混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
井草達が教会の地下に突入した頃には、戦局はほぼ決していた。
はぐれ悪魔祓いは殆どが討ち取られるか戦意を喪失している。まともに戦う体制をとっているのは、ドーナシーク達と同じイーツだけだ。
そして、レイナーレの方は顔面を押さえてうずくまっていた。
「ありえ……ない。あれは、
「ちょっとレイナーレのお姉さぁん!? 俺っち一人に戦わせないでくださいよ! あんたそれでも至高の堕天使とかほざいてたのぉ!?」
海賊を思わせるイーツに文句を言われるが、レイナーレは聞こえていない。
そして、其れをなしたと思われるイッセーはアーシアを拘束具から解放していた。
「部長! 井草さん!」
イッセーが真っ先に気づき、歓喜の声を上げる。
それに釣られてリアス達の姿を見て、レイナーレは絶望の表情すら浮かべ始める。
「そんな……っ! これはじゃあ、もうどうしようも―」
「ああない。こうなったらもう俺の判断で死んでもらう」
流石にこれは看過できない。井草はそう判断すると、冷徹な結論を下す。
そして、戦意を喪失している悪魔祓い達に鋭い視線を向ける。
「首謀者以外は投降を受け入れる。だが、これが最後通告だ」
その睨みに、はぐれ悪魔祓い達は武器を下ろして両手を上げる。
この状況は、既にレイナーレにとって詰んでいる。
何故か二人の悪魔祓いは戦闘態勢を取っているが、しかし何故か海賊風のイーツと敵対している状態なので、とりあえずスルーした。
というより、こちらに敵意を剥けていない以上、敵対する理由もない。
「と、とりあえずこの男の無力化も頼むのです!」
茶髪の方が即座に応援を要請する。
一瞬躊躇の表情を浮かべるリアスだが、然し警戒心はイーツに向いている。
イーツの脅威は嫌というほど理解した。そのイーツを野放しにする事は、冥界にとっても不利益になる可能性がある。
そもそもレイナーレの側に立っている時点で敵だ。情報を聞き出す必要があるから殺すのは避けたいが、しかし殺さずという余裕もないだろう。
ゆえに、リアスも井草も即座に殺す気で攻撃を叩き込み―
「―おぉっと! そうはいかねぇな」
舞い降りた新たなイーツに、攻撃を弾き飛ばされた。
そのイーツは、例えて言うならば人型の蟻だった。
更に厄介なのは、ドーナシーク達が変化したイーツよりも、遥かに強大な力を持っている事がそれで分かったからだ。
ドーナシーク達が変化したイーツは、井草やリアスの最大出力の一撃ならば滅ぼす事が出来た。すなわち、上級クラスと戦う事は出来るが、決して圧倒的な差が開いているわけではない。殺す事は出来た。
だが、その二人が同時に叩き込んだ最大出力の攻撃を、そのイーツは防いだのだ。
それも防護障壁を張ったとかそういうのではなく、素の耐久力でだ。
明らかに、今までのイーツとはレベルが違う。
その戦慄を感じ取ったのか、そのイーツは嘲笑いの感情を浮かべながらも、手を広げて抵抗の意志に待ったをかける。
「安心しろよ。俺はこのレアケースを回収したいだけだ。気が合いそうだしな」
そう言いながら、蟻のイーツ―アントイーツはへたり込んだレイナーレを抱え上げる。
片手で抱え上げてはいたが、乱暴にではない。
それなりに気を使っているとすぐに分かる。ただのレアケースというサンプルにする扱いではない。それ相応にレイナーレを買っていなければしないだろう。
つまり、このレイナーレを評価するような性根だということがすぐにわかった。
何の罪もない……わけではないとはいえ、下手な不良よりかはよほど善良な少年を、悪質な方法で辱めた挙句、殺した事を娯楽として勝たれる性根の持ち主を丁重に扱う。改心する事を信じる聖人君子か、同類として親近感を抱く手合いとしか考えられない。
そして、おそらく前者ではない。
「ふざけんな! 確かに一発ぶん殴ったけど、そんな程度で気がすむと思ってるんじゃねえぞ!!」
イッセーが、顔を真っ赤にして起こりながら拳を突き付ける。
なにせイッセーはレイナーレに一度殺されている。理由こそ理解の余地がないではないが、殺すまでの過程においてレイナーレに弁明の余地はない。
イッセーが怒るのも当たり前だ。
「それにアーシアまで殺そうとしやがった! そこのニングとかリムとかいう人達がいなけりゃ、どうなってたか―」
「うるせぇなぁ、神器を使いこなす才能もねえ下等人種が」
心底うざそうに、アントイーツはイッセーの言葉を遮る。
「こっちだっててめえら全員殺してからずらかりてぇが、今ルシファーに睨まれる訳にもいかねえんだよ。……心配しなくても、リベンジマッチの機会は用意してやるからよ」
そう吐き捨てると同時、禍々しい霧があたりを包み込む。
「……じゃあな井草・ダウンフォール! 出来りゃぁてめえも連れて帰りてえが、今回は特別に勘弁してやるぜ! 知らねえ仲じゃねえしな!!」
そんな、特大級の置き土産を残して。
霧が晴れた時、そこにアントイーツもレイナーレも、そして海賊の姿をしたイーツもいなかった。
残りは全員残っている。どうやら見捨てられたのだろう。
そして、状況は大きく変わる。
「井草ぁ! 無事ぃ!?」
翼を広げて、ピスが慌てて舞い降りた。
その頭上では十人以上の堕天使が飛んでおり、辺りを睥睨している。
そしてそれをリアス達が認識する頃には、ピスは井草を抱きしめていた。
「……無事で良かったぁ」
「義姉さん!? ちょ、人が見てる!! 俺なんか抱きしめたらまずいって!!」
慌てる井草を無視して、ピスはリアスを見ると勢いよく頭を下げた。
「ありがとぉ! 井草のフォローまでしてくれたみたいでぇ!!」
「い、いえ。……むしろ彼に助けられたようなものだわ」
ここで正直に言う事が出来るのは、美徳だろう。
呆気に取られてつい言ってしまっただけな可能性もあるが、それがリアスの本質の一部だという事だ。
それに微笑を浮かべ、ピスは上を向いて声を上げた。
「悪いけどぉ! 彼らの捕縛をお願いするわぁ!!」
そう言われ、堕天使達ははぐれ悪魔祓いの捕縛を開始する。
それが行われている間に、ピスはアーシアを抱き寄せるイッセーを見つけると、駆け寄った。
「あなた達がイッセーとアーシアぁ?」
「「は、はい」」
少々身をこわばらせながら、二人はそう答えた。
なにせ堕天使には殺されたり殺されかけたりしたばかりだ。いきなり堕天使に声を掛けられれば、緊張もする。
如何にイッセーが井草をよく知っているから、堕天使が悪人だけではないと知っていてもだ。これまで関わってきた堕天使の大半が敵では警戒もするだろう。
それを分かっているからか、ピスは一定の距離を保つ。
そして、そのうえで頭を下げた。
「このたびはぁ。私達
それにあっけにとられるイッセーに、更に声をかける者もいる。
「アーシアさんに関しては、私達からも謝罪するのです」
ニングはそういうと、同じく頭を下げる。
「こちらにとって都合が悪いとはいえ、追放した事についてはプルガトリオ機関の不手際なのです。本来ならこちらで保護する手はずだったのですが―」
「元々
と、更にリムもそう繋げる。
「て、っていうかプルガトリオ機関ってなに?」
イッセーとしてはまずそれが知りたい。
まったく聞いた事がない組織だ。おそらく悪魔や堕天使と同じ、世界の裏側の組織なのだろう。それはまだ分かる。
だが、全面的な味方と判断するのも危険な気がする。
イッセーがその疑問を口にすると、井草がぽんと手を打った。
「……プルガトリオ機関って、確か義姉さんが揉めてなかったっけ?」
「ええぇ。前にヤーロウという人と一戦交えたわねぇ」
何か微妙そうな表情をするピスの言葉に、ニングとリムは目を見開いた。
「ヤーロウさんと戦って撤退させたのですか!?」
「マジですかい。そりゃ激やばですね」
「あの、だからプルガトリオ機関ってなに!?」
イッセーの渾身のツッコミが響き渡った。
「プルガトリオ機関ってのは、教会の暗部なのです」
ニングはそう言うと、アーシアを指さす。
「アーシアさんのように、教会にとって不都合だけど信仰心はある人物などを引き取って、信仰の妨げになるものとぶつける事を目的とした機関なのですよ」
さらりとえげつない事を言ってくる。
そして、ニングは更に続けた。
「それで、アーシアさん。悪魔の保護を受けたみたいなのですが、逃げたいのですか?」
「え?」
よく分からないといった表情を浮かべるアーシアに、更にニングは告げる。
「……悪魔や堕天使の庇護下にいるのが不本意なら、私達は命を懸けてプルガトリオ機関に匿うのです。もとよりその為の組織なのですから」
その言葉に、その場で緊張感が走る。
この戦いは思わぬ呉越同舟ならぬ魏呉蜀同盟とでもいうべきものになったが、本来三大勢力は敵同士だ。
レイナーレ一派の暴走が原因でアーシアの命の危機が生まれ、その結果として三勢力が手を組む形になったが、本来これはあり得ない事である。
つまり、ここでアーシアの返答次第では三つ巴の殺し合いになり替えない。
「……一応言うと、こっちもやばい事態になったんで増援を呼んでやがるので、亡命はできますぜ?」
と、リムが補足説明をした。
それに対し、アーシアは―
「あの、イッセーさん?」
まずイッセーに声をかけた。
その流れにこの場の全員の視線がイッセーに集まり、イッセーは思わずたじろいだ。
「な、何かな、アーシア?」
「イッセーさんは、どこに行くんですか?」
その言葉に、イッセーは―
「いや、俺はリアス部長の下僕悪魔だから、悪魔の味方だけど?」
ちょっと戸惑いながらも、迷いなく答えた。
この状況下であまり躊躇しなかった当たり、この男は割と大物のようだ。
そして、その言葉を聞いてアーシアは決意した表情になると、ニングに顔を向けた。
「……私は、イッセーさんのところに残ります」
その言葉は、状況を動かすのに十分だろう。
プルガトリオ機関としては、自分達のところに迎え入れたいというのは善意だけではないだろう。
暗部組織というのはそういう者だ。自分達の戦力として有効活用したいだろうし、悪魔に彼女を与える事も本意ではない。
悪魔や堕天使は、本来癒す事が出来ない種族なのだ。それを癒す事が出来るアーシアの神器は、非常に悪魔側に渡ってはいけないものである。
ゆえに、各勢力で緊張感が漂い―
「―なら私達は逃げるのです」
―そのニングの言葉が、緊張感を吹き飛ばした。
「え、ちょ、ニング?」
「リムさん。この状況下は不利なのです。穏健派のサーゼクス・ルシファーならたぶん悪用しないのですから、逃げるべきなのです」
そういって、戸惑うリムを引っ張りながらニングは階段の方に向かう。
それを見逃すべきかどうしたものかという視線がそれぞれで集まる。
このまま暗部組織を逃がすのもあれな気がするが、余計な殺し合いをする気にもなれないといった感じだった。
「……イッセー。どうするんだい?」
井草はとりあえずイッセーにそう聞いてみた。
本当に何となくだったが、イッセーは周りを見渡しながら、とりあえず応えようとする。
「あ、アーシアが死ななくて済んだのは二人のおかげだし、俺は見逃してあげたいかなーって思うけど……」
「じゃ、借りは返しとかないとなね」
井草はそう決めると、ピスに苦笑した。
「元々こっちの不手際に巻き込んだんだし、これぐらいは良いんじゃないかな、義姉さん」
「まあぁ、井草がそう言うならぁ。……そっちはぁ?」
ピスは視線をリアスに向ける。
自分達はとりあえず手は出さないが、あっちが手を出すかどうかは未知数だった。
「……小猫と祐斗はどう思うの?」
其の主の言葉に、小猫は無表情で、祐斗は不機嫌そうに―
「……一応、借りは返すべきかと」
「教会の連中を見逃すのは嫌ですが、だからこそ卑劣な方法はとりたくありません」
そう答える。
その言葉に、リアスもため息をつきながら苦笑した。
「いいわ。ソーナには私から言っておくから、さっさと帰りなさい」
「言質はとったのです。じゃ、帰るのですよ、リム」
「ああ~。上から叱責されるのが目に見えやがりますが、これは堕天使と悪魔を同時に敵に回すから無理っぽいですなぁ」
苦笑するニングにため息をつきながらも、リムも自分の意志で歩き始めた。
そして、戦いは一応終わった。
のちに、この戦いは三大勢力和平の一つの予兆として語られる。
また、この戦いは全ての始まりとしても語られる。
三大勢力と各神話体系。その彼らを蹂躙しようとする、禍の団との戦い。
のちに「イーツ戦役」と呼ばれる戦いの、その前哨戦でもあったからだ。
今回出てきたイーツは、仮面ライダーで言う敵幹部ポジションです。霧に関しては言わずもがな。
で、次回ですがフェニックス編を吹っ飛ばしてエクスカリバー編です。井草の立ち位置だとライザーとのレーティングゲームに絡ませづらいのでこうなります。