ここはヴェロニス共和国連邦、首都セントラルパレス。
かつてヴェロニス帝国皇帝が拠点としていた場所。
その中で政治、軍事の中枢を担っていたパレス城。
ジャックは盗賊の能力を使い忍び込むように侵入していた。
そして今、この国を支配するギルガメッシュがいる玉座の間で
対面した。
「コソ泥が俺の城を荒らしに来たか。」
ギルガメッシュは蔑むように言い放つ。
「只の略奪者が何を言う。」
ジャックは言い返す。
「確かに俺は略奪者ではあるが、過去の歴史から見て略奪者が
高貴な王族へと変わることはそうおかしなことではない。
王が皆、清廉潔白の神の如く振るまい王の座につくなどは
むしろ珍しい部類に入るだろう。」
「それは言えてるな。なら俺も悪役を倒してヒーローになること
もあるのかな。」
「はっはっは。笑わせるな、コソ泥。お前はここで死んで
誰の記憶にも残らない。それだけだ。」
「ほぉ、俺をただの泥棒扱いか。いいだろう、俺も最近盗賊業
ばかりでバトルの経験が随分と久しい。腕馴らしにちょうど
いいだろう。」
「そろそろお前との問答も飽きてきたな。いい加減本題に
移るぞ。ここは少し闘いには不向きでな。隣に大広間がある。
そこでやろう。」
2人は大広間へと移った。
「ここは以前、皇帝とジルが戦った場所だそうだ。この広さ
なら十分だろう。」
ギルガメッシュは両手に剣を構える。
「ああ、十分だ。」
ジャックは右手に3本のナイフを手にする。
「いくぞ。」
ジャックは素早く手にしたナイフをギルガメッシュに投げつける。
ギルガメッシュは両手の剣で簡単に薙ぎ払う。
「お前の力はこんなものか?」
「これはまだ準備運動でもない。これからペースアップしていく。」
ジャックは両手に5本ずつのナイフを手にする。
それらを一気にギルガメッシュ目掛けて投げつける。
ギルガメッシュはそれら全て剣で払い落とす。
「お前にはそれしか能がないのか。もういい。さっさと
お前の首を斬ることにしよう。」
ギルガメッシュは攻勢に移る。
ギルガメッシュの攻撃をジャックはことごとく避ける。
「く。身のこなしだけは大したものだな。だが、逃げ回っても俺には
勝てないぞ。」
「慌てるな、既にお前の抹殺のシナリオは出来上がっている。」
ジャックはニヤリとする。
次の瞬間、ジャックはギルガメッシュの目の前に立ち2本のナイフを持っていた。
「『ウェポンブレイカー』。」
ガシャンガシャーン!
ジャックは手にしたナイフをギルガメッシュの剣にぶつけると2人の武器は
破壊した。そこでジャックはさらに1本のナイフを手にする。
「『アーマーキラー』。」
今度はギルガメッシュの鎧にナイフを刺す。
ピキピキピキパリーン!
ナイフと共にギルガメッシュの鎧が破壊される。
「これでお前は裸の王様も同然だ。」
ジャックは1本のナイフをまた手にする。
「チェックメイ、...!?」
ガンッ。
ジャックがナイフを突き刺した先には先ほど壊したはずの鎧があった。
さらにギルガメッシュは両手に再び剣を手にしていた。
「く。」
ジャックは思わず後退する。
ザシュッ。
ギルガメッシュはジャックが遠ざかるよりも速く剣を振り、胸に×状に
浅くではあるが傷をつける。
「どういうことだ?」
ジャックは今の状況を理解出来なかった。
「フハハ。残念だったな。もう一歩といったところか。
解せないようだから、説明してやろう。俺には『アーク』という力がある。」
ギルガメッシュがそう言うと、部屋の景色が一変する。
古代の遺跡にある宮殿のようだった。
「この能力は一定範囲の空間を自分の思うままに作りだせるのだ。
このように部屋を自分の懐かしい場所に写し変えることも
さっきのように自分を武装させることも出来る。これは幻ではなく
確実な実体も持った状態でな。」
「なるほどな。理解したよ。」
ジャックは顔に汗を掻いていた。
「では、続きだ。」
ギルガメッシュはジャックの足元から柱をすごい勢いで出現させ攻撃する。
ジャックは寸でのところでかわすとまた次の柱が足元から出現する。
いたちごっこのように繰り返される攻撃にジャックは息を切らし始めた。
「相変わらず身のこなしだけは一流だな。」
ギルガメッシュは嘲笑うかのように言う。
「それじゃ、そろそろ全力でいくか。」
ジャックは柱の一つの上に立ち、ナイフを一本手にする。
それは今までのナイフとは形が違っていた。異質で禍々しさを放っていた。
「アサシンダガー。」
ヒュンッ。
ジャックの姿は突然消えたかと思うと次の瞬間、ギルガメッシュの目の前に現れ
既にギルガメッシュの首を切り離していた。
切り離されたギルガメッシュの胴体の首からは血が噴水のように噴き出していた。
ギルガメッシュの能力によって変わっていた景色は元に戻る。
「『シャドウフォビドュン』。俺の必殺技だ。身体を影に潜ませ高速移動し
敵の前に現れる。本気をだせば瞬間移動の域に達する。といっても
既に死んでるから説明しても意味はないだろうがな。」
倒れるギルガメッシュの体を背にジャックは去っていく。