dark legend   作:mathto

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次の朝。

「おい、お前ら。昨日はどうしたんだ?お前らがいないから

宴の盛り上がりも今ひとつだったぞ。」

ジルとマルクにハーツ船長が話し掛けた。

「いや、昨日はちょっと疲れてて...。」

「そうか、そいつは悪かったな。気づいてやれなくて。

まあとにかく昨日は2人ともよく頑張ってくれたな。

一度アジトに戻って報告したら約束どおりすぐに返してやるからな。」

「やったー。」

「よかった。これで解放されるんですね。」

ジルとマルクは素直に喜んだ。

「まあ残りの船旅は観光気分で楽しんでくれ。戦わずに見物してた

ブッチャ―からの補給も受けたし、これから帰るまでの間は心配することは

ないからな。」

そう言ってハーツ船長はその場から離れていった。

「観光気分か...。俺達今までもほとんどそうだったよな。」

「それを言ってしまったら身もふたも無いですよ。

ま、ゆっくりしときましょうよ。」

「だな。」

そうして2人はゆっくりと休みながら船旅を楽しんだ。

 

数日後、ハーツ船長の船はアジトへと戻ってきた。

ハーツ船長、ブッチャ―は会議にてジャバー討伐の報告をした。

それから皆で死んだシャップに黙祷を捧げると勝利の宴の準備が進められた。

その準備の様子を見てジルは、

「海賊って好きだよな、こういうの。」

「飲んで、騒いで。自由で楽しそうですよね。」

「あ。もしかしてマルク、海賊が好きになったのか?」

ジルはニヤッと笑いながら聞いた。

「そんなわけありませんよ。そんな海賊なんてとんでもない。でも...。」

「でも?」

「今日だけはいっしょに楽しんでもいいですよね。」

「うん、もちろん。」

夜になり2人は海賊達といっしょに宴を楽しんだ。

 

 

 

「ジル、起きてください。」

海賊同盟アジトの中の宿屋にてマルクが寝ているジルをゆすって起こした。

「ふぁ~あ。もうちょっと寝かせてくれよ。」

「何言ってるんですか。もう出発ですよ。」

「出発って?」

「何寝ぼけてるんですか。今日はハーツ船長に送ってもらうんでしょ。」

「そうだったっけ。...あ、痛たた。」

ジルは少し苦しい顔で頭を抑えた。

「もう、慣れないお酒なんか飲むからですよ。」

「いや~、でもものすごい勧めてくるんだぜ。あの雰囲気で断るほうが

難しいって。あたたた。」

「顔でも洗ってさっぱりしてくださいよ。」

「分かったよ。」

バシャバシャ。

ジルはマルクの言うとおりに顔を洗った。

「うーん、ちょっと頭痛もましになったな。」

「おい、お前ら準備は出来たか?」

ハーツ船長が2人を呼んだ。

「は~い。」

2人とも元気よく返事した。

そして急いで準備を整えて船に乗り込んだ。

 

2人が乗るとすぐに船は出航した。

船上では海賊たちにすっかりなじんだ2人の姿があった。

「ジル、よ~く見てろよ。」

海賊の一人が曲刀を使ったジャグリングを見せた。

ジルは手元で海賊の動きを再現しようと凝視した。

「どうだ。やり方は分かったか?」

「う~ん。」

「ゴム製の刀があるから、まずはそいつで練習してみな。」

ジルは海賊からゴム製の刀を受け取るとさっそく練習を始めた。

「よ~し、えい!」

バタバタバタ。

「はっはっは。戦うのは得意でもこういうのは別か。」

ジルは少し落ち込んだ。

「まあ気にするな。すぐに出来なくて普通なんだから。。

一本だけ投げてみて感覚を少しずつ覚えていけばいいさ。」

ジルは言われたとおり一本だけ投げて受け取ることを繰り返した。


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