響だよ(中身別人)、その戦いぶり(近接が主)から不死鳥(捨てられた小鳥レベル)の通り名もあるよ 作:ヴェルヌイ
「さて、武器もできた。水上にも浮けた。調子は抜群。響、出撃する。」
俺はそう言って海に飛び出す。着水と同時に飛沫が上がり体を濡らすが、それさえもこの爽快感と高揚感の前では全くの無意味だった。
予定ではこのままこの島の周りを哨戒しながら他の島、あわよくば艦娘と出会いたいと思っている。そして敵の駆逐級を沈めながら……………とここまで考えて思い付く。
奴らの体は船のように硬い装甲でできている…………つまり奴らの死骸を再活用すれば……!!
目標は固まった。まずはイ級やロ級、欲を言えば軽巡級を狩りたいと思っている。
しかし先程も自覚した通り俺の装備は暁型の制服と特製錨、後は残弾8発のマグナムのみだ。マグナムは潰れた民家の棚の中から発見した。多分深海棲艦には効かない。
まずは島の南側に向かおう。そこから西側、北側と周り、元の場所に戻る。これだけ聞けば楽そうだが生憎北東側には深海棲艦がうじゃうじゃいる。
もしエンカウントすれば錨しか持っていない俺はすぐに沈められるだろう。それだけは何としても避けねばならない事態だ。
俺1人だけが逝くのであれば全然問題ない。
だが、俺は今響の体を借りてこの世にいる。つまり俺が死ねば響も死んでしまうという事だ。もしそんな事になれば俺は来世でも発狂するだろう。
俺は響が大好きだ。絶対にこの体を沈めるなんてことはさせない。
「さて、そろそろ西側ッ!?」
その時、目的の奴を見つけて咄嗟に岩場に姿を隠す。
鯨のような体型をしているがその姿は似ても似つかぬ不気味な黒、常に半開きに口からは鮫のような歯と一門の砲が覗いていた。
「駆逐……イ級………!」
駆逐イ級、深海棲艦の中でも最弱とも言われており、雑兵という表現がよく似合う。その低い火力や装甲は少し訓練した艦娘ならば余裕を持って倒すことができる程弱いのだが…………
「砲を持たない私からすれば強敵、か。」
それは遠距離からの砲雷撃戦であった場合の話、近距離では巨体な分イ級に分がある。対して響の体は小柄で精々中学生ほどの身長だろう。それ程度では近接戦闘を仕掛けた場合、体当たりをされれば一撃アウトの可能性もある。
こちらは何度も何度も攻撃しなければいけないのに対してイ級は相手に一撃二撃当てればK,Oできる。勝利条件の差がすごい。
「まずは奇襲、その後は困惑しているイ級を滅多打ちにすれば…………運が良ければ勝てる。勝てずとも中破までは追い込める。」
イ級の現在位置は岩場から数十m離れており、奇襲をするならば数mの所まで来てもらわないといけない。
運良くこちらの岩場に向かってきているためこのまま待っていればいずれ来るだろう。
しかし重要なのはタイミングだ。遅く出ればイ級と衝突、または場所がバレて先制攻撃ができなくなってしまうだろう。だが早く出過ぎれば、相手に防御や迎撃の時間を与えてしまう。
そんな事を考えているとすぐそこまでイ級は来ていた。まだ見つかってないがそろそろ奇襲を仕掛けないと失敗してしまう。
俺は最終的に自分の勘を信じて岩場を飛び出した。
「ypaaaaaa‼︎」
錨を振り上げイ級の脳天に突き刺す。ぐしゃりといい音が鳴りイ級の頭が陥没する。しかしダメージは受けたようだがまだ動けるようだ。
さらに今の一撃でキレてしまったのか、高々に咆哮を上げて突撃してくる。
「うわっ!?」
必死に横に飛び退き回避するが、イ級は急転換してこちらへ向かってくる。そしてイ級は大口を開けて俺を飲み込もうとする。
動けない俺はそのまま口の中へ吸い込まれ…………
「はっ!!」
ずに、精一杯錨を横薙ぎに振り払った。
全力の一撃はイ級の頭を砕き、今度こそ完全に生命活動を停止させた。
「ぜぇ……ぜぇ………疲れた………」
体が悲鳴を挙げる。きっと練習も無しに初戦闘でこんなに奮闘したからだろう。主に精神的に疲れた。
自宅(仮)に到着するとソファに倒れこみ、すやすやと眠り始めた。
実際近接戦闘になったらイ級相当強いと思う
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