「ここがシュガーマウンテンか。」
「立て札たってますし間違いありませんね。」
ジルとマルクは警戒しながら足を進める。
「わーい、山登り山登り。」
パティは1人遠足気分で楽しんでいた。
「おいパティ。俺達何のためにこの山登ってるか分かってるか?」
「いいじゃないですか。もしかしたら何もいないかもしれないわけですし。」
3人は上へ上へと山を登っていく。
「これが砂糖の元になる植物ですね。」
マルクはしゃがんで興味深く一つの植物を見つめる。
「へ~、これが砂糖になるんだね。持って帰ろうかな?」
「俺達の目的はそんなことじゃないだろ。それにしてももうすぐ頂上だぜ。
獣どころかリスとかの小動物もいやしないぜ。」
「ジル、どうしたんですか?いらいらしすぎですよ。」
ぷにー。
パティが笑顔でジルのほっぺを両手で軽く引っ張る。
「なひすふんだ(何するんだ)パティ。」
「ジルの顔がこわばってたからほぐしてあげようと思ってさ。
そんな顔してたら旅がつまらなくなるよ。」
ジルはパティの言葉を聞き考え直した。
「パティの言うとおりだな。俺が悪かったよ。どうせ何もいないんだし砂糖
の植物一杯持って帰って売ってしまうか。報酬ももらえて一石二鳥だ。
フフフフフフ。」
「ジル、さっきと違う意味で顔が恐くなってますよ。」
「でもさっきよりはずっといい顔だと思うよ。ジルらしい感じがすごいする。」
「俺らしいって?」
ジルは2人に聞く。
「お金に汚い。」
マルクとパティが真顔で声を揃えて答える。
「そんな目でずっと見てたのか...。なんか落ち込むな。」
「落ち込むこと無いですよ。それはほんの一面でジルのいいところは他に
たくさんありますから。」
「ほらもう先に進むぞ。」
ジルは話を変えて照れ隠しをした。
ジル達3人はすっかりハイキング気分で山を登っていた。
「山の空気は町のとは違ってすがすがしくて気持ちいいな。」
「全くです。登山もなかなかいいものですね。」
「ねえ、もう山頂だよ。私が一番乗りしちゃおう。」
パティはゴールを目前に高まる気持ちを抑えきれずに走り出した。
「負けないぞー。」
ジルも対抗して走り出した。体力の差ですぐにパティを抜き
一番に頂上へ到着した。
「はぁはぁ、ちょっとはしゃぎ過ぎたかな。」
ジルは膝に手をつき前かがみで息を荒くさせた。
「ジル、速いですよ~。」
マルクとパティも少し遅れてやってきた。
「わっ!」
ジルが驚きの声を上げる。
「どうしたんですか、そんな声を上げて...え。」
ジルの視線の先にいたのは熊のように大きな狼だった。
「で、でたな怪物め。」
ジルは剣を抜き構えた。
「(この威圧感は何だ?体が大きいからじゃない。何かこう
内側から発せられているような感じがする。)」
「お前達、俺を狩りに来たのか?」
「そ、そうだ。(マルク、喋ったぞ。)」
「(かなり知能の高いモンスターのようですね。)」
「悪いことは言わん。さっさとこの山から帰れ。」
「ねぇ、どうしてこの山にいるの?」
パティが前に出てモンスターに質問する。
「おい危ないぞ、パティ。」
「ほう、俺を怖がらないとはな。俺は幻獣フェンリル。
幻獣界からはぐれてここに来てしまったのだが、戻るには2つの方法が
ある。一つは幻獣界へ通じるゲートを探し出すこと。もう一つは召喚士と
契約を結ぶこと。出来れば幻獣界に戻りたいのだがゲートはいつどこで開くか
分からないからな、ほとんど諦めているのだ。」
「そっか、じゃあ私と契約しようよ。私、召喚士のパティ。
そしたらさフェンリルも幻獣界に戻れるし町の人も砂糖を取りにこれて
全部解決するよ。」
「お前と契約か。そうだな。それも悪くないかもしれん。よかろう、
このフェンリル、お前の力になってやろう。」
ヒュンッ。
フェンリルは光を放ちながらその姿を消していった。