dark legend   作:mathto

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カルコームの町へ向かうジル達3人。

「あっ、何か町らしきものが見えてきましたよ。」

「もうすぐだな。」

そう言って町へと近づく。

すると、

「何だよ、この匂いは。」

異様な匂いが町の方から流れ出ていた。

血の匂いと腐臭が混じりあったような匂いだった。

「何か嫌な予感がするな。」

3人の足が止まる。

「でも行くんでしょ?」

パティが尋ねる。

「俺が一足先に行って様子を見てくるよ。

マルクとパティはここら辺で待っといてくれよ。」

「分かりました。」

マルクはジルが一人で行くことに不安だったが頷いた。

「でも大丈夫?一人で行ったら危険かもしれないよ。」

パティは心配そうにジルを見つめる。

「バーカ、危険だから一人で行くんだよ。別に怪物を

倒しに行くわけじゃないんだ。もし本当に危なかったら

逃げてくるからさ。そんな心配すんなよ。」

ジルはマルクとパティの不安や心配を吹き飛ばすかのように

笑顔を作り、手を振って町の中へと向かった。

 

「うえっ、町の中は匂いがさらにきついな。

気持ち悪い。う、うえぇぇぇ。」

あまりの悪臭のきつさにジルは思わず吐いてしまった。

「死体があちこちに転がっている。匂いの原因はこれに

違いないが。一体どうしてこんなことに...。」

町の中は無残な血まみれの死体で溢れていて

暗く静かな雰囲気が町全体を覆っていた。

 

 

 

死体で溢れるカルコームにいるジル。

「おーい、誰かいないのか。いたら返事

してくれー。」

ジルは大きな声を張り上げてみたが返事は無かった。

「とりあえず建物の中も調べてみるか。

もしかしたら生きてる人がいるかもしれないし。」

家や店らしき建物を調べてみたがやはり生存者は

なく、あるのは死体だけだった。

「くそっ。ここには誰もいないのかよ。」

ジルは壁に拳をぶつけて悔しがる。

「おや、この町を訪れる者がいるとはね。」

ジルの後ろから誰かの声が聞こえた。

「生存者か!」

ジルは喜ぶ表情をして振り返った。

しかしそこにいたのは真っ黒のローブを纏い

道化師の面を被っていてその手には大きな鎌があった。

その姿はまさに死神そのものだった。

それを見たジルは険しい表情に一変した。

「誰だ、お前は?」

「人に名前を聞く前に自分から名乗ったらどうだい?」

「俺はジルだ。」

「ジルか、いい名前だ。僕はジョーカー=アズストロ。

人は僕のことを『死神』と呼ぶけどね。」

「(こいつ、かなり強い。こうして向き合ってるだけで

恐くて逃げたくなる。しかしそんな訳にはいかない。)

お前がこの町の人を殺したのか?」

ジルは全身が恐怖に包まれながらも声を絞り出した。

「そうだよ、退屈だったからねぇ。ただの暇つぶしさ。」

「人の命を何だと思ってるんだ。」

「くく、人間なんてほっとけばいくらでも増えるんだよ。

君も殺してあげようか?」

ジョーカーはゆっくりと歩きジルに近づいてきた。


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