dark legend   作:mathto

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ガッシャーン!

船の甲板が大きく砕けた。

「そんな攻撃じゃ俺には当たらないぜ。」

大男の攻撃をかわしたジルは剣で反撃した。

「な、ばかな。」

剣は大男の胸に当たったがかすり傷1つ与えることが出来なかった。

「グヒヒヒヒ、俺の体は鋼のように鍛えてある。そんなくらいじゃ

痛くも痒くもねえぜ。」

ドカッ!

大男がジルを蹴飛ばした。

「ぐはっ!」

ジルは大きく後ろに飛ばされ壁にぶつかった。

「グヒヒヒヒ、今ので死なないとはたいしたものだな。」

「ジル!今、回復に。」

マルクがジルの元へ駆け寄ろうとした。

「マルク、俺は大丈夫だ。それより他のみんなを。」

ハーツ船長の海賊はジャバーに苦戦していて、ダメージを受けている者も

少なくなかった。マルクはそのジルの言葉に従い海賊達の介抱に向かった。

「ホワイトウィンド。」

マルクは海賊達の傷を癒していった。

海賊達は元気を取り戻し徐々にジャバーを押していった。

「しょうがない、あれを試してみるか。」

ジルは少しふらつきながら剣を構えなおした。

「グヒヒ、試す?おもしろいやられ方でも思いついたのか?」

ジルは大男の言葉を無視し剣の構え方を変えた。

「あんまり気が乗らないんだけどなっ!」

ビュッ!

ジルは大男に刺さるように剣を思い切り投げつけた。

「何をしようが無駄だ。」

カーン。

大男はジルが投げた剣を右手で払いのけた。

ジルの剣はくるくると回転しながら転がっていった。

プスッ!

ジルはミラージュナイフで大男の腹を刺していた。

 

 

 

「こいつ、姑息な真似をしやがって。」

大男は怒ってジルに殴りかかろうとしたが、ジルはすぐに

身を引いた。

「元々が鋼の剣と同じ位の攻撃力って言ってたからちょっとは

強くなってるって事か。まあ、使えなくも無いってことかな。」

ジルは冷静に分析した。

そこへ大男が大金鎚を振り回しジルに襲い掛かるがさっとよけた。

「お前の攻撃は不意でも突かれない限り当たらねえよ。

......ん?」

ジルは大男の僅かな異変に気づいた。

大男は動きを止め体を震わした。

次の瞬間、

「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

大男は突然屈んだかと思うと、口から

煙の塊のようなものを吐き出し倒れた。その姿は

見る見る灰へと姿を変えついには完全に消えてしまった。

「こ、これは...。」

ジルは呆然と立ち尽くす。

「切り裂き魔の最後と同じですね。」

マルクも驚きの表情を隠せなかった。

「あ、悪魔だ。ひえ~。」

この様子を見ていたジャバーの連中は恐怖し次々に降伏していった。

こうしてジャバー討伐は終わった。

 

海賊同盟アジトへ戻る途中、勝ったことで船上はみなお祭り騒ぎだった。

「いや~、お前すごかったな。ナイフに毒でも仕込んでたのか?」

「え、いやまあ。」

ジルは適当に答えて逃げるようにその場を離れた。

「ジル、どうしました?」

マルクが少し心配そうに話し掛けた。

「なんか勝った気がしなくてな。」

「ミラージュナイフの効果ですか?」

「ああ。あのバカ博士の野郎、こんな効果があるなんて聞いてないぞ。」

ジルは怒りが込み上げてきた。

「確かに。使う人によって付加能力が加わることもあると聞きましたが

それほど強力なものではないと言っていましたよね。」

「今度会ったらこいつで刺してやる。あ~、むしゃくしゃする。もう寝よ。」

「そうですね。寝れば嫌なことも忘れられるかもしれませんしね。」

その日2人はすぐに眠りについた。


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