「やるな。敵ながら見事だった、ぞ...。」

ルシファーはそう言うと、姿が霧のように消えていった。

「はぁ、はぁ、はぁ...。」

カフィールの体力は既に限界を超えていて、もはやその場で立つことも出来ず

倒れてしまった。

「少し、休むか。」

 

 

サンアルテリア王国の街中にて。

ゼムルとギーグが向かい合っていた。

「とうとう会えたな。」

「あぁ、あの時の死にぞこないの竜騎士か。

遠距離恋愛の彼女にでも会った気分か?」

ギーグはふざけるように言う。

「俺にあるのはお前への復讐心のみ。もはやお前の戯言など

気にも触らぬ。」

「ふん、おもしろくないな。しかし、こんな街中でやり合うのか?

他人はどうなってもいいと。」

「それには、俺が答えよう。」

ゼムルのそばにいたエウドラがすっと前に出る。

「お前はエウドラ。」

ギーグは驚きの目で見る。

「ほぉ、俺のことを知っているか。こんな悪党にも知られているとは

光栄なことだ。なら、俺の力も知っているのかな。こいつを。」

エウドラは掌を上に向けてそこに黒い球体を出していた。

「『ディメンション・ボール』。」

エウドラが唱えると黒い球体から黒い霧が吹き出し辺り一帯を包み込む。

気付くと真っ黒な空間にゼムル、エウドラ、ギーグの3人だけがいた。

「これで何も気にせず戦えるだろう。」

エウドラは得意げに言う。

「そういことか。」

ギーグは納得して言った。

「では、早速いくぞ。」

ゼムルは槍を構え、ギーグに接近する。

ザシュ。

ゼムルの槍はギーグの腹を貫く。

「こんな簡単に...。」

グサッ。

「倒せたと思ったか?」

ゼムルの背後にギーグが立ち、伸ばした爪でゼムルの体を突き刺していた。

「マリオネットか。」

様子を見ていたエウドラは冷静に言った。

 

 

 

「こうもあっさり引っかかるとはな。おもしろいというより

少々がっかりといったところか。」

「ぐ。」

ゼムルの体は刺された部分から血を滲ませていた。

「この攻撃にはたっぷりと強力な毒を込めてある。竜すら倒せる

ほどのな。これでお前も終わりかな。」

ギーグはにやりとした。

「残念だったな。」

「?」

「今の俺に毒など効かん。今の俺は復讐心に燃え、精神状態は

通常とは全く違う。俺を毒程度で倒せると思うな。」

そう言うとゼムルはギーグの攻撃をはじき返す。

さらに攻撃してきたギーグに体を向け、槍を構える。

「いくぞ。『ドラゴニックシュート』。」

ゼムルの槍はギーグの胴体をすっぽりとえぐり取るように貫いた。

「ぐはっ。」

ギーグは緑の血を吐いてその場で倒れた。

「やったのか?」

エウドラはゼムルの勝利を確認しかける。

「フハハハハ。」

ギーグの笑い声が聞こえてくる。

ゼムルとエウドラは倒れているギーグの姿を見た後、辺りを見回す。

「俺には『ダークマター』という特殊な力がある。これにより

俺の実体は固体ではなく気体になっている。俺にとって肉体は

ただの入れ物にすぎん。これがどういうことか分かるか?

俺に負けはないといういことだ。いくぞ、『ダークシャワー』。」

黒い光がゼムルとエウドラに降り注ぎ、ダメージを与える。

「こいつはほんの小手調べだ。俺はこの空間を支配した。

お前らにはもう絶望しかない。」

ギーグは得意げに言う。

「この空間を支配した?何をほざいている?この空間は

俺のものだということが理解出来ないのか?このバカが。

いいだろう。お前のおかしいアタマ、俺が直してやる。」

エウドラは激しい怒りを感じ、感情を露わにする。

「『ディメンションスポット』。」

エウドラが呪文を唱えると、空中の一部分が霧状に白く光りだす。

「お前の居場所など俺にはすぐに照らしだせる。いけ、ゼムル。

こんな奴ごとき、さっさと葬り去れ。」

「あぁ、当然だ。」

ゼムルは既に力を溜めに溜めていた。

「滅びろ、『ドラゴニックテンペスト』。」

ゼムルは槍の柄を地面に突き立てると、空中で霧状になっているギーグの

真下から巨大な竜巻を発生させた。

「ぐぅうあああぁぁっぁああ!!」

ギーグは苦しみの叫び声を上げながらその姿は消滅させていった。

そして、エウドラは魔法を解き、2人は街中へと戻る。

「終わったな。」

「あぁ。エウドラ、お前の協力がなければ勝てなかっただろう。

本当に感謝する。」

「いや、勝てたのはお前の力だ。俺は舞台を用意したに過ぎない。

礼には及ばないよ。」

「そう言ってもらえるとありがたい。では、俺はこれで別れよう。

これから仲間の供養もしてやりたいしな。世話になった。」

「お前のような男は割と好きなタイプだ。これからも元気でな。」

こうして、ゼムルとエウドラは別れた。

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