混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
いまはライオンハート編の序盤を書いています!!
あ、あと設定資料集も大幅更新したので、良ければ確認どうぞ!!
そしてその頃、祐斗達はジークフリートを取り囲んでいた。
とにもかくにも、敵を減らす必要がある。
既にイッセーは曹操に狙いを付けられている。ならば、もはや残りのメンバーで敵を一人減らすしかないだろう。
木場祐斗、ゼノヴィア、紫藤イリナ、ロスヴァイセ。
四人がかりで敵を減らす。それが、残りのメンバーが稼いでいる時間に報いる最後の手段だった。
そして、それをなせる可能性は十分ある。
グレモリー眷属の真のエース。伝説の聖剣使い。天使長ミカエルの
若手においては規格外ともいえる来歴を持つ四人は、必然的に強者である。その実力は生半可な上級悪魔をしのぐほどのものだ。
「いいね。揃いも揃って現役の上級悪魔の眷属をしのぐ猛者揃い。これに滾らなければ英雄の末裔なんて名乗れない」
だが、その四人と対峙してなお、ジークフリートは余裕の表情だった。
強者との戦いに興奮はある、だがそれだけだ。恐れがない。
自分が負ける事など微塵も考えていない、それが見て分かるほどにまで、どこまでも高まっていた。
「これは僕も本気の出しがいがあるというものだよ。ジャンヌとヘラクレスにばかり禁手を見させるのもあれだしね……!」
その言葉と共に、ジークの背中から四つの腕が生え、そのうち三つが魔剣を構える。
最強の魔剣である魔帝剣グラムを筆頭に、五本の魔剣を保有する、ジーク。
その神器、
そして、その数が増えているという事は―
「禁手、というわけかい?」
「ああ。
祐斗にそう得意げに答えるジークは更に余った龍の手で一本のエボリューションエキスをとる。
『ゲオルギウス』
そして、騎士の鎧を身に着けた姿になると、更にその空いた手にアスカロンに似た聖剣が具現化する。
「あれは、シャルバ・ベルゼブブが使っていた……っ!」
「悪魔に裏切り者が聖人の力を使うだなんて!? ああ、主よ!!」
ゼノヴィアが瞑目し、イリナに至っては嘆きのあまり天に祈りを捧げている。
「あの、ここで祈られるとこちらにダメージが入るので後にしてください!!」
ロスヴァイセが苦言を呈す中、ジークは面白そうに四人を見ながら、悠然と六本の伝説の剣を構える。
「龍殺しの末裔が龍殺しのイーツになるのも粋だろう? それに、聖剣なら君の魔剣で台無しになったりもしないしね」
そして、祐斗に興味深い視線を向けながら、ジークはグラムの切っ先を突き付ける。
「さあ、僕を楽しませてくれよ。特にグレモリー眷属の裏エースである君とは全力で戦ってみたかったんだ!!」
そして次の瞬間、六振りの伝説の刃が周囲一帯を切り刻んだ。
「じゃあ、これはどうかな!!」
軽快な動きで曹操はイッセーの攻撃を回避しきり、聖槍を振るう。
相手が本気を出してない事は分かるが、本気を引き出させる余裕もない。
さっき軽く不意打ちで攻撃を受けただけで、アーシアが回復してくれなければ死んでいた。それほどまでに、彼の持つ聖槍と悪魔である自分との相性は悪い。
これが最強の聖遺物。これが、最強の神滅具。
それを保有する曹操は、間違いなく強敵だった。
英雄派のトップというのは伊達ではない。イーツとオーフィスの蛇を使っていたシャルバともまともに渡り合えるだけの実力が彼にはある。
その二つを使っていないのにこの実力。下手をすればムートロンの幹部クラスにも引けを取らないだろう。
だが、それでもやりようはある。
向こうはどうもこっちを計りに来ている節がある。
だから一気に勝負を付けず、悪い言い方をすれば遊びに来ている。
そう、だから―
「ドラゴンショット!!」
「甘い甘い」
さらりとこちらの攻撃を、
「そんな単純な射撃に当たるほど、こっちは甘く―」
そう言いかけた曹操は、しかしすぐに気が付き、目を見開いた。
「避けろヘラクレス!!」
「あん……ぐぉお!?」
リムを相手に爆撃を敢行していたヘラクレスに、曹操が回避したドラゴンショットが直撃する。
大したダメージにはならなかったが、リムがその意図を察するには十分な時間を稼ぐ事ができた。
「でかしやがりましたね、イッセー!!」
その言葉と同時にリムは懐からワイヤー付きの手榴弾を取り出すと、それを投擲。
それはワイヤーによって強化されたままで、ニングと戦闘中のジャンヌが作った聖剣の龍を揺るがした。
「ちょ、何やってるのよヘラクレ……すぅ!?」
「おっとはずしたのです!!」
その隙を突いたニングの斬撃は躱されるが、しかしそれだけで十分だ。
相手がそれぞれの相手に集中できると思い込んでいた隙をつき、そのバランスを一瞬崩す。
なるほど、どうやら言った位置ではこちらが不利のようだ。しかし、これは集団同士の戦いでもある。
ならば―
「捕縛なのです!!」
「うぉ!?」
-チームワークで戦闘を行えば、それだけでも十分勝機がある。
ニングの禁手による魔剣、エクストラカリバーが擬態の力でヘラクレスに巻き付き、そしてその瞬間にイッセーもまた組み付いた。
そして―
「
「
明確に、的確に、お互いが最善手を打つ。
エクストラカリバーの力で一瞬だがヘラクレスは制御され、そしてイッセーの譲渡で出力が大幅に向上する。
その意図に気づいた曹操は妨害に入ろうとするが、その瞬間盛大にずっこけた。
「ぐぉ!? わ、ワイヤートラップ!?」
「ふふ~ん。暗部出身なんで仕込み武装の一つぐらいはありやすぜぇ?」
得意げにニヤニヤするリムに曹操は一瞬殺意を浮かべるが、それが良くなかった。
「隙だらけだぜ、曹操!!」
一瞬で安全圏に退避するついでに、イッセーはアスカロンを振りかぶる。
「曹操!?」
「そちらも隙ありですなぁ?」
そして同時にリムは、曹操に気を取られたジャンヌに迫り―
「終わりなのです!!」
「お、おいまて―」
ヘラクレスは強化された出力で地面に向けて爆発のオーラを発射させられ―
爆発と二つの斬撃が、明確に英雄派に痛打を与えた。
「吠えろ、トールセイバー!!」
振るう雷撃を纏った斬撃が、灼熱の本流を上へと受け流す。
最上級悪魔でもそうは出せない、火力だけなら魔王クラスに届く砲撃。
それを井草は確実に安全圏へと逸らし続ける。
そして同時に光の槍を連発で放ち、確実に伊予に当てて行っていた。
心は痛む。激痛すら感じる。
だが、ここで伊代を止めなければそれ以上に被害が増えてしまうだろう。そうなれば、もっと心が痛くなる事は断言できる。
井草自身ではない。五十鈴の心が痛むのだろう。
それは、看過できない。
「ここで止めるよ、伊予!!」
「やだよ! まだまだ楽しみたいんだもん!!」
その言葉と共に放たれる砲撃を、井草はしかし脅威と思わない。
当たればただでは済まない。下手に躱すと京都に酷い爪痕ができる。死人の数も千や二千では聞かないだろう。被害総額も数百億を超えるだろう。
だがしかし、確実に対処ができるというのなら話は別だ。
これまでの戦いでよく理解した。
ナイアルは、伊予と五十鈴をよく見たうえでイーツを選んでいる。
五十鈴は優秀だ。努力家で、要領だって悪くない。動機と方向性はともかく、イーツとしての力も努力して身に着けている。
何より戦闘センスがそこそこ以上ある。だからこそ、単純火力では劣るが汎用性の高いハストゥールイーツの力を生かして、ロキにすら手傷を負わせるほどの力を発揮しているのだ。
しかし逆に、伊予は戦闘センスが欠片もない。
元々運動神経も鈍い方だったが、戦闘になれば力任せに振るうしかできていない。具体的に言えば、脳筋なのだ。
そして井草の場合は、戦闘訓練も実戦経験も全て肥やしにして、優れた戦士として成長している。
例えイーツの力がなくても、並みの上級堕天使なら確実に倒せるだろう。それぐらいには井草の戦闘能力は向上している。
単純明快に言おう。井草は伊予を倒すのに負担は少ない。冷静に対処していれば、確実に倒せる相手ではある。
大火力をいなす手段が必要ではあるが、しかしそれは取り込んだトールイーツの力で振るうトールセイバーがあれば余裕があった。
「伊予、ここまでだよ」
「むー! なんかこれ、全然楽しくない!!」
かみ合わない会話を気にせず、井草は一歩を踏みこみ、加速する。
渾身の力で接近し、そしてトールセイバーを振りかぶる。
………心の痛みは、あえて無視し―
「おぉっとさせねえぜおらぁ!!」
その直後、顔面に拳が叩き込まれた。
爆発に吹き飛ばされたヘラクレスが、そのまま腕を切り落とされた曹操のところに墜落する。
「ぐほっ!?」
「ヘラクレス! 結構喰らってるね」
「みたいね。こっちも結構痛くて勘弁って感じかしら?」
同じく腕を深く切り裂かれたジャンヌもまた、カバーをしてもらうつもりなのかするつもりなのかはともかく、曹操のところに戻る。
しかし、しかし、流れは明確にこちらに傾いている。これなら勝ち目はあるかもしれず―
「だけど、ちょっと甘いかな?」
-だが、その余裕は曹操が取り出した物を見た事で、驚愕と共に崩壊する。
それは小さな瓶に入った液体。
それその物はイッセー達も知っている。むしろ、何度か使った事もある代物だ。というより、自分達も携帯している。
だが、それはこちら側の物であり、しかも自分達はごく僅かしか携帯できなかった物だ。
「フェニックスの……涙……だって!?」
イッセーが驚愕するのも無理はない。
英雄派達は一人一個使って即座に負傷を治療させている。
だが、テロリストである英雄派が本来手にできる代物でもない筈なのだ。
「……こういう情勢下では、裏で横流しする馬鹿が出やがるとは思ってやしたが……っ」
「多すぎなのです……っ」
リムとニングが歯噛みし、そして曹操は苦笑する。
「全員分手に入れるのは流石に骨が折れたけどね。まあ、ムートロンの方が最終的に有利だと理解できる連中は多いのさ」
そう苦笑する曹操は、しかし感心するかのようにイッセー達に視線を向ける。
「しかしやるじゃないか。こちらの立ち回りを見抜いて一種の隙をついて連携戦闘に移行した。プルガトリオ機関の二人はともかく、赤龍帝は実戦経験どころか戦闘訓練だってまだ一年も経験していないだろうに」
賞賛の言葉に、しかしイッセーは戸惑いと不愉快さを感じる。
「その程度じゃ俺は倒せないって言いたいのかよ」
「まさか。今のは首を狙われていたら危なかった。間違いなく君は優秀な赤龍帝だよ」
イッセーに対してそう答えると、曹操は本心からの笑みを浮かべる。
「俺たちは君対策をいくつか考えていたが、この機転の利きっぷりだと逆手に取られそうだ。どうやら真っ向勝負で行った方が有効らしい」
そう言いながら、曹操は静かに視線を向け―
「具体的には、天敵である龍殺しを投入するとか、ね」
その言葉に、イッセー達は振り向いた。
「なんだ、まだやってるのかい?」
そこには、祐斗達四人をぼろ雑巾のようにしながら、平然と立っているジークの姿があった。
「な……っ!」
「皆さん!?」
イッセーとニングが絶句する中、即座にリムは動く。
剣豪の腕で強化した光の銃を速攻で射撃。
狙いは頭部と心臓。二発ずつ遠慮なく放つ殺意しかない撃ち方である。
それだけの相手だと分かっているからこその射撃だったが、しかしその程度では意味がない。
ジークは迎撃も何もせず、それを受け止めながら前に進む。
血相を変えたアーシアが祐斗達を治療するのも止めはしない。
「高いEEレベルと禁手に至った神器、そして、最強の魔剣を筆頭とする伝説の力」
得意げに体を震わせながら、ジークは魔剣の切っ先をイッセー達に向ける。
「僕こそ現代の英雄だ。さあ、その伝説の礎になってくれ」
どこもかしこも激戦状態。激しい戦いが繰り広げられております。
イッセーは戦闘では機転も利くので、意外とオリジナルの戦闘展開が楽に欠ける時もあります。遊びに来ている油断をついて、ニングやリムと連携をとって一矢報いました。
井草はこれまでの特訓と実戦の積み重ねもあり伊予を圧倒。単純な力任せなら、いなす手段さえあればどうとでもできるぐらいには強くなっています。とはいえ、状況は動いているのでまだまだ安心できません。
そしてスーパージークフリートタイム。イーツの力と魔剣軍団と才能を全部乗せした彼は、単純な性能なら魔王クラスにも通用する化け物です。
とりあえず、パンデモニウム編のボスはこのイーツジークとなります。