dark legend   作:mathto

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「ん、んん。朝か。」

ジルが目をこすりながら起き上がる。

「ふぁぁぁ。おはようございます。」

マルクも続いて目覚める。

「お2人さん、間違ってるよ。もうお昼だよ。」

もうすっかり元気に動き出しているパティの姿があった。

「あ、パティ。もう起きてたのか...って昼!」

「やはり随分寝てしまいましたね。」

ジルとマルクは顔を洗ったりして出発の準備をした。

「それではお世話になりました。」

「ありがとう、おばさん。」

3人は礼を言って外へ出た。

外は明るく人通りもあり、昨夜の町とは一転していた。

「やっぱり町はこうで無くっちゃな。」

ジルの言葉にマルクとパティも頷く。

「ねぇ、さっそく情報を集めようよ。」

「そうだな。」

3人は聞き込みを始めた。

「あの―...。」

ジルが道行く人に声をかけたが無視して通り過ぎていった。

「すいませーん。」

「あ、ちょっと急いでるから。」

今度は断られた。

「もっと暇そうな人に聞いてみたら?」

パティが横から言った。

「そうだな。あそこのベンチに座ってる人にしよう。」

パティの意見を取り入れベンチでゆったりと本を読んでいる男性に

声をかけた。

「すいません。」

「はい?」

「ここら辺で何かおもしろい情報とかはありませんか?」

「情報ねぇ。そうだ、この町の離れに妙な博士が住んでいる

らしいよ。町の者は気味悪がってあまり近づくことはないが、

何かおもしろいことがあるかもしれないから行ってみるといい。」

3人はその博士が住むという家に向かった。

 

 

 

「ここが博士の家か。」

「ねぇ、さっそく入ってみようよ。」

トントン。

「はーい、どうぞ。」

中から子供の声が聞こえた。

「誰でしょう?」

「きっと博士の家族とかだろ。」

3人はドアを開き中へ入った。

そこへ現れたのは大きなメガネにぶかぶかの白衣を

着た男の子が立っていた。

「いらっしゃい。」

男の子は3人を笑顔で出迎えた。

「私より小さいね。」

「そうだな。それより俺達、博士に会いにきたんだけど

いてるかな?」

「はい、それは私のことです。」

「え。」

「自己紹介しましょう。私、ヒヨルド博士です。」

「えーっ!だって子供だろ?。」

ジル達は驚いた。

「いやー、実はある実験で失敗して子供の体に戻って

しまったんですよ。本当は78歳なんです。」

「まじで?それじゃジジイじゃん。」

「ジル、それは失礼ですよ。」

「ははは、構いませんよ。歳をとると心が穏やかに

なるもんでしてね。ちょっとしたことくらいでは

腹が立ったりしなくなりましたよ。」

「へぇ~、ヒヨルド博士って見た目は年下なのに

中身は随分大人なんだ。すごいなぁ。」

パティが感心して言った。

「いやぁ、そういうことを言われると照れますね。」

ヒヨルド博士は頬をポリポリと指で掻いた。


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