dark legend   作:mathto

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ミッフェンにいるジル達3人。

「夜も遅くなってしまいましたね。町の人はもうみんな

寝てるでしょうね。」

「こうなったらドアを叩き壊してでも中に入ってやる。」

「ダメですよ。」

マルクは家のドアを蹴ろうとするジルを抑える。

「でもよう、見てみ。」

そういってジルが指差す先には、家の壁にもたれ掛かり

眠っているパティの姿があった。

「あ、いつの間に。ついさっきまで起きていたのに。」

「無理もねぇよ。この歳で今日のことは相当辛かった

はずだぜ。溜まった疲れが一気に出たんだろう。」

「でもこのままだと風邪をひいてしまいますよ。」

「だから無理にでもどこかで泊めてもらわないと

いけないんだろ。」

「分かりました。私も頑張りますよ。」

そして2人は一軒の家のドアを壊れそうなほど思い切り

叩いて中の人をよんだ。

ドンドン、ドンドン。

「誰かいませんか?お願いします、開けてください。」

寝てる人の迷惑になることも考えず必死に叫んだ。

「やめてくれー。命だけは、命だけは助けて。」

中から初めて女の人の声が聞こえた。

「何を言ってるんですか?私達は何もしませんよ。」

「え?切り裂き魔じゃないのか?」

「もちろん。」

「本当?まさか騙しているんじゃ...。」

「そんなことしませんって。」

「分かった。じゃあ開けるよ。」

中からカギが外され恐る恐るドアが開かれる。

 

 

 

家のドアがようやく開かれた。

中から出てきた中年の女性は警戒をしていたが

ジルとマルクは喜びの笑顔がもれた。

「よかった、やっと人に会えた。」

「あんた達こんな夜中に現れて何なんだい?

夜には切り裂き魔が出るっていうのに、

そんな小さい女の子も連れて。」

2人は女性にこの町に来てからのことを話した。

 

「えっ、切り裂き魔を倒した!?本当かい。

小さい子がいるんだ。早く家に入んな。」

ジルは眠っているパティを抱え、マルクといっしょに

家の中へと足を入れた。

パティは女性に用意されたベッドに寝かされた。

「さっきも聞いたけど、切り裂き魔を倒したってのは

本当なのかい?」

「もちろん。この爪が証拠だ。」

そう言ってジルは持っていた爪を見せる。

「そんなものしまっとくれ。しかしそれはよかった。

あいつが現れたのは最近のことなんだがね。

夜になると道を歩く人たちを誰それ構わず攻撃していくんだ。

そしてこの町の人はみな日が暮れるとビクビクしながら

家に閉じこもってたんだ。これで夜も安心して眠れる。

ありがとう。あんたたちも疲れてるだろ、ゆっくり休みなよ。

ベッドはもう空いてないけど毛布はいっぱいあるからさ。」

「ありがとうございます。」

2人は女性の世話になりようやく眠りにつくことが出来た。

「今日はホント疲れたよな。」

「ええ。でも親切な人に会えてよかったですね。」

「そうだな。さあ早く寝よ。」

2人は一言交えるとすぐに熟睡した。


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