占い師ブランゼに占ってもらっているジル。
「で、どうなの?」
ジルはわくわくした表情でブランゼに尋ねる。
「ふむ、その子に負けないくらいの元気な女の子が見える。
歳はだいたいお前と同じくらいか。」
ブランゼはパティを指差しジルに言う。
「やったー!彼女できるんだ。どんな子?
かわいい?」
「そうじゃな、かなりの美人じゃと思うぞ。
まぁ好みは人それぞれじゃから一概には言えんがな。」
「よし、もう完璧じゃん。」
「はっはっは、よかったな。ん?なんじゃ、これは?」
ブランゼは水晶玉を覗き込む。
「どうかした?」
「いや、なにやら黒いものが映っておるのじゃが...。
ヒイィィィ。悪魔じゃ、とてつもない悪魔じゃ。」
ブランゼは恐怖の表情を浮かべる。
「どういうことだよ、一体?」
「わ、分からん。ただ言えることは悪魔がお主と何らかの
つながりがあるということだけじゃ。その悪魔は世界を
滅ぼす危険性がある。十分に気をつけるのじゃぞ。」
「気をつけろと言われてもなぁ。どうしたらいいんだろ?」
ブランゼの言葉に戸惑うジル。
「今は何もせんでいいよ。そのときがくれば分かることじゃ。
このことは記憶の片隅にでも置いておけばいい。」
「何だ、それを早く言ってよ。ずっとそのことで悩まなきゃ
いけないのかと思ったよ。ま、とにかくさ面白かったよ。
ありがとう、じゃあ。」
そう言ってジルは占いの館を後にした。マルクとパティも
続いて外へ出た。
「あのジルとやら、重い運命を背負っておるのかも知れんな。」
一人になったブランゼが呟いた。
「次はどこ行く?」
ジルがパティに話し掛ける。
「うーん、もう大体町の中は行き尽くしてるかなぁ。
あと行ってないのって露店くらいだけど、行く?」
パティはジルとマルクに尋ねる。
「もちろん、行きますよね。」
「ああ。」
こうして3人は露店が立ち並ぶ通りへと訪れた。
「いらっしゃい、いらっしゃい。」
何人もの露店の店員が声を張り上げている。
店も人通りも多く賑わっていた。
「本当にいろんな物が売ってますね。」
マルクは品物の種類の豊富さに驚いていた。
「みんなで欲しいものあったら買おうぜ。
まだ金残ってるだろ。3等分にしてさ。どう?」
「いいんじゃないですか。では...。」
そう言ってマルクが金の入った袋を取り出したとき、
パッ!
通りを歩いていた一人が突然マルクの手にあった袋を
奪って走り出した。
「あ、待て。この泥棒!」
ジルが走って追いかける。だが泥棒の足は以外と遅く、
あっさりとつかまった。
泥棒は小柄で茶色い布で全身を覆っていた。
「このやろう。正体を見せろ。」
ジルが泥棒を覆う布をめくって顔を確かめる。
そこに現れたのはパティと同じ年くらいの小太りの
少年だった。
「何だ、ガキかよ。ほら盗んだものを返せ。」
そう言ってジルは少年の手から盗まれた袋を取り返す。
「ガキとは失礼な。俺は勇者の子孫、ダニエル=シ―ルダー様だぞ!」
少年は少し怒りながら言った。