dark legend   作:mathto

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去っていくダニエルを見送るジルたち。

「なんだかなぁ。よく分からない奴だったな。」

ジルが呟く。

「それはこっちのセリフよ。何なのさっきのは。

謝らせて帰したらそれで終わりじゃないの?」

パティがジルに文句を言う。

「いやぁ、あんないい剣見たら誰だって欲しくなるだろ?

世界に1本しか存在しない伝説の聖剣だぜ。

それに結局とらなかったんだしもういいじゃん。」

ジルは誤魔化そうとする。

「『いいじゃん』ってねぇ、こういうことははっきりと...。」

マルクがパティの口を塞ぐ。

「ムグ...。」

「あんまり仲間で争いごとはやめましょうよ、ね、パティ。」

マルクはパティに優しく微笑みかける。

マルクのおかげでパティの気持ちがすっかり落ち着いた。

「そうだね。仲間は仲良くしないとね。

それにしてもさっきの奴もなんで泥棒なんかしたのかな?」

パティが疑問に思った。

「そんなの出来心ってやつだよ。若いんだからさよくあることだよ。

俺だって生まれ育った村ではかなり悪さしたもんだぜ。」

「ジルが言うと説得力がありますね。」

「納得。」

ジルの言葉にマルクとパティが頷く。

「それよりさ、もう腹減ってきたろ。どっか泊まるとこ探そうぜ。」

「あ、もうそんな時間ですか。そう言われたらもうすぐ日が

落ちそうですね。」

「じゃ、私の家は?」

「却下。」

「却下です。」

そして3人は手頃な宿屋を探しそこに泊まった。

 

 

 

「ふぁぁぁ、おはよう。」

パティがあくびをしながら目を覚ます。

「ゆっくり寝れた?」

傍に座っていたジルが話し掛ける。

「うん。昨日はいろいろあって疲れたけど

楽しかったよ。」

「それはよかったですね。まだ朝ご飯まで

時間はありますからゆっくりしてて下さいね。」

「あれ、マルクはもう出る準備出来てるの?」

パティはマルクが服を着てすでに荷物を

まとめているのに驚いた。

「ああ、マルクはいつも朝早いから気にしなくていいよ。」

「そういうことです。」

着替えなどをして穏やかな朝が過ぎていく。

 

「さて、朝飯も食ったしそろそろ行くか。」

3人は宿を出た。

「もうこの町は殆ど見尽くしましたよね。」

「そうだな。じゃ、次の町へ向かおうか。

パティ、場所とか分かる?」

「うん。カルコームの町だね。」

「どれくらいかかりそうですか?」

「歩いて半日くらいだよ、大丈夫?」

「いいよ、時間かかったって。のんびり行こうぜ。」

「それよりパティは本当にいいの?この町を出ても。

もしかしたらしばらくお母さんに会えないかもしれないよ。」

「うん、いいよ。だって別に一人じゃないから寂しくないもん。」

「まぁもし帰りたくなったらさ、いつでも帰れるように

したらいいんじゃないの。」

「それもそうですね。」

そうして3人はポートルを出て一路カルコーム

に向かって歩き出した。


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