dark legend   作:mathto

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ジルとマルクを乗せた海賊船はサンアルテリア王国に向けて進んでいた。

「マルク、退屈そうだな。」

船の舵をとっている海賊がマルクに話しかけた。

「い、いえ、そんなことはないですよ。」

明らかに気をつかって否定していることが分かり海賊は続けた。

「どうだ。船の操縦の仕方を覚えてみねえか?」

「えっ、そんな無理ですよ。私なんかに。」

「ま、そう言わずにさ。出来なかったらしょうがないと思ってさ。

やるだけやってみろよ。」

「そう言ってもらえるなら...やってみます。」

「じゃ、こっち来いよ。」

マルクは海賊の傍へ行くと、舵を握らされた。

「いいか。最初は操縦する気持ちを持つことが大事だ。

今は何も方向を変えたりする必要はないから軽く左右に振って

みればいい。」

「はいっ!」

マルクは恐々と舵を動かしてみる。

「おいおい、そんなに硬くならなくていいんだぞ。リラックス、リラックス。」

「はいっ!」

最初は肩に力が入り固まっていたマルクだったが徐々に慣れていった。

「どうだ?」

「なんだかすごい楽しいですね。この大きな船を果てしない海の上で

走らせているのが自分の力のように感じられて。」

「そうだろ。そいつが船の舵取りの醍醐味ってもんだ。

まあもうしばらくやってみな。疲れたら代わってやるから。」

そう言うと海賊はその場から離れていった。

しばらくして。

「ちょっと退屈になってきたかな。いや、そんな事を考えていたら

いけないですね。もっとまじめにやらないと。」

さらに時間が過ぎて。

「私がジルと出会って、旅に出て、いろいろなことを経験してきましたね。」

マルクは少し過去を振り返った。

 

 

 

マルクは船の舵を握りながら暗い表情で過去を振り返っていた。

「ジルは旅をしていく中で剣の使い方とかいつの間にか上手くなって

強くなっているというのに、それに引き換え私は一体何をしているん

だろう。私ときたらジルと出会ったときから...。」

「『ほとんど成長していない。』ってか。」

マルクの横からジルが突然現れた。

「わっ!急に出てきて驚かさないでくださいよ。」

「わりぃ、わりぃ。ちょっとマルクの様子が気になってさ。

ところでさっきの言葉の続き、あってた?」

「えっ!」

マルクは内心ドキッとした。

「やっぱりあってたのか。」

「どうして分かったんですか?」

「何をいまさら。短い付き合いじゃないんだから少しくらい考えてること

は分かるさ。」

「そうですか...。」

マルクは納得するとまた表情が暗くなった。

「マルク、お前は分かってねーな。」

「ジルの考えていることをですか?」

「そうじゃねえよ。おまえ自身のことだよ。」

「私自身?」

「そう。お前は俺と出会ってから成長してないとか考えてたんだろ?」

「ええ。私は魔力が強くなったわけでもないですし、新しい魔法を

覚えたりもしていませんから。」

「じゃあさ、マルクはこの旅で何かを感じたり、思ったり、

考えたりしなかったのか?今までのことはマルクにとっては意味のない

ものだったのか?」

ジルは強くマルクを問い詰めた。

「そんなことはありません。たくさんの人に出会い、それぞれいろいろな

思いを持って生きていることを感じました。今まで知らなかった世界も

知りました。みんな私にとっていい意味でも悪い意味でも影響を与えられました。

意味がないなんてことは決してありません。」

マルクはジルに熱くなって答えた。

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