dark legend   作:mathto

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「パティちゃん、何書いてるのかな?」

ただ落書きをしていると思ったジルがパティに尋ねる。

「魔法陣。...よし、できた。」

書き終わると杖を地面に突き立て魔法陣が光る。

「出でよ、ミニマン。」

ボワッン。

魔法陣の上に煙と共に大人の手の平位の小人が現れた。

「ミニマン、あいつをやっちゃって。」

パティがジルを指差すとミニマンは素早く動き

ジルの体にくっついた。

「な、なんだよ、こいつ。」

ジルが手でくっついたミニマンを引き剥がそうとした時、

ミニマンはジルをくすぐり始めた。

「うわはははは。ぎゃははは。く、くすぐったいよ。」

くすぐりはさらに激しくなっていく。

「はははは、もうだめ。勘弁して。」

「じゃあ、仲間にする?」

「ははは、いいよ...是非仲間になってください。」

「分かった。もういいよミニマン、ありがとう。」

使命を終えたミニマンはボンッと消えていった。

「はぁはぁ、死ぬかと思った。とんでもねぇな。この子は。」

くすがれて疲れたジルはパティに少し恐怖を覚えた。

「召喚士。パティちゃんは召喚士なんだね?」

マルクがパティに聞いた。

「うん、そうだよ。まだあの子しか呼び出せないけどね。」

「マルク、召喚士って?」

「召喚士っていうのはですね、簡単に言えば自分の魔力を使って

異世界からモンスターなどを呼び出すことが出来るんですよ。」

「それってすごいじゃん。パティちゃん、さっきは俺が悪かったよ。

改めて、これからよろしくな。」

「へへ、ありがとう。それから私のことパティって

呼び捨てでいいからね。」

こうして召喚士パティが仲間になった。

 

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん達の名前は?」

「そういえば私達の名前を言ってませんでしたね。

私はマルクでこっちがジル。仲間になったんだし

一応パティの両親に挨拶しておいた方が

いいですね。案内してくれますか?」

マルクがパティに尋ねる。

「いいよ、こっちこっち。」

パティに案内されパティの家の前へとへとやってきた。

「うち、ちょっと変わってるけど大丈夫?」

「変わってる?よく分からないけど大丈夫、大丈夫。」

「それじゃ、開けるね。」

そういってパティが戸を開けると、中は少し薄暗く

怪しげな儀式などに使いそうな置物などがたくさん置いていた。

「こ、これは...」

ジルとマルクは不安になった。

「ハンジャカ、ホンジャカ、ミトローネ...。」

奥のほうからなにやら不気味な呪文のような声がした。

「出よう。」

ジルが平静を装いながらみんなに言った。

マルクもパティも納得して同意した。

3人が家を出ようと扉に体を向けたとき、

「あら、いらっしゃい。」

奥の方から地味な黒いドレスに大きなつばのとんがり帽子を

かぶった女性が現れた。

「私のお母さんよ。」

パティが紹介する。

「こちらは?」

パティの母が尋ねる。

「こっちがジルで、こっちがマルク。仲間になったの。」

「それは、それは。この子のことよろしく頼みますね。」

「は、はい。」

ジルとマルクはパティの母に圧倒されている。

「そうだ。今日はここに泊まっていったらどうかしら?

ちょうど生トカゲの刺身を作ろうと思っていたところよ。」

「(ひぇぇぇ。)いえ、気持ちだけで十分です。」

そう言って急いでパティの家を出た。

「い、いいお母さんじゃないか。」

「ありがとう。お父さんはもっとすごいんだけど今は出かけてるのよ。」

「そうなんだ。ハハハ。(よかった、出かけてて)」

ジルとマルクは世の中危険がいっぱいであることを思い知らされた。


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