dark legend   作:mathto

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ジルはラクシャーサによって命を奪われようとしていた。

「王女様、動けますか。」

「魔力は尽きてしまいましたが、体は大丈夫です。」

「それではジルを助けてもらえませんか?魔獣は

私がひきつけますから。」

「ええ、わかりました。」

マルクはジルのことをレナに頼むと

ラクシャーサに片手でぎりぎりもてるくらいの大きさの

石を力いっぱいぶつけた。

当てられたラクシャーサはマルク見た。

「先に死にたいらしいな。」

そう言うと口を開け炎を吐いた。

「ウインドガード。」

マルクは自分の前に魔法で風の壁を作った。

しかし強烈な炎を防ぎきることが出来ずマルクの体が

炎に包まれる。

「うわぁぁぁぁ!」

マルクは地面に転がりなんとか火を消したが、

あまりの火傷の苦痛に意識を失った。

「む、何をしている?」

ラクシャーサはジルの肩を持ち引きずりながら

運ぼうとしているレナに気づいた。

ビッ!

ラクシャーサは目から光線を出し、

レナの体を貫いた。

「きゃぁぁぁっ!」

レナはジルとともに地面に倒れた。

「う、うぅ。」

その倒れた衝撃でジルは意識を取り戻した。

「体中が痛え。あれ、どうなってるんだ?

お姫様が隣で血を流して倒れて、

マルクはどこだ?あっ、酷い火傷をしてるじゃないか。

お前が... 」

ジルは立ち上がりラクシャーサを睨んだ。

 

 

 

「まだ立ち上がれるとはな。俺の力も

ずいぶん落ちたもんだな。だが、安心しろ。

すぐに地獄へ連れてってやる。」」

ジルは怒りで深い傷口の痛みを忘れて、

近くに落ちていた自分の折れた剣を拾った。

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

ジルは我を失い吼えると同時に体が黒いオーラで

包まれた。そのオーラは折れた剣先を補うように

剣状に伸びていた。

「なんだ、その邪悪な闘気は。貴様は人間じゃ...」

「ぐおぉぉぉ!」

ジルはラクシャーサにものすごい勢いで斬りかかった。

ズバッ。

オーラの剣はラクシャーサの左腕を切り落とした。

「うぎゃぁぁ。」

苦しむラクシャーサの体にさらに剣を突き刺す。

この攻撃でラクシャーサのコアと呼ばれる人間の

心臓にあたる部分に亀裂が入った。

しかしそこでジルは体力を使い果たし力尽きた。

「はぁはぁ、手間取らせやがって。」

ようやく到着したカフィールは傷つき倒れている王女と

2人の少年を見て

「すでに犠牲者が出ていたか。まだ生きていればいいが。」

と呟き、一番近くにいたマルクの容態をよく見ようと近づいたとき

「まだ人間がいたか。人間はどいつもこいつも殺してやる。」

フラフラのラクシャーサがカフィールに向かっていった。

「どういうことだ、これは?」

魔獣を見るとすでに瀕死の状態であることに驚いた。

「すこし待ってろ。すぐ終わらせる。」

カフィールは剣を抜いて構えた。

「『ホーリーファング』。」

カフィールの剣は聖なる光を帯びて先ほどジルが突き刺した

個所に再び突き刺しコアを完全に破壊した。そしてコアを

失ったラクシャーサの体はボロボロと崩れ落ちた。


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