「ゴホゴホ。ジ、ジルは?」
砂煙の中のジルを探すマルクとパティ。
「ふー。危ねえな。さすがにあいつの全力をかわすの
は冷や汗ものだぜ。」
ジルはマルクとパティの傍へ回避していた。
「ジル!」
2人は喜んだ。
「驚いたぜ。今の攻撃をかわすとはな。」
ミシミシ。
「(ん?妙な音が。)」
ノブル兄は洞窟の異変を感じていた。
「さて、仕上げといこうか。」
そう言うとジルは足元に落ちているコブシ大の石を拾った。
「そんなもんで俺を倒せると思っているのか。
こりゃ笑いもんだぜ。」
「どうかなっ。」
ジルはノブル弟の方に向かって思い切り石を投げつけた。
が、石ははずれ洞窟の壁に当たっただけだった。
「どこ投げてんだ。こんな距離で当てることも出来ないか。」
ジルは笑みを浮かべた。
「まさか。」
ノブル兄は何かに気づいた。
「そこから離れろっ。」
「え、兄者。何だって?」
ドゴゴゴゴゴォーーーーン。
ノブル弟のいた部分の天井が崩れ落ちた。
「うわぁぁぁぁ。」
突然のことだったため避けられず岩の中へと埋もれてしまった。
「これからは周りのことにも気をつけろよ。タフそうだし
死んではいないだろうな。助けてやるか。」
ジルがノブル弟を助けるため近づこうとしたら
「ぐおぉぉぉ。」
ノブル弟は『破壊の拳』と高い気力のおかげで岩の中から抜け出した。
そこで力が尽きたのかすぐにバタリと前に倒れた。
「やっぱりタフだな。ま、これで『破壊の拳』は取り戻したと。」
ジルはノブル弟の手から『破壊の拳』を取り外した。
「弟の力を利用し洞窟の一部を崩壊寸前にし石を投げて
弟を巻き込むように崩すか。思いついたとしてもそれを
気づかれぬよう実行するのはそれなりの技術が必要に
なってくる。なかなかやるな。ならばこちらも地形を
利用させてもらおうか。この斧でな。」
ノブル兄は椅子から立ち上がり、おもむろに斧を取り出した。
「ジル、あの斧が最後のアブソーブシリーズですよ。」
「分かってるよ。(地形を利用する?果たしてあの斧にどんな効果が?)」
ジルは警戒して動けずにいた。
「どうした?また様子を見て作戦でも考えているのか?
いくらでも考えるがいい。我が攻撃を受ければ、逃げる
という選択肢しか選べないと分かるだろう。」
ノブル兄はジル達と離れた位置にいながら、斧を持つ腕を
ゆっくりと上げると一気に振り落とした。
ビュウウウゥゥゥ!
「うわぁ。」
強い風がジル達を襲う。
「大丈夫か?みんな。」
「ええ、強いけどただの風ですから。」
ピュッ。
「え。」
マルクの頬に血がたれる。頬以外にも体中に小さな切り傷が
出来ていた。ジル、パティも同じだった。
「後から体中が痛くなってくるよ。これ何?」
パティは痛みを押さえるように両腕で体を抱いた。
「これはかまいたちです。真空の刃を発生させ相手を切り裂くという。」
「そう。これが『風切りの斧』の効果だ。さあどんどんいくぞ。」
ノブル兄は再び斧を持ち上げた。
「させるかっ。」
ジルは剣を手にノブル兄に接近する。
「遅い。」
ジルがノブル兄にたどり着く前にノブル兄は斧を振り下ろす。