dark legend   作:mathto

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「みんな決まったし執事さん呼びにいこうよ。」

「そうだな。」

3人は執事が座っていた椅子のところにきた。

スースースー。

執事は眠っていた。

「時間かかりすぎましたかね。」

「なんか起こすのも悪いような気もするんだけど

起こさないわけにもいかないししょうがないな。」

パティが優しくゆすって起こした。

「う、うん。はっ。これは失礼しました。」

執事は目を覚ますと慌てて3人に謝った。

「いえいえ、気にしないで下さい。こっちが待たせすぎた

せいでしょうし。謝るのはこっちの方ですよ。」

「服は決められたのですね。それではいきましょうか。」

「あ、そうだ。このパティも服を買うんだけどその分は俺達で出すから。」

「いいえ、2人も3人もそれほど変わりませんのでいっしょにお支払いしますよ。」

「え、いいの。ありがとう、おじーちゃん。」

「パティ、おじーちゃんはちょっと失礼だと思いますよ。」

「本当に構いませんよ。ハハハハ。」

3人は笑顔の執事を連れて買い物を済ます。

 

4人は家まで戻ってきた。

「ほう、みんなそれなりの恰好になったじゃないか。

見違えたぞ。それでは依頼について詳しく話そうか。」

ジル達は応接室の椅子に座り話を聞くこととなった。

「まずは盗賊に送られてきた手紙を見てもらおうか。」

主人から一枚の手紙を渡され見てみる。

『月満ちるとき、貴公の持つ宝石グリーントパーズを

頂きに参ります。盗賊団シャドウラビッツ。』

「やっぱりシャドウラビッツか。」

「月が満ちるとき、つまり満月になるのが明日の夜なのだ。

奴らが狙っているグリーントパーズは我が亡き妻の形見。

どうしても盗られるわけにはいかんのだよ。絶対に守りきってくれ。」

主人はジル達に懇願した。

「まぁまかせてくれよ。俺達あいつらとは一度会ってるからな。

前は負けたけど今度はそうはいかないってことを思い知らせてやるさ。」

「それは頼もしいな。期待してるよ。」

3人は一旦、家をあとにした。

 

 

 

「依頼者の前だから自信を持って言うのは分かるんですけど本当に

大丈夫ですか?」

「大丈夫かって言われると自信ないんだけど、勝算が

無いわけじゃないからな。」

「それで明日の夜までどうするの?」

パティはわくわくしながらジルに聞いた。

「今日は俺と別行動をして欲しいんだけど...。」

ジルはマルクとパティに予定を説明した。

「分かりました。」

「まかせといてよ。」

「んじゃ、頼んだぜ。」

ジルは1人で歩いていった。

「それでは行きましょうか。」

「うん。」

マルクとパティも動き出した。

 

トントン。

「すいませーん。」

マルクとパティがやってきたのは依頼主の家だった。

「どうしました?何か忘れ物でもしましたか?」

出迎えた執事が尋ねる。

「ええ、まあそんなところです。」

「まあ、中へどうぞ。」

2人は中へと入った。

「聞きたいことがあって戻ってきたのですが...。」

「はい、何でしょう?」

「この家の見取り図とかってありますか?」

「どうですかね。私は存じませんが旦那様に聞いてみましょうか?」

執事は主人のいる奥の部屋へ入り、しばらくして戻ってきた。

「ええ、大して広くもない家なのでそんなものはないと言われました。」

「そうなんだ。」

パティは少しがっかりしたように言った。

「あ、もしよろしければ簡単に書かせてもらいますがどうしますか?」

「いいんですか!よろしくお願いします。」

執事は紙にさらさらと書き上げマルクに渡した。

「ありがとうございます。」

「いいえ、奥様の形見を盗られることは私にとっても耐え難きことです。

出来る限り協力はさせてもらいたいですから。」

マルクとパティは執事に礼を言って家を出た。

「ほんと、いいおじーちゃんだね。」

「ええ、そうですね。それでは私達は一足早く宿へ行きましょうか。」

2人は宿屋へ行きジルの帰りを待った。


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