dark legend   作:mathto

96 / 279
191,192

ダニエルを捕らえているジル。

「ジル、何もしてないのにちょっとやりすぎでは?」

「でも、マルク。こいつ生意気だからむかつくんだよ。」

「そう言わずに。ちゃんと商売をしてるみたいだし。」

マルクは先ほどダニエルが勧めていた聖なる首飾りを手にとった。

「あれ?この首飾り。」

「どうした、マルク?」

「いや、私は専門家ではないのではっきりしたことは言えませんが

この首飾りから魔力のかけらも感じないただのおもちゃのような

感じがするんです。」

「何だって!おい、こら。どういうことだ!」

ジルはダニエルを問い詰めた。

「ちっ、ばれたか。」

「ばれたかじゃねえよ。てめえ、いい加減にしろよ。」

「俺の商売の邪魔をしやがって。ただじゃおかねえからな。」

「ほう、どうただじゃおかないんだ?」

ジルは腕をならしダニエルに近づく。

「お前ら、調子に乗るのもここまでだ。勇者の血を引く俺の

力をみせつけてやる。」

ダニエルはそう言うと目を閉じて何かをぶつぶつと唱え始めた。

ダニエルの体がうっすらと光を放ちだした。

「何だ?何が起こってるんだ?」

ジルとマルクはダニエルの様子に少し驚いた。

ダニエルが目を開けた。

「くらえっ!光魔法『ライトボール』」

「うわっ!」

「まぶしい!」

ダニエルから眩い光の玉が2つ発されジルとマルクを襲った。

「ぐわっ。」

ジルとマルクはダメージを受けた。

「どうだ。俺の魔法の力は?」

ダニエルは勝ち誇った。

「う、ううん...。結構効いたな。」

ジルとマルクはダニエルの攻撃から立ち直れず動きが鈍かった。

「ははは、2発目いくぞ。」

ダニエルは再び目を閉じ、呪文を唱えだした。

 

 

 

ダニエルは呪文を唱えている。

「おい、マルク。これってちょっとやばくないか?」

「ええ、さっきの攻撃でまだ体が言うことをききませんね。」

ダニエルの体は再び光りだし目を開けた。

「さあ、いくぞ。『ライトボール』。」

「ぐっ。」

ジルとマルクはダニエルの攻撃に構えた。

シュン...。

ダニエルから光が消え、何も起こらなかった。

「え。」

「え。」

お互いにあっけにとられた。

「どうなってるんだ?」

ジルは状況が理解できなかった。

「あ、分かった。きっとダニエル君の魔法力が尽きたんだ。

それで魔法を発動できなかったと。」

「なるほど、要はまだ修行不足ってことか。納得。」

ジルはマルクの説明を聞いて不気味な笑みを浮かべた。

一方、ダニエルは顔が青ざめる。

「あ、あ...。」

「さ~て、ダニエルちゃん。どうしてくれようか?」

ジルは指をポキポキと鳴らしながらダニエルに近づく。

次の瞬間、ダニエルはジルにぼこぼこに殴られた。

マルクはあまりのひどさに目を背けていた。

「ふぅ~、すっきりした。」

ジルはパンパンと手を払って満足そうな笑みを浮かべた。

ダニエルは殴られて元の顔が分からないほど腫れ上がっていた。

「ご、ごのやろう。よぐもやりやがっだなぁ~。」

「お、まだやるのか?」

「う...。お、覚えてろよー!」

そういい残すとダニエルは走り去っていった。

「がんばって修行しろよー。」

ジルは笑顔で見送った。

「ジル、さっきのはやりすぎですよ。あれじゃただのいじめっ子じゃないですか。」

マルクは少し怒っていた。

「悪い悪い。あいつ見てるとなんかああなっちゃうんだよな。

でもあいつ、ほんとに勇者の血を引いてるんだな。光魔法が使えるなんて。」

「あ、そうですよね。光魔法といえば勇者が得意とする魔法でしたね。

しかも光魔法は火、水、風、土を含めたあらゆる自然の力を扱えます。

それはまるで神の力を借りるように。だからこそ強力な闇魔法、暗黒魔法に対抗出来、

魔法使いの中ではこの世で最高峰の魔法と言う人もいます。」

「へぇ~、俺もそこまでは知らなかったよ。あいつ意外とすごいのかもな。

まあ、今は俺の足元にも及ばないけどな。ははははは。」

ジルは自慢げに笑い出した。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。