dark legend   作:mathto

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恋愛教室へとやってきたジルとマルク。

「さっそくだけど名前を教えてくれるかな?」

講師というディリウスが2人に尋ねた。

「俺、ジル。」

「マルクです。」

ジルは元気よくマルクは仕方なくといった感じで返事をした。

「うん、ジル君とマルク君だね。とてもいい名前だ。

すばらしいよ。しかも2人ともルックスがいい。名前や見た目と

いうものはもてるためにはとても重要な要素だからね。いくら中身が

すばらしかろうと見た目が獣のように醜ければ一部のマニア

を除いてはもてることは出来ないからね。君たちならすぐに

彼女が出来てしまうよ、私の講座をしっかりと受ければね。」

「受けます。」

またしてもジルは即答した。

「待ってください、そんなにすぐに決めないほうがいいですよ。

(何だろう、この人は?何か嫌な感じがする。

耳は尖っているけど本当にエルフなんだろうか?)」

マルクはどうもディリウスを信用できずにいた。

「マルク君のいうことはもっともだと思うよ。どうかな、今日一日

無料体験講座を受けてみるっていうのは?それから決めてもらうのが

一番いいと思うんだけど。」

「まあそれならいいですけど。」

マルクはディリウスの意見に反対することが出来なかった。

「よし決まりだね。じゃさっそく席について。」

2人は言われたとおり席に着いた。

「それではこれから講義を始めまーす。恋愛ではいろいろなテクニック

があるとうまくいきやすいってこともあるんだけど、最初はまあ普通な

感じでいきたいと思うんだ。」

「ふむふむ。」

ジルは冷めた目で見るマルクをよそに熱心に聴いていた。

「まず女の子にはやさしくすること。そっけない人に惹かれるって子も

中にはいるけどほとんどはやさしくないと嫌っていうよね。」

「(当たり前のことじゃないですか。)」

マルクはディリウスの言葉に失望した。

 

 

 

ジルとマルクはディリウスの恋愛講義無料体験中。

「続けるよ。で、女の子にやさしくするんだけど、

それには下心をちらちらと出してはいけない。そんなことをしたら

女の子はたちまち引いてしまうからね。出来るだけ自然にすることが

大事なんだ。そう。必要以上に何かするということはしないで、

助けを必要としているとき、こうすれば素直に相手が喜んでくれる

と思ったときだけやさしくする。それは自分が辛いときや

苦しいとき落ち込んでいるときでも出来なくちゃいけない。」

「(へぇー。意外といいことを言いますね。)」

マルクはさっきまでとは一転、感心した。

「う~ん、もう言ってること理解するので一杯一杯だ。」

ジルがディリウスの話を聞いて頭から煙が出てパンク寸前だった。

「ああ、ごめん、ごめん。飛ばしすぎちゃったね。

今日はこのくらいにしておこうか。マルク君は最初、

大したことないといった感じで聞いてたみたいだけど

どうだったかな、今日の無料体験は?」

ディリウスはマルクに顔を向けて尋ねた。

「(見透かされている!態度に出ないようにはしてたのに。)

ええと、よかったと思いますよ。」

「そう。それは僕の方としてもよかったよ。ジル君は?」

「う~ん、難しい部分もあったけどためになったと思うよ。」

「まだまだ僕の教え方が下手なんだね。もうちょっと分かりやすくなる

ように考えてみるよ。それで2人は本講義を受ける気はあるかい?」

「もちろん受けます。絶対もてたいから。」

ジルは力強く答えた。

「私はやめときます。やはりいまいち興味を持てなかったので。」

マルクは少し申し訳なさそうに言った。

「(え、じゃあどうすんの?俺も受けんなってこと?)」

ジルがマルクに小声で聞いた。

「(いえ、私が受けないだけです。この人はそんなに悪い人にも思えなかった

のでジルは受けたらいいと思いますよ。)」

ジルはマルクの言葉を聞いてほっとした。

「そうか。マルク君は残念だが仕方ないね。ジル君、ありがとう。

さっそくだけど入会の説明をさせてもらっていいかな?」

「はい。」

ジルは少しあわてて返事をした。


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