マルクは決意の表情を浮かべる。
「いえ、彼女をここで倒します。私に考えがあります。」
「そう。それならマルクに任せるわ。でも無理はしないでね。
ここで逃げたって恥ずかしいことじゃないし、私たちには
まだ頼れる仲間がいることを忘れないでね。」
「はい。メアリー、ありがとう。」
マルクはメアリーの言葉に一瞬笑顔になる。
「(相手の魔法は最上級のもの。それに対抗できるものは
ルービンに教わった私にとって最強の魔法になるもの。
今まで使ったことはありませんでしたが、ここはそれを
成功させるしかありません。)」
「何かとっておきがあるのかしら?でも私は私の最大の魔法で
攻撃するだけ。いくわね。『オーバーエレメンツ』!」
イーシャの周りに浮かんでいたすべての物がマルクとメアリーに
狙いを定めて飛ばされる。
「メンデル先生。ここは私の力を信じてみます。『パーフェクトストーム』!」
マルクは魔法を唱えると突然マルクとメアリーのいる場所を中心として
超巨大な嵐が発生する。それは周囲の物、イーシャからの攻撃をことごとく弾き飛ばし、
イーシャ自身への攻撃を可能にした。
「きゃあぁぁぁ!!」
イーシャに体が引きちぎれそうな痛みを与えられた。
やがて嵐は止み、先ほどまでとは一変した景色が広がっていた。
マルクとメアリーの立つ辺り一帯が木々や小動物など一切なくなり荒地へと
変わっていた。イーシャは先ほどの攻撃で倒れていた。
「...。」
マルクは持てる力を出し切り声も出ないほどの疲労を感じ、今にも倒れそうになっていた。
それをそっとメアリーは手を差し伸べ支えた。
「マルク、頑張ったわね。」
メアリーはやさしく言葉をかける。
一方、倒れているイーシャの傍にウンディーネが現れる。
「やばい!」
メアリーは慌てて剣を抜き、イーシャに近づく。
「回復はさせないわよ!」
ザシュッ。
メアリーはイーシャに剣を突き刺し止めを刺した。
ウンディーネは悲しむようにイーシャに寄り添う。
「今までありがとう、ウンディーネ。私は元々過去の人。それが現在に影響を
及ぼそうとしたのが間違いだったのかもしれないわね。マルク、メアリーとても強かったわ。
出来ることならその力をこれから正しい方向に使い続けてくれるとうれしいわ。
私は闘いに生きてきた訳ではないけれど、あなたたちと戦えたことは
よかったと思うわ。さようなら。」
イーシャはそう言うと、その姿を光の粒子のようになって消えていった。
ウンディーネもそれを確認した後、すっと姿を消した。
イーシャの姿が消えた後、ポンと風の精霊ルービンと地の精霊ノームが
姿を現した。
「やっと出てこれたよ。」
「ふぅ、冷や冷やしたわい。」
ルービンは手を上に挙げ、伸びをした。
「あ、精霊が出てきた。」
「おや、マルクだ。」
ルービンはマルクを見つけるとすぐに寄ってきた。
「すごいしんどそうだね。よし、ここは僕が。」
ルービンは右手を振り上げるとマルクに風の魔法をかける。
すると、マルクの疲れが少し取れた。
「ありがとう、ルービン。魔力は残ってないけど体力は
随分回復しました。」
「もしかして、マルクが僕たちを助けてくれたの?」
「まぁ、そういうことになりますね。」
「そうなんだ。お礼を言わないといけないのは僕らの方だったね。
ほら、ノームもお礼を言って。」
「うむ、助かったぞ。感謝する。」
ノームはぶっきらぼうではあるが、マルクに礼を言う。
「しかし、無事な姿を見ることが出来て本当によかったです。」
「そうね。ここはとりあえず解決ってことでいいのかしら?」
「はい。これからみんなのところに戻りましょう。」
マルクとメアリーは一路サンアルテリア王国へと戻ることにした。
ポートルに着いたジルは夜の街で待ち構えていた。
そこへゆっくりと人影が近づく。
「やはり君が来たか。」
暗がりの中、ジルの前に現れたのは大きな鎌を手にした死神ジョーカー
だった。
「ここでお前を倒す。」
「大した自信だね。何か策でも持っているのかな?」
ジョーカーは仮面の下でニヤリと笑う。
「あぁ。俺の剣『デイブレード』の力を見せてやる。
いくぞ、紫の剣『パープルアイズ』。」
ジルが剣を手にするとその名の通り刀身が紫色に変わる。さらに鍔に怪しい目が
浮かび上がり光った。
「その剣は魔剣か?」
ジョーカー僅かに警戒する。
するとジョーカーとジルとの間に白い煙が現れ出す。それはジョーカーが
ジルの姿を見失うほど広がっていった。
「(これは、剣の効果か?)」
「グォォオオ!!」
獣のような雄叫びと共にジルの剣がジョーカーを襲う。
ジョーカーはとっさに反応して、鎌でジルの剣を受ける。
「(何だ?この重い攻撃は?)」
ジルは攻撃をした後、一度下がり煙の中へ姿を消した。
ジョーカーは状況を把握出来ず、戸惑いを感じていた。
「(この僕が追い詰められている?一体あの剣の力は?)」
ジョーカーはジルの攻撃を受けながら考えを巡らしていた。