混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
出来ればもう一話作っておきたかった。ある意味でめちゃくちゃ節目の話なのに……っ
そして数日後、ついにリアスとサイラオーグのレーティングゲームが開始される事となった。
舞台となるのはアガレス領に存在する浮遊島アグレアス。
大昔の遺跡もあり、レーティングゲームの聖地でもあるという、観光名所である。
……ちなみにアガレス領になったのは魔王派と大王派が余計な諍いをしたからだが、その辺はどうでもいい。
無駄に金が動くは各勢力の注目を集めるはそれぞれ魔王と大王の肉親が戦うは神滅具同士の激突もあるはで、色々と影響力が多いのも問題である。
とはいえ、この戦いはお互いの夢もかけた戦いだ。そう簡単に譲る事はできないだろう。
そしてイッセーとサイラオーグは、どちらも神に届くだけの牙を持った実力者。
断言しよう。この戦いはまず間違いなく熾烈な争いになる。
「……なのにリムとニングにはまだ会えない!! デートしたかった」
そして、井草は凹むどころか一周回って激昂していた。
大王派からしても現魔王派からしても、旧ルシファーの末裔を迎え入れる事は大きな意味がある。
なので最近忙しいが、しかしこんな時まで忙しくなくてもいいだろう。
とりあえずメールで「試合中には合流できる」とは言っていたが、できればもっと早く合流したい。
いい加減二人のぬくもりに飢えている。涙すら出てきそうだ。
「よし、やけ食いやけ酒で発散しよう」
本当にやけである。
故に井草は速攻で屋台に突撃をかまそうとし―
「何やってるのよぉ、井草ぁ?」
その後頭部に、柔らかいおっぱいの感触を味わう事となった。
そしてその感触で誰か分かる辺り、井草は自分でもどうかと思うぐらいスケベだなぁと思ってしまう。
「あの、恥ずかしいからやめてくれない、ピス姉さん」
「いいじゃなぁい。堕天使らしいでしょぉ?」
そう茶化すように言うピスは、微笑みながら井草をぎゅっと抱きしめる。
非常に美人かつグラマラスなピスと、普通に美男子の範疇である井草のそんな光景に注目が集まる。
しかし井草もモデルではあるが特撮関係者だ。イッセーほどではないが知名度はある。
……というより、ナイアルが過去話をばらまかれたとしてもフォローできるようにする側面が仮面ファイターレセプターにはある為、井草の知名度が上がらないと困るのだが。
とはいえニングやリムとできている井草からすれば、ここでスキャンダルが流れる事はまずい。
新たなるルシファーの恋人が、ここで色ぼけていたら第三次な可能性がある。
炎上騒動だけは勘弁だ。井草はともかくニングがまずい。
「ピス姉さん!! ちょっとほんとに勘弁して!! ニング的な意味で!!」
「いいじゃなぁい。冥界はハーレムOKなんだから、いっそのこと「ルシファーすら射止めたハーレム堕天使」とか名乗れるようになってみたらぁ?」
平然とそんな事まで言ってきた。
それはそれで魅力的かもしれないが、まずはニングとリムの許可を得るべきだろう。
……それさえあればピスとそういう関係になってもいいという事であり、それに気づいた井草は自分で戸惑ったが。
「……ピス姉さんのことは大好きだけど、物事には順序ってものがね?」
「そうだねー。あとTPOとかも大事だねぇ」
と、そこで後ろから伸びた手が、ピスを井草から引きはがす。
視線を向ければ、そこにはデュリオがいた。
「あれ? デュリオさんが何でここに?」
「デュリオでいいよ井草君。いやぁ、冥界の美味いものを味わおうと思っていたら、そこのピスさんに誘いを受けてね。何人か転生天使や堕天使側の人も来てるよ?」
どうやら、ピスは色々と交友関係を広げているらしい。
昔から意外とできる女性だと思っていたが、ここでも力を発揮しているらしい。
「相変わらず、ピス姉さんは凄いね」
「ふふぅん。もっと褒めて惚れ直していいのよぉ?」
などと得意げに言うが、そんな事をするまでもない。
「いやいや、ピス姉さんのこと、俺はかなり大好きだよ?」
「………わぁ」
なんか赤面された。
「いやぁ、井草君もやるねぇ?」
デュリオはそう言ってからかってくるが、しかし、府と何かに気づくと、真剣な表情を浮かべる。
「そういや、君には謝った方がいいかもしれないね」
「へ?」
何かされた事があっただろうか。
言っては何だが付き合いは薄い方だ。というか、出会った事が一度ぐらいしかない。
その一度で命がけの共闘をした仲だ。彼がいなければシャルバ達は倒せなかったし、礼を言うことこそあれ詫びられる事はない。
なので首を傾げていると、デュリオは苦笑した。
「俺の虹色の希望だよ。あの時枢五十鈴って子に使ったじゃん」
その言葉で井草は思い出す。
そうだ。デュリオはその結果をもって、五十鈴は救えないと判断した。
だが、それは謝られるような事じゃない。
「いや、デュリオは悪くないよ。いっちゃなんだけど、あれは俺や五十鈴が悪い」
実際そうである。
ことの発端は井草に責任があり、それが複雑に絡まった結果、五十鈴が暴走したようなものだ。
普通、愛する男の思い出を強く持っているからこそ彼に恨まれる存在でい続ける為にテロリストをやり続けるなどしない。想像できないし、想定できない。
デュリオは断じて悪くない。ナイアルが元凶で井草がきっかけであり、五十鈴がやった事だ。考えすぎである。
「……むしろ俺達の因縁に巻き込んで悪かったよ。謝るのはこっちの方さ」
「まあ、井草も問題あったものねぇ」
ピスもそう苦笑すると、デュリオが持っていた唐揚げをひょいとつまむ。
そして三口で飲み込むと、そのままポンと二人の肩を叩いた。
「まぁ、あまり気にしすぎたら駄目よぉ? 此処はお互い悪いところがあったって事にして、どうするか考えましょぉ?」
そういうピスに、二人は苦笑を浮かべた。
「……年長者に言われると、従うしかないねぇ」
「そうだね。まったくだ」
そう井草とデュリオは苦笑し―
「………な!? ちょっと待ってぇ!!」
「「ぐふぅ!?」」
いきなり走り出したピスに首根っこを掴まれて、ぐきっという音を鳴らした。
アグレアスの街並みを直感で走り、そして後ろを振り返ると、五十鈴は息を吐いた。
……京都から迷走してはや数日。隠れる為にムートロンで習得した知識をフルに使った結果、気づけば冥界まで来てしまっていた。
そしてグレモリーとバアルのレーティングゲームが開かれるアグレアスまで流れ着き、冥途の土産に一大イベントを見ていこうかとしたら、寄りにもよって井草とピスに、以前やりあったデュリオとか言う転生天使を見かけてしまう。
冷静に考えれば井草は居て当然だ。彼はグレモリー眷属と共に行動する仲間なのだから、観戦に来ても何らおかしくはない。
どうも死期が近づいて色々と低下しているらしい。判断力と想像力が低下しすぎている気がして、頭痛すら感じてきた。
これは考え直した方がいいだろう。これ以上此処にいると、見つかる恐れがある。
下手に暴れてこのレーティングゲームを台無しにするわけにもいかない。そんな事になっても賠償責任を果たせない。
そう判断し、五十鈴はすぐに離れようと足を動かそうとし―
「―捕まえた」
―優しく、しかし力強く井草に抱きしめられる。
「………え?」
困惑する五十鈴の視界が暗くなる。
一瞬これが死ぬ直前かと思ったが、ただ影が差しただけだった。
「全くもぉ。逃げ足が速くて焦ったわよぉ?」
「いやぁ、追跡が速すぎてこっちの首が折れかけたけどね」
そう苦笑するピスとデュリオが舞い降りる、完全に囲まれる。
逃げ場がない。そう察して、五十鈴はどうしたものかと思ってしまう。
だがどうしようもなく、五十鈴は選択肢がない現状に困り果てた。
逃げ場はない。だが、合わせる顔だってない。今更どうしようもない。
どうしろというのだ。どうしようもないというのに、いったいどうすればいいというのだ。
そう思い、五十鈴は俯こうとし―
「……五十鈴」
静かに井草はそう言うと、更に深く強く……しかし優しく五十鈴を抱きしめ直す。
それを肌で感じて、五十鈴は涙をこぼす。
泣く資格もない。そんな事は分かっている。
だがそれでも、井草に抱きしめられて、優しく想いを形で示されて、喜んでいる自分がいた。
……もうごまかせない。
五十鈴は全身から力が抜け、そのまま井草に身を任せる。
ちなみにデュリオとピスは逃げ出されないように警戒こそしているが、しかし後ろを向いている。
「ごめんね、五十鈴。……自分の気持ちに気づかず、五十鈴の想いにも気づかなくて、本当にゴメン」
井草は心から謝る。
彼にとって自分がどれだけ大事な存在かを自覚せず、自分が彼のことをどう思っているかも気付かなかった。その所為で、五十鈴の道を踏み外させてしまった事を謝る。
「そしてありがとう。そんな俺のことを、今でも想っていてくれて、本当に嬉しい」
井草は心から感謝する。
そんな男のことをいまだ愛して、そして彼の為になる事をやり方はどうあれ血を吐くほどに努力してくれた事を、感謝する。
「だけど駄目だよ。俺は五十鈴のことが大好きだから、五十鈴が傷つくだけなのは見てられない。そんなつらい事はやめてくれ」
井草は心から怒って心から悲しむ。
そんな五十鈴がずっと血に汚れる道を進み、そして井草から離れようとする事が、許せず、そして嘆いている。
その本心からの言葉に、五十鈴はついに折れた。
「い、くさ」
名前を呼ぶ。
それだけで、心が温かくなる。
「……井草ぁ」
名前を呼ぶ。
それだけで、涙が出るほど嬉しくなる。
そして、それだけでは我慢できない。
「井草。私、井草のことが大好き。惚れ直した。昔よりも、愛してる」
心から、井草に対する想いを告げる。
昔の、ほっとけなかった幼馴染が好きだった事を思い出す。
そして、カッコツケで、しかしどこか自分達とは違う側面を見せていた少年が眩しく思えた事を思い出す。
なにより、最低の裏切りをした自分を、それでも大事だと言ってくれる井草・ダウンフォールに対する恋心を改めて自覚する。
だからこそ、五十鈴は井草の体温が愛おしい。抱きしめられている事がありがたい。彼が自分のことを想っていてくれる事が、幸せで幸せで仕方ない。
「……俺は、ニングを裏切れない」
それはそうだろう。
裏切られた苦しみを知っている彼が、今愛する少女を裏切る事などできはしない。
だが、井草はそれでも五十鈴を離さない。
「……でも、五十鈴も伊予もリムもピス姉さんも大事だ。そこにも嘘はつきたくない」
恐ろしいほど恥ずかしそうに、最低な事を言っていると自分を恥じながら、井草はしかしはっきりと言う。
そして、不安に震えながらも、井草ははっきり言いきった。
「だから、せめて……もう逃げないでくれ……五十鈴」
ぎゅっと抱きしめながら、井草は五十鈴に懇願する。
「俺は、五十鈴と一緒にいたい。恋人でなくても幼馴染のままでもいい。もう去らないでくれ、五十鈴……っ」
その言葉が、嬉しくて嬉しくて堪らない。
一夫一妻が基本の日本人の感覚からすれば、ふざけるなだろう。昔の自分なら、一発殴り飛ばしていたかもしれない。少なくとも素直に受け入れるのは難しい。
だが、幸か不幸か五十鈴は既に壊れてしまっている。
ナイアルに玩具にされた事が、こんな事で有利に働くとは思わなかった。
……素直に嬉しい。心からそうでいたい。
「うん。私も、そうしたいなぁ……」
だから、それがしたくてしたくてたまらなくて―
「………死にたくないよぉ、井草……っ」
-それができない事に、涙が止まらなかった。
ついに井草たちが五十鈴の現状を思い知ることに。
そして次から奴らが動き出します!! どうなる、イッセーたち!?
あ、活動報告でアンケートじみたことを書き込んだので、良ければご一読ください。