数日間の船旅の末、ジルとマルクを乗せたハーツ船長の船たちは
ついにジャバーの出現ポイントといわれる場所にもうすぐという
ところまで近づいていた。
「ハーツ船長、前方に船らしきものが見えてきたっす。」
望遠鏡で前を見ていた海賊がハーツ船長に報告した。
「船は何隻か分かるか?」
「はい、船は一隻っす。」
「そうか。十分警戒して進め。」
次第に船の形が肉眼ではっきりと見えてきた。
「あの船、帆に角が生えたドクロマークが書いてるっす。」
「確か、ジャバーの船はそんなマークだったって情報もあったな。
みんな戦闘の準備をしておけよ。」
ハーツ船長は全員に大声で言った。
「ハーツ船長、シャップの船がどんどん前に出てます。」
仲間の海賊シャップの船は我先にと船の速度を上げていた。
「あいつめ、やる気まんまんじゃねえか。」
「俺達も急ぐんすか?」
傍にいた海賊がハーツ船長に聞いた。
「いや、このままで構わん。別に手柄を取り合う必要もないしな。」
ハーツ船長は落ち着いてジャバーの船を見た。
「む、」
ジャバーの船からシャップの船に向けて大きな何かが飛ばされた。
「ハーツ船長、イカリがシャップの船に投げ込まれました。」
「イカリを投げる?何だと!」
「かなりの大男っす。恐らく奴らのリーダーじゃないすか?」
鎖のついたイカリで繋がれたジャバーとシャップの船は引き合うようにして
ついにぶつかった。するとすぐにお互い武器を手にし戦いが始まった。
「まずいな、あの大男のせいで完全にシャップが押されている。
おい、急いで応援にいけるか?」
「い、いけますがホントにあんな奴と戦うんすか?絶対無理っすよ。
あいつ全然攻撃を受けつけてないんすよ。」
「なら逃げるって言うのか?このまま仲間を見殺しにするのか?」
「それは、その...。ええい、こうなったらやけくそだ。みんな死ぬ気で行くぞぉ!」
「おぉぉ!」
海賊達は追い詰められてやる気を出した。
「なあ、おっさん。俺にあの大男をやらせてくれよ。」
ジルはハーツ船長に頼んだ。
「ほう、あいつを倒す自信があるのか?」
「自信はないけど今まで怪物と戦ったこともあるしな。
やってみたいんだよ。」
ジルの真っ直ぐな瞳を見てハーツ船長は目を閉じて答えた。
「俺は最初からそうするつもりだったぞ。」
「よしっ!」
ジルは喜びの笑顔を浮かべたがすぐに真剣な顔で敵の方を見た。
そしてついに2つの船がぶつかる戦場にやってきた。
「グヒヒヒヒ。」
グチャ。
大男が大金鎚でシャップの仲間の頭を裂き中の脳みそが
周りに飛び散った。そこにはたくさんの死体が転がっていた。
「これは、酷い。酷すぎます。う、うえぇっ。」
この状況を見たマルクは悲しみの涙を流しながら吐いてしまった。
「く、遅かったか。まさか全滅とは。」
ハーツ船長は顔をしかめた。
「船長、かたきをとりやしょう。」
海賊の1人が勇ましく言った。
「お前らいい顔になってきたな。よし。大男はジルが、それ以外は
お前らぶっ倒して来い!マルクは下がってろよ。」
「みんな無理しないで下さいよ。」
マルクは心配しながらみんなの後ろへと下がっていった。
「やるぞー!」
海賊達は曲刀を手に斧を持ったジャバーの連中に向かっていった。
「グヒヒヒヒ。また殺されに来たのか。」
大男が血のついた大金鎚を舐めて不気味な笑みを浮かべた。
「お前の相手はこの俺だ。」
ジルは大男の前に立った。
「グヒヒヒヒ。すぐにあの世へ連れてってやるぞぉ。」
そう言うと大男はジルに向かって大金鎚を振り落とした。