混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
今のままではイッセーたちに勝機なし。だが、世の中予想外の出来事が起きるのは当たり前で……。
全方位から襲い掛かる灼熱。
痛烈なカウンターで叩き込まれる雷光。
その一撃をもってサイラオーグ達とイッセーは吹き飛ばされ、その多くが動かなくなる。
かろうじて動けるのはフェンリルと美候のみ。しかも彼らもまた重症だ。
そして他のメンバーも刻一刻とボロボロになり、迂闊に動けない。
アーシアが回復のオーラを連続で放っているからかろうじて拮抗しているが、しかしそれもいつか限界が訪れるだろう。
それを見て、ビルデは嘆息した。
「もう少し粘ると思ったのだが、この程度か」
心底落胆した。期待外れだった。
ビルデはもう少し苦戦すると思っていた。
勝ち目はある。十全にある。よほど油断しなければ、間違いなく勝てると踏んでいた。
だが、ここまでストレートに勝てるとは思っていなかった。
「イッセーさま!! しっかりしてくださいまし!!」
「イッセーくん!! ああもう、砕けなさいよ、この結界!!」
見ればフェニックス家の長女とミカエルの転生天使が結界をこじ開けようとしているが、それも難しいだろう。
当面は持つのでこれもまた問題ない。
ビルデはそう結論付けると、頬杖をついて目を閉じる。
難敵だと思っていた。少なくとも、油断すれば喰らいつかれる危険性を考慮していた。
だが結果はこれだ。本来の眷属より弱い者達で構成された代役で圧倒されるという現状に、ビルデは落胆していた。
「所詮は鍛錬を妄信するような連中か。その努力を技術の取り込みに向ければ、話は変わっていただろうに」
そう告げると、ビルデは立ち上がろうとする。
このまま情けないところを見るのもあれだ。いっそ解釈してやった方が慈悲だし、此方にとってもストレスがない。
そして再び双狼の神喰鎧を具現化しようとした、その時―
「―そうはいかないわね」
一瞬。僅か数秒程度の時間だった。
その数秒間、外部からの結界が僅かに切り裂かれた。
そして、墜落するように十名強の戦士達が舞い降りる。
それを率いるのは、桃色の髪を持ち、角を生やした一人の女性悪魔。
その姿を認め、ビィディゼは舌打ちする。
「ここで貴様が来るか……っ!」
「ええ。流石にこれは見過ごせないわ」
そう返答する女性悪魔は、一歩前に出ると、一礼する。
「お初にお目にかかります、旧魔王血族の方々。私はロイガン・ベルフェゴールと申します」
「あん? なんでこんなところに元2位が……おぉっと!」
視線を逸らした瞬間にコールブランドが襲い掛かり、オギアは思わず声を上げる。
これでは魔王血族は動けないと判断して、ビルデが対応する事を決める。
「さて、見過ごせないとは何の事かね?」
心底からそう思い、そして聞く。
何故か彼女は、王の駒が発表された後の大魔王派の誘いに乗らなかった。
大魔王派への亡命を断り、その使いを捕縛すると現魔王側に献上。そしてそれを交渉材料に使う事なく、王の駒の使用を素直に認めて今は事実上の謹慎状態だ。
そして、間違いなく強大な敵意を自分達に向けている。
それが分からない。
自分は間違いなく相応の待遇を示した。それだけの実力を持っている事は認められるし、技術による底上げを認めているビルデは、ドーピングだろうと何だろうとそれに見合う実力を手にしているのなら気にしない。むしろ足りないものを補った者として評価するのだ。
なのに、あえて地位を捨ててまで現政権側についている理由が読めない。
「レーティングゲームなどという戯れをしなくても相応の地位につけるのに、それを蹴って名誉を失墜する事を認めた。そのうえで、この戦場に割って入った理由を伺いたい」
心底からの質問だったが、その瞬間に、心からの敵意が込められた視線を向けられる。
そしてその瞬間悟った。
この女は、ビィディゼ達とは根本が異なっている。
「……私はレーティングゲームが好きだった。そして、好きだからこそ高みで戦いたくて、王の駒に手を出したわ」
静かに一歩前に出て、ロイガンは告げる。
「そこに後悔はないけど、馬鹿な事をしてる自覚はあるの。そして、若手達がそんな事をしなくても私の高みに来れるかもしれない事が嬉しかった。リアス・グレモリーとサイラオーグ・バアルはその筆頭よ」
その言葉と共に、ロイガンは真正面からビルデと対峙する。
「人のことは言えないけど、その最高のレーティングゲームを汚されて、黙っているわけにはいかないわね」
「なるほど。誰にでも譲れぬ物はあるか。理解した。卿の聖域を土足で穢し、怒りを買ったは認めよう」
そう告げ、そしてビルデは戦闘態勢を取ろうとし―
「おいおい落ち着けよ。そもそもイレギュラーは俺の担当だろ?」
その言葉と共に、ナイアルが前に出る。
傍にはフードを取った伊予がおり、完全な戦意を向けていた。
「凄いねナイアルさんっ。こんなにたくさんの人が見てる前で、戦えるんだっ」
「ああ。一般人には一生できねえ非日常だ。思いっきり楽しめよ」
うきうきする伊予のそう告げながら、ナイアルは首をコキコキと慣らしながらロイガンを見据える。
そしてロイガンも怒りを抑えて戦闘態勢をとる。
断言していい。彼は先ほど鎧を纏ったビルデに匹敵……否、凌ぐ存在だ。
感情に呑まれればすぐに終わる。相手は間違いなく主神クラスなのだと判断するほかない。
『クトゥグア』
『アント、レベル2 クイーンアント』
その言葉と共に、二人の姿が変化する。
二体のイーツと化した二人はそのまま攻撃を仕掛けようとして―
「………ろ…す……っ」
その、殺意と憎悪にまみれ切った声に、誰もが一瞬動きを止めた。
どす黒い、などという言葉すら生ぬるいほどの憎悪の念が、これでもかといわんばかりに聞こえてくる。
そして、その声の先では空間が割けていた。
リアス達がきょとんとする中、ビルデとナイアルはハタと手を打った。
「ああ、忘れていたがついでに裏切り者もおびき寄せると言っていたのだな」
「ん、ああ。緊急用の転送コードを此処だけそのままにしてたんだよ。ま、入ったら出れねえように仕掛けてるがな」
ビルデにそう答えたナイアルは、そして面白そうに肩を震わせる。
「一応何人かは入れるようにしてたんだが、さてどんな傭兵でも―」
連れてきた。という言葉は言えなかった。
その顔面を、蒼い装甲を纏った拳が叩き付ける事で塞がれたからだ。
衝撃波と轟音がコロシアム中を揺らす。その勢いは絶大で、ビルデがヴァーリを叩きのめした時を遥かに凌ぐほどだ。
それだけの衝撃を受けたナイアルは、しかし不敵に笑うとフックを放つ。
全く聞いていない、そう言わんばかりの反撃を、しかしその青い装甲は意に介さない。
喰らってのけぞりながらも、しかし強引に態勢を整えると再び攻撃を再開する。
殴る、殴る、殴る。
殴る殴る、殴る殴る。
殴る殴る殴る。
戦術も駆け引きも一切なく、感情に任せて殴られながらも一切気圧される事なくナイアルを殴る。
「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるよナイアルぅうううううううううう!!!」
魂からの憎悪と殺意を込めて、井草・ダウンフォールは殴り続ける。
「……井草、さん………?」
味方の回復に集中していたアーシアは、しかしその光景におびえすら感じる。
誰もがその光景に気圧され、戦闘を中断している。その隙を突いて回復を追いつかせる事もできはしない。
それほどまでに、目の前の井草は異常だった。
普段の様子が欠片もない。完全に狂戦士といわんばかりの暴走を見せ、ナイアルを殴り続けている。
しかしナイアルはそれを意に介していない。わざと喰らいながら拳を当て続け、井草を叩きのめそうとする。
その打撃すら本気ではない。本気で殴ればすぐ終わってしまうから、手加減して楽しもうという悪意がアーシアにすら分かってしまう。そんな百パーセントの遊びでの打撃戦だった。
「井草さん? 一体、どうして……?」
それが分からない。
確かに、ナイアルは井草にとって怨敵だ。その理由は分かっているし、そこを否定する気もない。
だが、そういうレベルを超越し、井草は暴走していた。
最大火力であるトールセイバーも、自身の持ち味である多様性も活かしていない。完全に頭に血が上って暴れているだけだ。
彼はそういうタイプではない。もっと冷静に立ち回れる男だったはずだ。
それが、いったいどうして―
「見つけたわよ、ナイアルぅ!!!」
そして、新たなる攻撃が叩き込まれる。
現れたのはピス・ダウンフォール。確か井草絡みで駒王会談に関わっていた女堕天使だ。
彼女は龍を模した大砲を具現化すると、特攻とでもいうべき速度でナイアルにぶつかり、そして砲撃を叩き込む。
上級クラスのそのまた上位ともいえる砲撃にナイアルは飲み込まれ、しかしあっさりとそこから出てくると拳を構える。
「足りねぇなぁ、おい!!」
そして渾身の憩いで拳を放つが、それはピスの雷撃を纏った右腕でいなされる。
そして蹴りすら交えた乱打が新たに加わった。
「……くそ! もう始まっちゃったか!!」
「……井草……ピス姉さん……っ」
そして、隣からは声が聞こえてくる。
振り返れば、そこには意外な組み合わせが来ていた。
「デュリオさんに……五十鈴さん!?」
流石にこの取り合わせには驚くしかない。
何がどうなればこんな事になるのか、流石に一瞬理解が追い付かない。
そして、理解する事すらアーシアは放棄した。
五十鈴は明らかに泣きはらした顔をしている。それに、憔悴しきっている。
何かがあったのだ。そして、きっとそれが井草とピスが冷静さを失っている事とも繋がっている。
それを問い質す余裕は、五十鈴が与えてくれなかった。
「……アーシア・アルジェントだっけ? これ、持っててくれないかしら?」
そう言って、五十鈴は一シート分の錠剤をアーシアに手渡す。
それを受け取ったアーシアは、しかしそれが何なのかは理解できない。
たぶん薬だろう。だが、何の薬なのだろうか?
そもそも五十鈴はなんで薬なんて持っているのか。もしかしたら持病があるのかもしれないが、井草からはそんな話は聞いていない。それにアーシアに渡す理由が分からない。
「あの、これは?」
「EEレベルを無理やり上げた奴が飲まなきゃならない劇薬よ」
その言葉に、アーシアは絶句する。
強いとは思っていたが、そんな事をして得ていた強さだったとは思っていなかった。
「それがあれば、
そういうと、更にピケースを取り出すと、その中身の錠剤を全部掌に出す。
「……水が欲しいわね」
「あ、じゃあこれ使いなよ」
ちょっと困り顔の五十鈴の横に、水の塊が宙に浮かぶ。
それをなしたデュリオに、五十鈴は首を傾げる。
「……止めないの?」
「止めたいさ。だけど、俺じゃあ君は止められそうにない」
そう辛そうに言うと、しかしデュリオは前をまっすぐ見る。
「変わりにあの子を止めるよ。最も、色々と大変な事になるだろうけど、さ」
「………あまりお勧めしないわよ。効いたら効いたで、あの子の為になるとも思えないけど」
五十鈴は何かを察してそう言うが、デュリオは静かに首を振る。
「俺の覚悟の問題さ。試してからじゃないと、禁手を使う気にはなれなくてね」
「……難儀な性分ね」
五十鈴はそう苦笑すると、浮いていた水の塊から水を吸い込み、そして錠剤を飲み込んだ。
「ありがとう。じゃ、最後に一花咲かせて来るわ」
「ああ。頑張りな」
助っ人続々登場。これぐらいしないとナイアルを動かすこともできないあたり、ビルデ達の水準の高さが表れております。
そして完全マジ切れ状態の井草乱入。頭に血が上り切っておりますが、そんなんで倒せるほどナイアルは甘くないのです。
そして、その状況を打開するために五十鈴も覚悟を決めました。