混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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記念すべきゾロ目の111話です!!

幸か不幸かちょっと節目に近い話が入りました!!


4話

 

 そして、次の日。井草は一仕事会って部活の会議に遅れてしまった。

 

 トイレによってから向かっていたら生徒同士の喧嘩を目撃して、仲裁に回っていたのだ。

 

 なんでも二人は二股をかけられていたらしく、それで喧嘩をしていたらしい。

 

 事情を聞き出すまでに三十分ぐらい掛かって、「とりあえず二股かけた女の方を怒りなさい」と説得するのに更に三十分掛かった。

 

 これはリアスに怒られそうである。

 

 部活動は事実上サイラオーグとのレーティングゲームのミーティングになる予定なので参加しない井草は問題ないが、その前後は学園祭の準備をする事になっているのである。

 

 しかし実際問題、このイベントは重要だろう。

 

 そろそろリアス達も知る事になるだろうが、井草は堕天使側のパイプで既に知っている事がある。

 

 英雄派の活動の成果である、禁手(バランス・ブレイカー)に至った者の大量発現。それによるノウハウは、人工的な禁手の至り方に到達している可能性があった。

 

 本来なら独占する事で、禍の団の技術的優位を高めるのが普通だろう。こと神器研究の最先端である神の子を見張る者に把握されれば即座に流用されると危険視するはずだ。

 

 だが、英雄派は一味違った。

 

 既に技術は広く知られている。それも流出ではなく、流布だ。意図的にばらまいている。

 

 だが、そのばらまいている相手が問題だ。

 

 具体的には、異能側の勢力に所属していなかったり、現政権の転生悪魔の保有者などに知らせているのだ。

 

 現実問題、その手の類の神器保有者には現状に不満を持っている者も多い。

 

 異端を排斥したがる人間は、異能保有者を排斥する事が多い。実際問題、イッセーと戦った英雄派の中堅メンバーは排斥されていた事を自白している。

 

 また、悪魔の中には詐欺一歩手前の不平等契約を結ぶ者も多い。和平が結ばれた事でサーゼクスだけではなく他の勢力からの目も入ってくる為契約を更新している者もいるが、そうでない者もいる。リアスのような好待遇かつ善良な主はそう多いわけではないのだ。

 

 そういう手合いが急激に力を付ければ、当然如く使うだろう。

 

 溜まっている鬱憤を晴らす方法が手に入った。これまで泣き寝入りするしかない脅威に対抗する力が手に入った。それほどの力を手に入れてしまえば、振るってしまうのはおかしな話ではない。

 

 強大な力はそれだけで人を狂わせる。そこに酷い境遇が加われば、そうなってもおかしくないのだ。

 

「色々面倒な事になってるよね、現状」

 

 まったくもって面倒な話だ。

 

 和平によってより良くなっているところはあるが、それ以上に情勢の変化の方が早い。漸く改善できるようになっても、それより先に暴走が起きれば意味がない。

 

 そして、それらの事件が増えれば民衆の心は沈んでいく。兵士達の士気も下がっていくだろう。

 

 だからこそ、こういったイベントで発散し、心を和ませる必要がある。

 

 旧魔王派に大打撃を与えたリアス・グレモリー眷属と、バアル義勇軍の中核であるサイラオーグ・バアル眷属。

 

 この民衆に人気の二大眷属が競い合うレーティングゲームは、実に民衆を熱狂させるだろう。

 

「リアスちゃんにはパフォーマンスを考慮してもらうべきかなぁ」

 

 だがそれで負けるのは残念だ。サイラオーグには悪いが、オカルト研究部の一員として、リアス達にはぜひ勝ってほしい。

 

 しかし盛り上がらない試合では、金をかけた意味もないだろう。ヤマのない試合は一般市民には受けが悪いものだ。

 

 世の中難しいものだと、色んな意味で思いながら扉を開けようとして―

 

「……馬鹿っ!!」

 

「ふぶぁっ!?」

 

 いきなり開いたドアに顔面を強打して、井草はもんどりうった。

 

 そして勢いよく開けたリアスは、そのまま井草に気づかず全力で走り去る。

 

「はうぉ!?」

 

 ……鳩尾を踏んづけて。

 

「リアスお姉さま、待ってください!!」

 

「ほぐぁっ!?」

 

 とどめに、リアスを追いかけたアーシアには股間を踏まれて、井草は失神した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、何があったのさ?」

 

 数分後に意識を取り戻した井草は、とりあえず事情を問い質す。

 

 しかし何故かイッセーはいない。

 

 気絶している間に朱乃が追い払ったといったらしい。しかも、リアスを追いかけるのではなくリアスから引き離す方向でだ。

 

 何か前にも似たような事があったよなぁと思いながらの井草の目の前で、イリナが額に青筋を浮かべそうな勢いで声を張り上げる。

 

「簡単よ! イッセー君が酷いの!!」

 

「い、いえイリナさん。お母さまが原因といえば原因ですし……」

 

 そうレイヴェルはイリナに物申すが、しかし其の場いた全員が首を横に振る。

 

「いや、確かにきっかけではあるが、とどめを刺したのは完全にイッセーだ」

 

 そう言い切るゼノヴィアに、小猫も同意する。

 

「……流石に看過できません」

 

「確かに、ちょっと同意見だね」

 

 と、祐斗もそういうと、眉間にしわを寄せる。

 

「流石にイッセー先輩をフォローできないですぅ」

 

「同感ですわ。リアスが爆発するのも当然です」

 

 こういう時フォローしたりする側である朱乃や、基本振り回されて意見具申できないタイプのギャスパーすらこうだ。

 

 どうやら、余程の事をイッセーはしでかしたらしい。

 

「で、具体的に何があったのか、俺に教えてくれない?」

 

 とりあえず、イッセーをフォローするにしてもイッセーに駄目だしするにしても事情を知らねばならない。

 

 そう判断し、井草は事情を聞き出す。

 

 ことの発端はレーティングゲームのミーティングが終了した後。教師としての職務がある為、教師側であるアザゼルとロスヴァイセが退室してからだ。

 

 そのまま学園祭の準備をしようとした一同の目の前で、フェニックス家夫人……つまりレイヴェルの母が通信を繋げてきたのだ。

 

 問題は、その内容だった。

 

 会話の内容はどんどんレイヴェルに対する指導的な内容に変化。具体的にはリアスを立てろなどといった内容である。何というか、正室をたてる側室の心得的な。

 

 そしてイッセーに「レイヴェルは事実上フリー」である事を念入りに伝えた。

 

 ……どうやら、フェニックス家は娘を赤龍帝に輿入れさせたいらしい。息子の結婚を台無しにされた割には好意的である。

 

 だが、ここで問題が発生する。

 

 なにせ相手はイッセーである。ゼノヴィアはともかく、不倫という相手が結婚する事を前提としている朱乃や、あからさまに告白しているようなものであるアーシアの恋愛感情にすら気づいていないイッセーである。

 

 当然の如くそこにも気づいていない。

 

 だがしかし、そろそろいい加減限界になっていた。

 

 婚約者の試練すら乗り越えたにも関わらず、未だにリアスの好意を「下僕に向けるもの」と認識しているイッセーに、リアスがいい加減ストレスを爆発させかけたのだ。

 

 それでも気分転換のつもりか黙って外に出る程度だったのに、そこでイッセーが声をかけたのがまずかった。

 

 リアスは我慢しきれずこう聞いたのだ。

 

「あなたにとって私は何?」と。

 

 そして、イッセーはそこに至ってなお鈍感だった。

 

「部長は部長」そう答えたらしい。

 

 流石にこれでは脈無しと思ってもおかしくない。

 

 恋する乙女としてはイラつきもするだろう。

 

 だがしかし、井草は怒る気になれなかった。

 

「……五十鈴の件があるから、俺からはイッセーには何も言えないかなぁ」

 

 ある意味もっと酷い真似をしているからである。

 

「いや、あれは枢五十鈴にも問題があると思うんだが」

 

「まあ、枢五十鈴の側からすれば、結構傷ついてもおかしくないわよねぇ」

 

「彼女の方が問題が多いとはいえ、確かにデリカシーにかけている対応はしていましたものね」

 

「……実は同類?」

 

 ゼノヴィアとイリナと朱乃が反応に困り、小猫に至っては割と容赦がない。

 

 だが、ある側面においては事実であるのは確かである。井草の発言にも問題はあったので、そこそのものは否定できない。

 

 とはいえ、内容が内容なのであえて口にするのもはばかられる。

 

 だが、知らない者がいる状況下では一人困惑する事もあるだろう。

 

「……あの、井草さんは何をなさったのですか? わたくし、その辺りは聞いてなくて……」

 

 その辺りについて詳しくないレイヴェルが、隣にいたギャスパーに質問する。

 

 これにはギャスパーは大弱りだ。

 

 なにせ内容がないようである。とても話が長くなるし、簡単にまとめると井草の評価が地に落ちかねない。とはいえムートロン絡みの情報はオカルト研究部に属する以上、ある程度は知らせる必要もある。

 

 だがしかし、それをコミュ力の低いギャスパーに聞いたのはレイヴェルのミスである。

 

「え、あ、井草さんは以前ちょっと色々あって、自己嫌悪が酷くて自己評価が最悪で……ってそこは重要じゃないか? えと、その……ね?」

 

 と、、しどろもどろになるギャスパーは、かなり最初の方から説明を開始しかけてしまい―

 

「「「「……あ゛」」」」

 

 その言葉で、約四名がふと気づいた。

 

 具体的には、イッセーが入る前のオカルト研究部メンバーにして、イッセーが入ってからの三大勢力の共闘じみた揉め事に関わった井草達四人である。

 

 井草・ダウンフォールは自己嫌悪と自己最低評価の塊だった。

 

 人からどれだけ褒められても、自分のようなものが褒められている事があり得ないし、褒めさせてしまっている事を申し訳なく思うような人物だった。

 

 それは過去のトラウマによるもので、これがまた根深かった。

 

 そう、トラウマによる歪みは、基本的に根深いのだ。

 

「誠に申し訳ありません!! 神の子を見張る者(グリゴリ)の失態です!!」

 

 井草は速攻で土下座をぶちかました。

 

「……盲点でした」

 

 小猫は珍しく愕然とした表情を浮かべるが、これは仕方がない。

 

 今から思えばあの戦いは、悪神や神殺しや魔王末裔などといった格の違いすぎる存在との闘いを経験しすぎたグレモリー眷属からすればとるに足らない戦いだったからだ。

 

 だが、しかし何事も最初は絶大である。

 

「そう、イッセー君、時々私達を怖がってるような目で見ていた気がしたけど……」

 

 朱乃の言う通りなのだろう。

 

 それだけの傷をイッセーは負っていたのだ。

 

 下手に井草の傷が深すぎる所為で、それも目くらましになっていただろう。

 

 実際井草に比べれば軽傷ではある。

 

 だがそれは比較でしかない。おそらく傷の深さは十分重症といって過言ではない。

 

「そうか、確かにそうなってもおかしくない……」

 

 祐斗は友の傷に気づかなかった事に後悔する。

 

 そう、トラウマになってもおかしくないのだ。

 

 そういう人物だからこそ、皆は兵藤一誠という男のことが大好きなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、井草はリアスを屋上で見つけた。

 

「探したよ、リアスちゃん」

 

「……井草」

 

 腫れた目を向けるリアスに微笑むと、井草は缶ジュースを手渡す。

 

 そして自分は缶コーヒーのふたを開けると、そのまま隣に腰を落とした。

 

「……なんで、気づいてくれないのかしらね」

 

 リアスはそうぽつりと漏らす。

 

「……そりゃ、目を逸らしてるからだよ」

 

 そして、井草の答えに目を開く。

 

「嫌われてるのかしら?」

 

「ないない。むしろ逆さ」

 

 井草はリアスの勘違いをまず否定すると、空を見上げる。

 

 まったくもって気づかなかった事が情けない。

 

 おそらく、この駒王学園で最もイッセーの傷に気が付くべきなのは、類似性から言っても立ち位置から言っても井草であるべきだったのにだ。

 

「……俺の場合は「自分は屑だ」という前提があったから、どれだけ褒められても認められてもそれを受け入れられなかった」

 

「確かにそうだけど、それは今言う話なの?」

 

 リアスの疑問ももっともだが、しかし今言う話である。

 

「そりゃ、イッセーも広義。的には似たようなものさ」

 

 そういうと、静かに顔をうつむける。

 

「違うのは、俺の場合は自分にも責任があって、イッセーの場合は自分には責任はない事だね」

 

 そう、イッセーには責任はないだろう。

 

 しいて言うなら迂闊だが、それは詐欺の被害者に「騙されたお前が悪い」というようなものだ。

 

 より正確に言うなら、「運が悪かった」というべきで、責められるとするならば神の子を見張る者の任命責任だ。

 

「女絡みのトラウマは、男にとって絶大なんだよ。……しかも文字通り殺されてるなら、ね」

 

「………っ」

 

 その言葉に、リアスも事情を理解する。

 

 堕天使レイナーレ。

 

 ただの一般人であるがゆえに神器を暴走させる危険性があったイッセーを調べ、結論次第では殺す任務を受けた神の子を見張る者の部隊のリーダーである、中級堕天使。

 

 そして、兵藤一誠という男を弄んで殺した、堕天使の面汚しの1人。

 

 冷静に考えれば当然だ。嘘の告白をされて弄ばれたあげく、一度殺されたのだ。トラウマになってないわけがない。

 

「まあ仕方がない。だってイッセーはスケベなまんまだし」

 

 これが目くらましになっていた。

 

 普通女関係でトラウマになっているのなら、女性恐怖症の類も発生するし、苦手意識も持つだろう。

 

 だがイッセーは常人が正気を失うほどの煩悩が飛んで行ってもなお普通に覗きを敢行する剛の者だ。これまで起こしてきた煩悩による異形の数々を考えれば、常識で考えてはいけなかった。

 

 きわめて単純な事だったのだ。イッセーがここまで鈍感なのは―

 

「心的外傷による無自覚な恋愛恐怖症。そりゃ殺されてるんだからなってもおかしくないわけだよ」

 

「………私は、主失格ね」

 

 リアスはへたり込むとうつむくが、それは違うだろう。

 

「小猫ちゃんの時にも言ったけど、リアスちゃんは頑張ってる。それにこれは、元を正せば俺達堕天使側の過失さ」

 

 実際問題レイナーレの所業は神の子を見張る者でも問題視された事だ。

 

 井草が事情を説明しただけで、脅しとはいえ査問会をちらつかせるほどの事だ。それほどまでにレイナーレの所業は悪質だった。

 

「それに、これも言ったけど、これは本来上が対処する事だよ。怒られるべきは堕天使側で、リアスちゃんの責任じゃない」

 

「……優しいのね、井草は」

 

 リアスはそう言うと、空を見上げる。

 

「待つしか、無いのかしら?」

 

「カウンセラーの手配は先生に言っておくよ。ドライグの方で手配をしてるらしいし、ついでにしてもらう」

 

 堕天使のトップなのだから、堕天使側の責任問題には手伝ってもらおう。

 

 井草はそう判断すると、リアスに苦笑を向ける。

 

「まあ、俺の時よりは大丈夫だよ」

 

「……根拠は?」

 

 どうしても気になるリアスだが、井草は笑って断言した。

 

「リアスちゃん達がいるからだよ。愛は全てを救うのさ、俺のようにね」

 

 そう茶化して言うと、リアスは漸く本心からクスリと笑う。

 

 その笑顔はきっとイッセーを癒すと、井草は心からそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ふとうつむくとブルーになる。

 

「……でも最近ニングとリムは忙しくて会えないんだよねぇ。俺、愛想つかされるんじゃないだろうか?」

 

「カウンセラーが必要なのはあなたもね」

 

 半分冗談だから勘弁してほしいと、井草は思った。

 




方向性は全く違えど、ある意味で似通っているイッセーと井草。恋愛がらみの根深いトラウマは、長続きしやすいものなのかもしれません。

そして次回からアグレアスに舞台を移します。

さて、そろそろこの章も加速していきます!!
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