響だよ(中身別人)、その戦いぶり(近接が主)から不死鳥(捨てられた小鳥レベル)の通り名もあるよ 作:ヴェルヌイ
『よーい、始め!!』
提督の掛け声でヴェールヌイは真っ先に速度最大フルスロットルで敵艦隊に向かう。その数十秒後にヴェールヌイの姿を上空から偵察機『彩雲』が捉える。ヴェールヌイは勿論これに気づいていたが、高角砲も機銃も装備していないので、どっちみち撃ち落とす方法がない。よくよく考えれば空母に対してめちゃくちゃ不利である。
「うーん、ヤバイな。空母からアウトレンジされたら手も足も出ない………………全速力でも逃げ続けられたらこっちの燃料が切れて良い的だ。」
簡単に言えばほぼ勝てない。相手側がわざわざ近づいて来たとしても戦艦が2隻もいる。不利だ。前に戦ったタ級が良い例である。奴が私の戦闘方法を理解した後、私は反撃を貰って結果沈んだんだ。そして意識が無いとは言え、私と戦ったんならその闘い方は頭の中に入ってる筈。
つまり勝てない。遠距離からアウトレンジでもダメ、真っ向からの砲撃戦でもダメ、近距離の鍔迫り合いでもダメと3拍子揃って詰んでるのである。
「えー……………………っ!!来たっ!!」
ヴェールヌイは空の向こうから小さな点がこちらに飛行して来るのをその目で視認した。やがてそれは飛行機のような形がしているとわかり、配色からして多分『彗星』だろう。そのうち大量の爆弾が辺りに降り注ぐ事になる。
ヴェールヌイはそれでも速度を下げる訳にはいかない。高角砲があっても無駄だろう。この圧倒的濃度の艦上爆撃機の群れには焼け石に水である。
彗星達はやがてヴェールヌイの上に辿り着くと、腹に抱えた爆弾をヴェールヌイ目掛けて落下させる。中身は演習用ペイント弾で実戦に比べれば威力は大幅に低くなっているが当たれば痛い。
大量の爆弾は大体がヴェールヌイの周りに落ちるか見当違いの場所に落ちる。中には空中で他の爆弾に衝突し誘爆するものもある。しかしそれのどれにも属さない一部の爆弾はヴェールヌイのはっきり真上から落下してくる。
「なるほど、結構良い作戦だ………………(一斉に投げることで大量の爆弾は無駄になる。けどその爆弾のせいで本命の爆弾が避けられない。戦艦や空母相手には微妙だろうけど装甲も耐久もない駆逐艦には効果抜群だ。)」
空母の圧倒的な先制爆撃、ヴェールヌイは避けることさえ出来ない。このまま敵の姿すら見ずに終わるのか?為す術なくやられるのか?
「そんなわけ……………ないだろう!!」
ヴェールヌイは眼前に広がる爆弾の滝に突撃する。背中すれすれで起こった爆風に煽られヴェールヌイはさらにそのスピードを上げる。爆弾の合間を縫ってまるで迷路のような動きで爆弾の雨を抜けていく。
やがて幾百とも思える爆弾は全て爆発し、ヴェールヌイの被害は小破にもならなかった。
「ふぅ……………………人間危機に陥ると飛躍的なパワーを発揮するってのは本当みたいだね。危なかった……………」
ヴェールヌイは背中に冷や汗が流れ落ちるのを感じながら手に持つ錨が汗で滲む。
「休憩なんかしてたらまたあの爆弾雨あられが来る……………………」
ヴェールヌイは少し痛む足を動かし彗星達が帰っていった方へと向かう。
「なぁっ!?」
「これは………………予想以上の………………」
一方長門達はヴェールヌイへと真っ直ぐ単縦陣で向かっていた。
しかし急に赤城は驚愕の、加賀は感嘆の声を挙げる。
「どうした?爆撃機に何かあったのか?」
その声に長門が無線機で問いかけた。
「はい、先程仕掛けた先制爆撃ですが………………いつも敵の旗艦にやっていたあの方法が通用しませんでした。」
「……………なんだと?」
「こっそり飛ばしていた彩雲からの映像だと本命が当たる前に周囲の捨て弾を掻い潜り、抜け出した様です。」
「あれはうちで一番回避が上手い島風でさえ仕掛けられたら最後、直撃は免れない筈。そこまで強いのか………………」
「あれが避けられたのならば長門さんや大和さんの砲撃も容易く回避されてしまうかもしれません。」
「これはヴェールヌイと同じようにスレスレのところまで接近してから白兵戦が一番有効かもしれません。」
「駆逐艦では肉弾戦では不利、赤城達は肉弾戦は無理、となると私達戦艦がやるしかないようだ。」
「そのようですね。」
長門は未だ姿すら見えないヴェールヌイに闘志を高め、拳をグッと握りしめた。
短いけどここまで。今さらだけどヴェールヌイになれたのは主人公とヴェルの魂が融合したから。でも主人公の魂が強すぎてヴェルが取り込まれる感じになったから主人公の精神はそのままという訳。ヴェルも主人公と一体化するならいいやって感じで最後を迎えた。しかしそのおかげで精神はガッチガチに固くなったし、ヴェールヌイにもなったから見返りは………………………ヴェル消えてるから来てねぇな。