ジル達3人はポートルに戻ってきた。
「はぁ~、やっと着いた。」
「一晩野宿をすることになりましたしね。」
「もう何よ。こっちが近道とか言って道に迷うんだから。」
「悪い、悪い。近道があるのは聞いてたのに詳しい道
は聞いてなかったからな。」
3人は疲れていたが決して暗くはなっていなかった。
「ねぇ、疲れてるし家で休もっか。」
「え~、パティの家か。」
「いいじゃないですか。パティだって家族に会いたいでしょうし。」
「まぁな。じゃあんまし気が乗らないけど行きますか。」
「うん、行こう行こう。」
3人はパティの家に向かった。
「たっだいまー。」
家の中に入ると以前と変わらずオカルトティックな雰囲気で一杯だった。
「あらお帰りなさい。意外と早かったのね。」
魔女風の格好をしたパティの母が現れた。
「こんにちは。(やっぱりこの雰囲気は苦手だな。)」
ジルとマルクは作り笑いで挨拶をした。
「いらっしゃい、パティがお世話になってます。
どうぞゆっくりしていってね。」
ジル達はパティの母に勧められ机に座ってお茶を飲むことになった。
「どうぞ。」
「あ、頂きます。」
ごくっ。
「なんだかすっきりしてておいしいですね。」
「うん、やっぱりおいしいね。お母さんの入れるミントティーは。」
「意外と普通なんすね。もっとえげつないものが出るのかと心配してたんですが。」
「ジル、それは...。」
「はっ、すいません。今のはなかったことに。」
「いいのよ、全然気にしなくて。さあおやつのトカゲの尻尾揚げをどうぞ。」
ブッ。
ジルは思わず吹き出した。
「おーい、母さん、パティ帰ったぞ。」
みんなの前に現れたのは明るく若作りをした男だった。
「誰、このおっさん?」
「私のお父さんよ。」
「ええぇ~!」
ジルとマルクは驚いた。
「え、だってパティのお父さんてお母さんより変だって
前に言ってなかったか?見た目はあまりおかしくないと思うけど。」
「うん、ちょっと中身がね。」
「おお、パティ。父さんやったぞ。ついに見つけたんだ。」
「何を見つけたの?」
パティの父は高ぶる気持ちを押さえきれない感じで喋りだした。
「幻獣界への入り口だよ。なんていう偶然なんだろう。
探し続けても一生見つけられないのが普通だというのに。
私はなんて幸せ者なんだ。この幸せを誰かに分けてあげたいよ。
おや、君たちは誰だい?初めて見るね。君たちにもこの嬉しさを
味わって欲しいよ。そうだ母さん、今夜はごちそうにしてくれよ。
君たちももちろん食べていってくれよ。」
「パティ、あなたのお父さんがテンションが高いのは
今日たまたまですよね。」
「ううん、いつもこんな感じだよ。」
「変っていう意味がよくわかったよ。」
「ねぇ、お父さん。幻獣界の入り口を見つけたのは分かったけど、
それをどうするの?」
「どうするってもちろんお前をすぐに連れて行くんだよ。入り口、
ゲートとも言うがこいつはいつ閉じてしまうか分からないからな。
ああもうごちそうを食べてる場合じゃないな。早く行かないと。
パティ、すぐに準備をしなさい。」
「ちょっと待ってよ。どうして私が行くの?」
「それはお前が召喚士だからさ。召喚士と幻獣は切っても切れない関係で
『強力な幻獣を呼び出せる=召喚士としてのレベルが高い』だからな。
幻獣界に行けばたくさんの幻獣がいる。そいつらと仲良くしたり力を認めさせて
契約をすることこそが召喚士の修行なんだぞ。分かったか。」
「じゃ、ジルとマルクもついてきてくれるの?」
「ん?ジルとマルク?お前らか?一体うちの娘とどういう関係なんだ?」
「え、俺達...。」
ジルとマルクは急な話の展開に戸惑う。
「私の仲間だよ。ね、一緒に行っていいでしょ?」
「いかん。幻獣界にはパティ1人で行かなければ。余計な人間が行けば幻獣達は
敵が攻めてきたと思い警戒してしまう。頼む!ジル君、マルク君、娘を行かせて
やってくれ。」
パティの父は熱くジルとマルクに頼み込んだ。
「いやだ。みんなと別れるなんていや。1人で行けって言うんなら私絶対行かないもん。」
嫌がるパティにジルがポンと肩に手を乗せる。
「パティ、俺達は仲間だろ。それは離れてても変わることはないんだぞ。
お前が修行を終えて帰ってきたらそのときはまた一緒に旅が出来るんだ。
行ってこいよ。俺達いつまでも待ってるからさ。」
「ありがとう、ジル。私、私...。」
パティはジルの胸の中で泣き出した。
そしてパティはジルとマルクに手を振ると父親に連れられ幻獣界へと向かうこととなった。
「いっちゃいましたね。それにしてもさっきのジルのセリフ、かっこよかったですよ。」
「さあ、何て言ったか忘れちゃったな。それより俺達も行こうぜ。」
ジルとマルクは港へと向かった。