「か、勝ったんだ。でも傷ついた体でアブソーブシリーズを
使ったのはやはり相当きついな。あ、頭がくらくらす、する...。」
ジルも力尽き倒れてしまった。
「うーん。」
ジルは目を覚ました。傍にはマルクとパティが見守るように座っていた。
「あれ、あいつらは?」
「どっかいっちゃったよ。あのはげ頭がさ、もう1人つれてさ。
でもアブソーブシリーズは置いてってくれたんだよ。よかったね。」
「そうか。」
「去る前に持っていた傷薬も私達の前に置いていってくれたんですよ。
それで私達助かったようなものですよ。もしかしたら根は悪い人では
ないのかもしれませんね。」
「まあ、あいつら仲間を殺したくらいだから酷い奴には変わりないと思うが
少しは良心が残ってたってところなんだろうな。それじゃ行こうか。うっ。」
ジルは立ち上がろうとしたが傷はまだ酷く痛んだ。
「もう少し休んだ方がいいですよ。」
「そうよ。急ぐこと無いんだし。」
そうしてしばらく体力の回復を待った後、ジル達はヒヨルド博士の元へ戻った。
「いやー、お帰りなさい。って酷い怪我ですね。これはいけない。
どうぞこちらへ。私が作った回復薬を飲んでください。」
そう言ってヒヨルド博士は3人を椅子に座らせ、怪我の酷いジルとマルクに
紫色をした小さな丸い薬と水を渡した。
「おい、マルク。この薬、怪しくねぇ?」
「いや、でもせっかくですから飲まないわけには..。」
2人は目をつぶり一気に飲み込んだ。
「くそまじいな。なんか吐き気がする。」
「ええ、舌がぴりぴりするような感じがします。」
「薬がおいしいわけないですよ。ほら苦い薬ほど効くって言うでしょう。」
ヒヨルド博士は自己弁護をした。
「あ、体が楽になりました。」
「ほんとだ。傷が治ってる。」
ジルとマルクは薬によって回復した。
「どうですか?私の発明品も捨てたもんじゃないでしょう?」
「まあな。って自分でもダメだと思ってたんだろ。」
「いや、はは。ところでアブソーブシリーズの方はどうなりました?」
ヒヨルド博士は話を変えて誤魔化した。
ジルは顔をにこっとして取り戻したアブソーブシリーズ3個を
ヒヨルド博士の前に出して見せた。
「これは...信じられない。あの凶悪な強盗たちから全て
取り返してくれたんですか。あなたたち強いんですね。
本当に驚きました。名前を教えてもらってもいいですか?」
「そういえば名前言ってなかったっけ。俺がジル。こっちがマルク。
そしてこっちがパティ。取り戻すの苦労したぜ。博士からもらった
ワラの盾もちょっとは役に立ったんだけどな。」
「で、アブソーブシリーズはどうでした?戦ったときの
ことを詳しく教えてもらえませんか。どれだけの威力があったか、
どんな弱点があったか等これからの研究に役立てたいので。」
ヒヨルド博士はすでに自分の発明で頭が一杯でその目には
発明品に対する情熱で輝いていた。
「このマッドサイエンティストが。もうちょっと俺達をねぎらえよ。
まあいいか。俺達の活躍ぶりをたっぷり聞かせてやるよ。」
そして、ジルはヒヨルド博士に全て話した。
「そうでしたか。アブソーブシリーズがそれほど強力だったとは。
もっと深く研究していく価値がありそうですね。ありがとうございました、
大変貴重なデータが得られましたよ。お礼といっては何ですが、
このミラージュナイフを差し上げますよ。」
「これは?」
「これはアブソーブシリーズとは少し違うものでして、
使用者の生命エネルギーを吸収したりするような悪い作用はありません。
代わりに力や精神を写し出す鏡のように使用者によって全く違う刀身
となります。例えば熱血的な人が持てば赤色のナイフになるということです。」
「それは持つ奴によって形や色が変わるだけで武器としての攻撃力
とかは変わらねえの?」
「基本的には変わりません。ただ可能性は低いですが、使う人によっては
特別な効果が付加されることもあります。武器の攻撃力としては鋼の剣ほどは
ありますので持っていて損はないかと思います。」
「分かった。ありがたくもらっておくよ。じゃあな。」
「それではお気をつけて。また何かありましたらいつでも来て下さい。」
ジル達はヒヨルド博士に別れを告げてミッフェンへと戻った。