混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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ライオンハート中盤のクライマックスとでも形容すればいいのでしょうか。そんな展開です。


ついに井草とナイアルの本格的な戦いが勃発します。


13話

 

「んじゃそろそろ本気出すかぁ!!」

 

 その言葉と共に、ナイアルの動きが一気に変わる。

 

 打撃の速度も、重さも、正確さも。

 

 全てが先ほどまでとは段違いに優れたものへと変化する。

 

 その乱打の前には、先ほどまでかろうじて打撃戦の形を維持していた井草とピスも、一気に殴られるだけに変わっていく。

 

「こいつぅ……!」

 

「さっきまで遊びなのか!!」

 

 それに気づいた二人は、心の底から歯噛みする。

 

 恨めしい、憎らしい。とにかく死んでほしいほどにまで憎悪に燃える。

 

 後一月も生きられない。枢五十鈴の体は既にボロボロ。

 

 その事実が、ここまで憤怒の感情を引き出させるとは思っていなかった。

 

 許せない。許せない。断じて一切許せない。

 

 枢五十鈴も、行人伊予も、普通に生きていたのならここまで成り果てる事はなかっただろう。

 

 井草との関係は終わっていたかもしれないが、それでもよくある悲恋話だ。すれ違いの結果の破綻という、いつか苦笑して話せる程度の出来事だった。

 

 そう、それで終わっていたはずなのだ。そして新しい出会いを経験して、新しい関係を構築して、そして新しい人生を進んでいく。それだけのはずだったのだ。

 

 それがたった一人のナイアル(外道)の所為でこれだ。

 

 五十鈴も伊予も何百人も殺しただろう。その手は血でまみれ、殺された者達の憎悪を浴びる事になる。その事実だけは一生消えはしない。

 

 そしてとどめにもうこれ以上生きれないという事実だ。

 

 五十鈴は後一月ほどで死ぬ。よしんば凌いでも、三十ほどが限界だ。

 

 伊予もそうだろう。五十鈴と同様の処置を受けているのだから、薬の供給ができるというだけで、それ以外は大差ないはずだ。

 

 ふざけるな。彼女達が何をした。

 

 五十鈴は確かに拗らせていて、それが巡り巡って自家中毒すら起こしていただろう。伊予は確かに夢見がちで、一歩間違えた結果こうなってしまうほどに危険な側面を持っていただろう。

 

 だが、あの時の彼女達は普通の少女だったのだ。

 

 断じてこんな血生臭い戦場を渡り歩かなければならないような境遇ではない。平和な日本で生まれ、よほどの不運がなければ真っ当に人生を全うできるはずだったのだ。

 

 それが、壮絶な殺し合いを繰り広げる毎日を過ごし、挙句の果てに十年生きれるかも分からない?

 

 許せない。二人の心は一つだった。

 

「「ナイアルぅううううううううう!!!」」

 

 二人は激情にかられながらも、抜群の連携でナイアルに襲い掛かる。

 

 サイラオーグだろうと叩きのめせるだろう。ビィディゼでも苦戦必須だろう。ヴァーリにすら届くだろう。イッセーですら乳技を発動させなければ確実に敗北するだろう。

 

 だが、ナイアルにはそこまでの連携でも通用しなかった。

 

「お、やるぅ! 俺じゃあ本気出すまでもねえけどな!!」

 

 一瞬で大量の打撃が、わざとこちらの攻撃を横から当てて逸らしながら放たれる。

 

 その片手だけでもガトリングガン並みの連発速度で放たれる拳が、容赦なく井草とピスを滅多打ちにして、弾き飛ばす。

 

「んじゃぁ、そろそろ1人くたばってくれや!!」

 

 その言葉とともに、ナイアルは一丁のライフルを井草に向ける。

 

「ムートライフル!! くたばれヤァ!!」

 

 そして放たれた射撃は、むしろ砲撃と言っても過言ではない。

 

 絶大なオーラの本流は、魔王クラスの威力を込められていた。

 

 直撃すれば戦闘不能は免れない。

 

 それを井草は意地で回避しようとするが、打撃の衝撃で体が思うように動かない。

 

 そしてピスも打撃の衝撃で即座に動く事はできず、ゆえに砲撃は直撃する。

 

「……井草!!」

 

 -横からかっさらう、新しい増援がなければ。

 

「五十鈴!?」

 

「五十鈴ちゃん!?」

 

 ハストゥールイーツと化した五十鈴の姿を認めて、二人は驚いた。

 

 既に彼女の体はボロボロだ。本人が言った通り、薬があっても十年持たず、薬がろくにない現状では一月が限界だろう。

 

 そんな状態でイーツに変身する。悪影響が普通に懸念される状態だ。

 

 それをすぐに止めようとして―

 

「デュリオ・ジュズアルド!」

 

「ああ!!」

 

 その井草とピスに、虹色の希望が触れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして怒気を鎮静化させた井草とピスを見て、五十鈴は心からほっとした。

 

 二人に怒りに呑まれる姿は似合わない。少なくとも、五十鈴としてはもっと違った二人が見たい。

 

 だから、それにほっとしながら五十鈴は微笑んだ。

 

「まったくもう。井草もピス姉さんも、普段激怒しない分怒ると手が付けられないんだから」

 

 そう言いながら肩をすくめると、五十鈴はナイアルに向き直る。

 

 顔はできるだけ見せない。

 

 イーツの状態なら、まあ表情を判断する事はできないだろう。だがしかし気分の問題だ。勘付かれたくないなら顔を見られたくないだろう。

 

 今、自分は笑ってるだろうか? それとも泣いているだろうか?

 

 自分でも、よく分からない。

 

 死ぬのが怖くて怖くて堪らない。何とか自分の心すら取り繕っていたのに、ピスの追撃と井草の抱擁の所為でそれができなくなってしまった。

 

 死にたくない。生きていたい。出来る事なら、人生をやり直したい。

 

 だが、それは叶わない夢だ。

 

 ならせめて、井草達の為に死のう。

 

 そんな気持ちが、自然と湧いてくる。

 

 死ぬのは怖いままだ。気を抜けば震えてしまいそうだ。

 

 だけど、戦える。

 

「五十鈴……その」

 

「大丈夫、なのぉ?」

 

 不安げな二人の声を聴いて、五十鈴はあえて胸を張った。

 

「大丈夫じゃないけど、大丈夫よ!!」

 

 そしてまっすぐに、ナイアルに向かって指を突きつける。

 

「ナイアル!! 悪いけど、あんたには一発かまさないと気が済まないわ!! ここで、ぶちのめす!!」

 

 それと同時に放たれるオーラに、誰もが一瞬目を奪われる。

 

 そのオーラは、最上級悪魔クラスなどというレベルではない。魔王クラスを超えて、神クラスの領域に届いていた。

 

 その絶大なオーラを前に、ナイアルは呆れ半分の表情を浮かべる。

 

「おいおい、薬を過剰服用したのかよ。……効果が切れるの滅茶苦茶早いし、何より切れたらすぐ死ぬぜ?」

 

『『『『『『『『『『なっ!?』』』』』』』』』』

 

 その言葉に誰もが驚く中、五十鈴は何を言っているんだとばかりに、鼻で笑う。

 

「はんっ! どうせ死ぬなら少し位かっこつけて死にたいだけよ。だってそうでしょ?」

 

 そして、その視線がちらりと井草に向けられる。

 

 もう想いが色々とばれてしまった彼。

 

 その思いが成就する事はありえないけど、それでも受け止めようとしてくれた事には感謝している。

 

 枢五十鈴は、井草・ダウンフォールが大好きだ。

 

 枢五十鈴は、行人伊予のことを友達だと思っている。

 

 枢五十鈴は、ピス・ダウンフォールを姉のように慕っている。

 

 そこに嘘は何もない。それをちゃんと思い出している。心の中にあった事を、今ならしっかりと断言できる。

 

 くだらない嫉妬も、しょうもない見栄も。

 

 今は全てを投げ捨てて戦おう。

 

「死ぬ時ぐらい、好きな男の前でかっこつけたいのよ」

 

 そして、はっきりこの場で言ってやろう。

 

 きっとスカッとする。恥ずかしいが、それ以上に気持ちいいはずだ。

 

 死に花ぐらい派手に咲かせよう。

 

 そう、はっきりと断言する。

 

「枢五十鈴は井草・ダウンフォールのことを愛してる!! だから、井草の為に死んであげるわ!!」

 

 そして、その僅かな時間で隙は十分に作れた。

 

「くたばりなさい、ナイアル!!」

 

 その言葉と共に、最後の圧縮を加速させる。

 

 そして加速された大気圧縮は、一気にプラズマ球を形成。一斉にナイアルに向かって突撃する。

 

 一発一発が核攻撃クラス。それが外連味を聞かせて合計13発。

 

 一発一発が神にすら痛打を与える威力を、神滅具一セット分叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 発生する大爆発。それを、観客達は目に焼き付ける。

 

 トップランカー同士のレーティングゲームでもそうは見ない大破壊。結界がなければ、自分達も巻き込まれていただろう。

 

 こんなものを喰らえばただでは済まない。少なくとも、神にも届くと思わせる攻撃だった。

 

 誰もが度肝を抜かれているだろうと思う、そんな時だ。

 

「ふむ、命の灯は消える寸前が最も美しいか。確かにな」

 

 そう簡単の声を漏らすは、ビルデ・グラシャラボラス・サタン。

 

 心から感心するその男に、焦りの色は見えなかった。

 

 そして、それに懸念の声を誰かが漏らすより早く、五十鈴は頷いた。

 

「まあ、文字通り決死モードだし? そりゃ生存諦めてるからその分輝くわよ」

 

 何の気負いも無しに告げる五十鈴の言葉に、ビルデも頷く。

 

「見事だ。推定EEレベルは7,0といったところか。もはや生半な神や魔王なら力押しだけでも勝ちの目は大きいだろう」

 

 そう告げるビルデは、しかし憐れみをその顔に浮かべる。

 

 そして、それを当然の如く五十鈴も肩をすくめて受け入れる。

 

 その意味が分からない大衆の前で、ビルデは言い切った。

 

「だが、0,5の差は大きいな。……なあ、ナイアル殿」

 

 その言葉と共に、プラズマ爆発の余波が吹き飛ばされる。

 

 灼熱が粉々になる。光熱が拳で砕かれる。命を燃やして生み出されたプラズマが、拳によって粉砕される。

 

 そして、それをなしたナイアルは、一歩前に踏み出しながら、はっきりと告げた。

 

「効かねえなぁ。ああ、お前じゃ俺には、勝てねえよ」

 

 その言葉と共に、ナイアルは初めて腰を落とし―

 

「ええ、そんなの分かってたわよ」

 

 その瞬間、五十鈴の声が途切れると同時に間合いに踏み込んだ。

 

 まるで駒送りでもしたかのように、一瞬で間合いに踏み込んだ。

 

 それに対して五十鈴は反応しして防御態勢をとるが、しかしナイアルは意に介さない。

 

 そのガードを強引に押し飛ばし、拳で五十鈴を吹き飛ばす。

 

 五十鈴もまた、大気流を操作したジェット噴射で強引に速度を殺すが、しかし殺しきれず壁に叩き付けられる。

 

 そして、その瞬間に数百の竜巻がナイアルを取り囲んだ。

 

「甘いって」

 

 裏拳でかき消される。

 

 その瞬間、相転移現象で形成された固体化した大気の剣を持って、五十鈴はナイアルの間合いに踏み込んだ。

 

 そして超高速で周囲を移動しながら、連続で切りかかる。

 

 だが届かない。

 

 ナイアルは足裁きと平手でそれを全ていなす。

 

「いや、流石に最高速度とかじゃ負けるぜ? 俺、パワー特化型のアウターとデフォルトだしよ?」

 

 そう告げるナイアルは、しかし余裕だった。

 

 油断では断じてない。必要なレベルの警戒心を持ち、しかしその上で何があっても対応できる余力を残したまま対応する。正真正銘の余裕。

 

 それは全て技術によるものだ。

 

 ステップと重心移動。更に動きの無駄の少なさで、ナイアルは五十鈴の高速起動に完全に対応している。

 

 EEレベルは7,5を超えるのは、ムートロンでも27人いる。そして、ナイアルは序列でいうなら20位だ。しかしEEレベルは7,5である。

 

 自分と同レベルのEEレベルの持ち主があと最低七人いる状況下で、彼が20位なのはそれだけの技量を持ち合わせているからに他ならない。

 

 その優れた技量が、枢五十鈴と自分の間にある断絶を更に深くしている。

 

 それら全ての差からくる余裕が、ナイアルに危機意識を抱かせていない。

 

 他のメンバーが動けないのはそれに気づいているからだ。

 

 ビルデとその眷属が動く可能性もある。そしてそれを潜り抜けたとしても即座に迎撃される。下手をすればピンボールのように五十鈴に向けて弾き飛ばされる可能性もある。

 

 だから、動きたくても動けない。

 

 そもそも、大半の者達が五十鈴と連携を取れない。

 

 彼女の動きに連携を取るだけの経験がない。だから、迂闊に入れば邪魔になる事が分かっている。

 

 だから、五十鈴の戦いを見守るだけしかできず―

 

「「五十鈴!!」」

 

 ―それができる者が、二人だけいた。

 

 戦闘の連携など初めてだ。五十鈴の戦い方など把握できてはいない。

 

 だが、彼女のリズムは、生き方は、その癖は分かっている。

 

 だからこそ、井草・ダウンフォールとピス・ダウンフォールの二人の堕天使は連携をおこなうことができた。

 

 明確なタイミングで井草はトールセイバーを構えて突撃し、ピスは牽制の砲撃を放つ。

 

 それをナイアルは、しかし迎撃する。

 

 何らかのタイミングで攻撃密度が増える事だけは分かっていた。このままだ舞って指をくわえて見ているだけの連中ばかりじゃない事は分かっていた。その筆頭候補が井草である事も分かっていた。

 

 だから、その攻撃すら捌き切る。

 

 しかし、そこから連携は追加される。

 

「……井草ぁっ!」

 

「五十鈴……っ!」

 

 その瞬間、井草と五十鈴は共にトールセイバーを取った。

 

 五十鈴は知っている。トールセイバーは井草の持つ最大火力であり、莫大な雷撃を纏うという事を。

 

 井草は知っている。ハストゥールイーツは大気操作能力を保有し、その応用で雷すら放てるという事を。

 

 そして、二人は知っている。

 

「……閃光の超人(オーバーロード・モーメント)、発動ぉ!!」

 

 ピス・ダウンフォールという女性は、必ず自分達を助けてくれるという事を。

 

 その瞬間、ナイアルの腕はピスによって掴まれた。

 

「マジか!?」

 

 ナイアルの表情が初めて危険性を認識したそれになる。

 

 閃光の超人。それはピスが委嘱した神器の一つ。

 

 能力は一分間に限定して身体能力を大幅に向上させるというもの。ピスが使用すれば、そのポテンシャルはヴァーリすら手も足も出ない。彼女を「限定条件下で堕天使最強」に高める奥の手中の奥の手。

 

 この瞬間、その力が一分間だけナイアルに拮抗させる。

 

「やっぱやばいと思ってたんだよ、ほんと!!」

 

「その時殺さなかった事を悔やみなさぁい!!」

 

 ワンハンドシェイクデスマッチを敢行しながら、ナイアルとピスは吠える。

 

 奇しくも、二人は同じ失態を悔いていた。

 

 度合いは違う。方向性も違う。だがしかし、その出来事は同じだ。

 

 井草・ダウンフォールがレセプターイーツになるあの日、お互いがお互いにあの場で相手を殺しておかなかった事は失敗だった。

 

 むろん、ナイアルからしてみればまだ勝ち目は十分にある。

 

 なにせ閃光の超人は一分間しか連続使用ができない。短時間でインターバルを挟めばまた別だが、それでも回復速度の関係から言って一時間も使えるような代物ではない。

 

 だがしかし、この大技のチャージ中に一分間も足止めされるのは流石にまずい。

 

「は! な! せっ!」

 

「い! や! よぉ!!」

 

 このままいけば一分間ぐらいは持ち応えられる。というより、数十分は凌げるだろう。

 

 だがそれでは意味がない。それでは駄目なのだ。

 

 だからナイアルは全力を出して殴り飛ばし―

 

「……はい、一分経過ぁ」

 

 -ピスによって、それが時間切れである事を思い知らされる。

 

 とっさにナイアルは回避を選択しようとし―

 

「おっと、させられないね」

 

 その瞬間、足下が凍り付いた。

 

「俺も事情は知ってるからさ。堕天しそうなぐらいには結構イラついてるんだよねぇ……っ」

 

 その視線の先には、怒りの表情を浮かべたデュリオ・ジュズアルドの姿があった。

 

「じょぉおおおおおかぁあああああああああ!!!」

 

 そして吠えるが、それがいけなかった。

 

「「ナイアルぅううううううううう!!!」」

 

 その絶叫に、ナイアルは振り返り―

 

「「く! ら! えぇえええええええええ!!!」」

 

 文字通り主神クラスの全力の一撃を、ナイアルは文字通りもろに喰らい、吹き飛ばされた。

 




五十鈴の捨て身の賭けによって、大打撃を喰らったナイアル。ここまでやってまだ決着がつかないのは、まあ主神クラスなのでご了承ください。

しかしもう五十鈴も時間切れ。そしてまだビルデは健在とハードな展開。

あと次回、新キャラ出ます。
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