dark legend   作:mathto

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「まず3ヶ月集中コースとじっくり1年コースと不定期コースの

3種類があるんで選んでくれるかな。1年コースは週2回、

基本からゆっくりと学んで恋愛の上級者になるコース。

3ヶ月コースは1年コースから受ける人に合わせて不必要な

部分を削って週6で一気にもてるようになってしまおうって

コース。不定期コースは週1で最近の女性に向いた口説き方、

付き合い方など恋愛に関して最も新しい事を勉強していこうという

云わば上級者向けのコースだね。初心者向けは3ヶ月コースか

1年コースだよ。どれにする?」

恋愛教室講師ディリウスはジルに入会案内をしだした。

「俺、ちょっと時間無いから1年コースは難しいな。3ヶ月集中コース

でお願いします。」

「そしたら授業料は唯今キャンペーン価格5,000Gの一括前払いだよ。

それと講義を受けてる間は生徒には強制で寮に入ってもらうからね。

寮費も授業料に含まれてるから心配はいらないよ。」

「授業料は大丈夫。って、ええ。寮に入るの?それってマルクも

一緒に入れるのかな?」

「それはダメだよ。この寮は講義を受けてる人だけだからね。

そもそも目的が恋愛を勉強する人のために他の事が気にならない

よう入ってもらうんだからね。」

ディリウスはさらっと否定した。

「えー、それじゃどうしよう。」

ジルは困った顔をした。

「私なら他のところを探して泊まりますから構いませんよ。別に

休みの日には会えるでしょう。それほど寂しくはないでしょう。」

「そう言ってくれると助かるよ。俺はいいけどマルクは3ヶ月暇だな。」

「私も何か探してみますよ。心配しないでください。」

「よし決まりだね。それじゃジル君には寮の部屋を案内するよ。」

「じゃあな、マルク。泊まるとこ決まったらここに教えに来てくれよ。

休みになったら会いに行くからさ。」

「分かりました。ジルも無理しないでがんばって下さいね。」

そうして2人は一旦別れた。

 

 

 

「ジル君、ここが君の部屋だよ。今日はもうゆっくりしといて。

講義は明日からにしよう。」

ディリウスはジルを少し古いがきちんと掃除をされた小部屋に

案内した。

「はい。」

さっきまでとは違いジルの返事は気が抜けていた。

「ん?どうした?マルク君と分かれて寂しくなったかな。」

「うん、そうかもしれないな。」

ジルは素直に答えた。

「ジル君にとってマルク君は大切な存在なんだね。」

「ずっといっしょに旅してきた仲間だからな。」

ジルは笑顔で言った。

 

「う~ん、私はこれからどうしましょう?何のあても

ありませんからね。またどこかの治療院でお世話になりましょうか。」

マルクは悩みながら街中を歩いていた。

しばらくして一つの大きな建物に目が留まった。

「国立図書館ですか。入ってみましょうか。」

マルクは国立図書館と書かれた立派な看板の建物の入り口を入っていった。

「うわぁ、すごい広くて大きいですね。」

図書館の中はとても広く人の身長の3倍はありそうな高さの本棚が整然と

立ち並び、とても一人では一生かかっても数え切れないほどの本が収まっていた。

ところどころには上の方にある本をとるためのはしごも置かれていた。

マルクはその様子を見て驚きながら胸を躍らせた。

「ああ、どうしたらいいのでしょう。勝手に本を読んでもいいのでしょうか。」

マルクは勝手が分からず入り口付近をうろうろしていた。

「何かお困りですか?」

マルクにメガネをかけた長身の男性が穏やかな笑顔で声をかけてきた。


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