dark legend   作:mathto

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ポートルの港へとやってきたジルとマルク。

「さすが世界一の港、やっぱ人の多さが違うよな。」

「そうですね、世界中のいろいろな人が利用してますからね。」

ポートルは世界のほとんどの港とつながっていて乗り継ぎで立ち寄る

人が大勢いた。

「おっ、かわいい子がいっぱいいるぜ。声かけてみよっか?」

「私はそういうのは苦手なんでやめておきます。」

ジルは喋りながら歩いている若い女性の集団に近づいた。

「よー、ねえちゃん。俺とお茶しない?」

ジルは軽く話し掛ける。

「何それ?ナンパしてんの?チョーダサイんだけど。」

「こいつきもーい。行こ行こ。」

しかし女達は全く相手にもせず過ぎ去っていった。

このことでジルは膝と手を地面について落ち込んだ。

「ガーン。俺ってそんなにいけてなかったのか。」

「(どうしてジルはやり方がいつも古いんだろう?

もしかして田舎育ちのせい?)」

マルクは少し呆れながら考えていた。

「まあ、気にしないで行きましょうよ。女の子なんて他にもいっぱい

いるんだし。たまたま合わなかったって考えた方がいいですよ。」

「そう?そうだよな。さあ次探そうか。」

「まだナンパするんですか。もう先に進みましょうよ。

ん?あ。あぁーーーー!」

マルクは何かを見て突然嬉しそうに走り出した。

「何だよ。マルクもナンパか。」

マルクの向かった先には1人の男が立っていた。

「ワーグバーグさんじゃないですか。お久しぶりです。」

「何だよ、マルクの知り合いか?」

「はい、私の兄弟子で優秀な土の魔法使いなんですよ。」

「へぇ~、あ、初めまして。俺、ジルっていいます。マルクの友達です。」

喜ぶマルクとは対照的にワーグバーグの表情は怒りに満ちていた。

「マルク、お前ちょっと表に出ろ。」

「え、表って?」

「人のいない町の外に出ろってことだ。いいから早くしろ。」

「(おい、お前の兄弟子っていかつい顔してるけどやばい人なのか?)」

「(いえ、面倒見のいい人だったはずなんですが...。)」

マルクとジルはワーグバーグの言うとおりに街の外へと出た。

 

 

 

マルクの兄弟子ワーグバーグに言われ街の外へと出たマルクとジル。

「どうしたんですか?こんなところに呼び出したりして。」

「『どうしたんですか?』だと。ふざけやがって。お前の顔を見てると

いらつくんだよ。」

「私が何か悪いことでもしたんですか?気づかずに酷いことをしていたなら

謝りますよ。」

「いい子ぶりやがって。そうやってメンデル先生にも付け入ったんだろう。」

「何のことですか?」

「とぼけるな。メンデル先生がお前を後継者にしようとしていることだよ。

魔力も強く優秀な俺ではなくお前にとな。」

「そんな。私は何も聞いていませんよ。」

「貴様を殺せば先生も俺を後継者にせざるを得ないはずだ。」

「おい、ちょっと待てよ。兄弟子だかなんだか知らないが殺すっていうのは

やりすぎじゃないのか。」

ジルが2人のやり取りに割ってはいる。

「関係ない奴は黙ってろ。いくぞ、マルク。『ストーンアロー』。」

ワーグバーグが魔法を唱えると地面に落ちていつ小石が一つ浮かび上がり

マルクに向かって飛んでいった。

「いたっ。」

石はマルクの顔に当たった。

「何だよ。ただ石ころぶつけてるだけじゃん。優秀とかいうからもっと

すごい魔法使うかと思ったのにがっかりだな。」

「ジル、なんてこと言うんですか。あれはただの肩慣らしみたいなものですよ。」

「分かってるじゃないか。次いくぞ。」

そう言うと今度はワーグバーグの周りにあった数十個の石が浮かび上がり

マルクに襲い掛かる。

「『ウインドガード』。」

マルクは風の壁を作り石の攻撃を防いだ。

「ほう、俺の攻撃を風の壁で防ぐとは。少しは成長したな。だがこれならどうだ。」

ワーグバーグはまた複数の石を浮かび上がらせると今度はマルクを取り囲む

ようにしてゆっくりと移動させた。

「ははは、お前の全方位を取り囲んだ。これでは風の壁で防ぐことは出来まい。」

「いい加減にしろよ、お前。今すぐ攻撃を止めろ。さもなければお前の首を切り落とす。」

ジルはワーグバーグの背後に忍び寄り剣を首につきつけていた。

「貴様、いつの間に。...分かった、攻撃は止めよう。」

マルクを取り囲んでいた石がボトボトと地面に落ちる。それを確認したジルは

警戒しながらワーグバーグから離れた。

「ふん、仲間に助けられたな。今回はこれで退いてやる。」

それだけ言い残すとワーグバーグは去っていった。


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