dark legend   作:mathto

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「へい、『カエルの姿焼き』おまち。」

2人の前にカエルの皮を剥いでそのまま

味付けして焼いたものが出された。

「ほんとうにカエルそのままですね。」

「そうだな。食べてみるか。」

2人は恐る恐る口にしてみた。

「うん、おいしい。」

「いけるじゃん。」

「そうだろ。うちは極上のカエルを使ってるからな。

味にはちょっと自信があるんだ。お客さんのそういう反応が

楽しみでね。」

2人はパクパクと普通に食べだした。

「それにしてもこの辺はでかい建物とか多いよな。あのセントラルキャッスル

もすごいしさ。」

「セントラルキャッスルに関しては昔、大きすぎるとか豪華すぎるとか

批判があったらしいですよ。でも今はサンアルテリア王国を中心とした

数多くの国が集まって出来たアルテリア連合が平和や経済の協力などを

話し合っていくための議会場として使われるようになってからは魔道連盟

のような世界的な組織の本部が出来たりしてこの国のさらなる発展の

きっかけとなったというわけです。」

「へ~、そうなんだ。よく分からないけどすごいんだな。」

マルクの説明にジルはとても感心した。

「ところでさ、オヤジ。この辺に魔道連盟の本部があるらしいん

だけど詳しい場所とか教えてくれない?」

「何だ。魔道連盟の本部を探してるのか?それならこの店の右隣に

ある塔がそれだよ。たまに出前を持ってったりしてるから間違いないぞ。」

「えっ、そうだったんですか。気づきませんでしたね。」

「ちゃんと塔の前に看板もあるぞ。」

「灯台もと暗しってやつかな。サンキュー、オヤジ。」

2人は食事を済ませると店の右側を見てみた。

「ホントですね。確かに『魔道連盟本部』と書いています。」

「入っていいのかな?」

「入らなきゃ何も前に進みませんよ。行きましょう。」

2人は塔の中へ足を進めた。

 

 

 

2人が塔の中に入ると、受付があり女性が一人座っていた。

マルクはすぐにその女性のところまでいき話しかけた。

「すいません、こちらにメンデル先生はいらっしゃいますか?」

「メンデル先生?ああ、メンデル司祭ですね。ただいま出張したところで

5ヶ月は戻られないと聞いております。何か伝えておくことが

ございましたらお聞きしておきますが、どうなさいますか?」

「マルク、何か言っといたほうがいいんじゃねぇの?」

「それでは、私マルクがメンデル先生に話がしたくて来たと

伝えてもらえますか?」

「かしこまりました。そのようにお伝えします。」

受付嬢は紙にマルクの言葉を書きとめた。

「よろしくお願いします。」

そう言っておじぎをするとマルクとジルは塔を出た。

「5ヶ月か...。長いな。まあこの国の広さを考えれば待っている間、

退屈したりとかはないだろうけどな。大丈夫か、マルク?」

「え、何がですか?」

「俺はいいけどお前は今すぐにでも先生に会いたいはずだろ。

それで5ヶ月は長すぎて待ちきれないんじゃないかと思ってさ。」

「ああ、そういうことですか。大丈夫ですよ。焦ってもしょうがないこと

ですからね。」

「そうか。分かってるんだったらもう何も言わないよ。

ならもうさ、この国のいろんなとこ見て回ろうぜ。」

「はい。」

あてもなくブラブラと歩いていく2人。

「は~い、そこのかっこいいお兄さん。寄っていってー。」

きれいな女性が店先から道を歩くジルに声をかけてきた。

「はいー!」

ジルは元気よく返事をして女性の方に向かった。

「お兄さんにぴったりの帽子があるのよ。ほらこれなんかいいでしょ。」

そう言って女性はジルの頭に勝手に帽子をのせた。

「うん。やっぱりすんごい似合う。いいわー。かっこいい。」

女性は手を合わせてジルを褒めまくった。

「え、そう?」

ジルは手で頭の後ろをポリポリと掻きながら照れた。

「そうよ。もうこれかぶってたら女の子の方からあなたに

寄ってきてもうモテモテよ。もう買うっきゃないって感じでしょ。」

「買います。」

ジルは女性の言葉に即答した。

「わー。ちょっと待ってください。すいません、買いませんから。」

後ろから心配そうに見ていたマルクが割って入ってジルを連れ出した。


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