dark legend   作:mathto

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「そういえば、どうしてゴブリンは町を襲ったんでしょう?」

「そりゃ、モンスターだから人間を襲うんじゃないの?」

「それにしても今回のは不思議ですよ。

知能の低いモンスターが徒党を組んで遠くから

狙ってくるなんて。まるで何者かによって

操られているかのような感じがしましたが、」

「考えすぎだと思うけどな。それより俺はカフィールが

どうやってゴブリンの襲撃を予測できたのかと

どうしてあいつがゴブリン退治に参加しなかったのか

が気になるけどな。」

「さあ、私には分からないですけど何か事情があるんでしょうね。」

 

一方、とある洞窟の奥にて、

「くそ、ゴブリン達がやられてしまった。」

「そいつは残念だったな。」

「何故だ。何故ゴブリンやワシの存在が分かったのだ?」

「簡単なことだ。あれだけの数のゴブリンだ。

移動してれば、誰かしら気付くものだ。

そして、そこから感じられる魔力。それをたどって

ここに辿り着いたというわけだ。家柄でそういうことには

敏感なんでな。」

「お前はまさか’白銀の狼’カフィールか。く、だが

ここで死んでもらうぞ。いでよゴブリン達よ。」

魔道士の後方より数十匹のゴブリン達がぞろぞろと現れた。

「いけぇ、ゴブリンよ。カフィールを倒すのだ。」

ゴブリン達は一斉に襲い掛かった。

「ふ、こんなもので俺を倒せると思っているのか。」

カフィールは剣を振るいあっという間に片付けた。

「ぐ、ぐぬぬ。カフィールめ。

だが、我ら暗黒魔道士の力はこんな物ではないぞ。

ワシはただの下っ端にすぎん。

貴様など我らの前では無力であるということを

いずれ思い知ることになるだろう。

ふははは....うっ。ぐはっ。」

カフィールは剣でその暗黒魔道士の胸を貫いた。

「ふぅ、これからやっかいなことになりそうだな。

とりあえず一度家に戻るか。」

そう言ってカフィールは洞窟を後にした。

 

 

 

ジルとマルクが旅立って数時間経ったが、

モンスター一匹出てこず平坦な道がずっと続いていた。

周りは草木が生い茂り近くには小さな湖があり、

小鳥の囀りが聞こえていた。

「なぁ~、マルク。何か退屈じゃねぇ?

歩くばっかでさぁ。」

「それだけ平和ってことじゃないですか、

いいことでしょう。」

「こうものすごいでっかいドラゴンとか現れてさあ、

口から炎とか吐いちゃうやつ。それで剣を持って

立ち向かうんだ。最後にはバシバシッとやっつけるんだ。

あぁ~、あこがれるなぁ~。」

「私達はまだ冒険の初心者ですよ。もしいきなり

ドラゴンなんて現れたらあっという間にやられてって、、、え。」

バサッ!

突然強い風が吹いたかと思うとジルの背後に巨大なドラゴンが

舞い降りきた。

「ド、ド、ドラゴン!」

「おいおい冗談だよ。ドラゴンが急に現れるわけないって

ことくらい分かってるよ。」

「う、後ろ後ろ。」

マルクは声を震わせながら言った。

「おかしな奴だな。後ろがなんだって言うんだよ。」

そう言いながらジルは後ろを振り向くと

「えぇぇぇぇ!ドラゴンだぁぁぁぁ!

逃げろぉぉ!」

ジルはマルクを引っ張り必死でその場から逃げ出した。

しかし少し気になってドラゴンの様子を伺ってみると

ドラゴンはじっとした様子で追いかけてくる気配

は全く無かった。

「あれ?」

二人は同時に首をかしげた。


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