混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
序盤はある人物の視点で動きます
1話
ニング・プルガトリオ・ルシファー付きのメイド見習い、枢五十鈴の朝は早い。
なにせ更生活動にして贖罪も兼ねてのメイドである。早朝から動くことになる。
今朝も日の出前に起きて庭と屋上、そして玄関前の掃除を行っている。
メイド長であるシアリーも共に掃除しているが、やはり年季の差があり要領よく自分の担当区域を終えている。こればかりは何年間も並び立てる気がしない。
それでも自分の仕事はかなり楽だろう。
本来なら、メイドがいるのなら家事はメイドなどの使用人が担当するものだ。趣味の範疇内ならともかく、普通のレベルで家事はしない。
だがしかし、兵藤夫人はもちろん、ニングやリアスも家事に関しては協力する方針を譲らなかった。
シアリーは多少難色を示したが、これも人柄だと判断して割と早めに折れてくれた。最もその分普通の家レベルの家事からさらにグレードアップし、グレードアップ分を二人が担当する形になった。プライベートに関与しない共用スペースはシアリーと五十鈴によって毎日掃除するといった形だ。
しかしそれでも大変ではある。
なにせ兵藤邸は事実上のビルディングである。地方都市である駒王町では、駅前のビルやマンションでもここまでの階数はないだろう。必然的に面積もかなりある。
これだけの建物を家人だけでやっているのもすごいことだ。実際掃除だけでもかなり時間がかかる。清掃業者かというぐらいやってる。
それに人数も多いので、食事の下ごしらえなどでも時間もかかる。ぶっちゃけあの人数をメイド二人でやる方が問題だろう。そも五十鈴はメイド見習いである。
結果的にいいバランスになっただろう。伊予も目が覚めたら眷属悪魔兼メイド見習いになることが確定なので、仕事の数も減ってバランスも良くなるはずだ。
そして、なんだかんだでこの仕事はやりがいがある。
そして、五十鈴は伸びをして空を見上げる。
玄関前の掃除を完遂することには、太陽もそこそこ上っていた。
「うん、とてもいい朝ね」
兵藤邸での生活は、普通のメイド業務とは大きく違う。
というより、基本一般市民の出である一誠の両親にある程度合わせて、シアリーが妥協した形である。
具体的には、基本的に朝食と夕食はみなと一緒に取ることだ。
「……すいません、おかわり」
そして五十鈴はご飯のおかわりを求めた。
さすがにメイドとしてアレである。ちなみに五十鈴は懲罰活動としてメイドしているので、面の皮が厚く見える。
だがしかし、どうしても食べる量が多くなってしまう。
「はっはっは。どんどん食べていいよ五十鈴さん。いつも掃除とか下ごしらえとかやってくれてるんだからね」
「そうそう。今までの分、思う存分おいしく食べてね」
兵藤夫妻はむしろそれすら求めている節がある。メイドとしての最低限の品格は求めるシアリーも止めたりしなかった。
「……五十鈴、おいしい?」
「おいしいけど、井草が言うことじゃないんじゃない?」
井草ににこにことほほ笑まれながら見られると、さすがに気恥ずかしい。
というより、気づけば全員からにこにこ笑顔を向けられている。
気分は親兄弟に可愛がられる最年少だ。ぶっちゃけ未成年だらけの兵藤邸にいて、自分は上位同率四位の二十歳組なのでちょっと恥ずかしい。
だがしかし、居心地が悪いわけではない。
というより、この家はとても居心地がいい。
『なんていうかね? やっぱりご飯は一緒に食べたほうがおいしいじゃない?』
『正論なのです。此処にいる時ぐらいは一緒に食べるのですよ。……命令ということで』
などと兵藤夫人に言われてニングが納得したことで、ニング専属のメイド見習いとして兵藤亭の家事を手伝って数日で食事を同じ時間に取るようになった。
そして、五十鈴は久しぶりに手料理というものを食べた。
味の記憶を残すことができないほどに、あったかかったことばかりが記憶に残っている。
食べ物の温度のことではない。心のぬくもりだ。
特にその日の食事は、兵藤夫人が五十鈴たちが気に入るように丹精込めて作ったそうだ。
思いやりがこもっていた。喜んでもらえるようにという心遣いがこもっていた。新しい家族に対する歓迎の気持ちがこもっていた。
だからだろう。五十鈴はボロボロと涙をこぼしてしまった。
人としてのぬくもりがこもった食事。家族に対する愛情がこもった食事。そんなものは四年ぶりだった。
その四年間、五十鈴は人としての情など向けられない世界で、悪として恨まれるためだけに生きてきた。
だから、心のぬくもりなど与えられたことはない。食事だって、そもそも楽しむこともろくにできない。楽しんだり味わったりなど、形だけだ。
脱走後は食事を楽しんだこともあるが、それだって店舗での食事だ。こうして、家族として食卓を囲んで食べたことはなかった。
だから、心に沁みてしまった。
涙をこぼしながら、ガツガツと掻き込んだことを覚えている。味わうためではなく、感じ入るために何杯もおかわりしてしまったことを覚えている。
それのようすだけで、兵藤夫妻は何かを察してくれたのだろう。事情を知っている井草たちはもちろん理解している。
それ以来、五十鈴はおかわりを止められないし、しないとむしろ心配されてしまう。
それにメイドの仕事は結構ハードだ。朝からガッツリ食べておかないと体がもたない。言い訳とかではなく本当におなかがすいてしまうのだ。
心と体の二重の意味で、この食事はとても抗いがたい魅力を持っていた。
「やっぱり若い子は元気が一番ね。たくさん食べて大きくなってね?」
「いえ、あの奥様、私もう成長期は過ぎてますから」
さすがに今から急成長は無理だと思う。
そう兵藤夫人に一応行ってみるが、しかし夫人はにやりと笑うと井草の方をちらりと見てから、五十鈴を見る。
「いやねぇ。胸の話よ」
「……ふぐぉっ!」
むせた。思いっきりむせた。
かろうじて米粒を吐き出すのだけは根性で耐える。しかしそのせいで気管に入りまくった。
かろうじて耐えてお茶を飲んで人心地付くと、怒るに怒れないので一誠に視線を向ける。
むろん、ジト目である。
「……アンタのご両親なのが、すごく納得できたわ」
「うん。俺も時々血を自覚する」
慌てるなり怒るなりするかと思ったが、納得された。
むしろ少し遠い目をしている節がある。どうやら彼自身思うところがあるようだ。
しかし一瞬自分の胸を見ながら、考える。
自分は胸は人並み以上にある方だろう。だが、もっと大きくなる可能性はあるかもしれない。
というより、相対的に見て兵藤邸では比較的小さい気がする。Cは確実にあるはずなのだが、それでも足りない。貧乳に錯覚してしまう。
というか、巨乳が多すぎるのだ。何だこのバスト頂上決戦邸宅はとツッコミを入れたい。
リアス・グレモリーに姫島朱乃、ロスヴァイセなどの三強には勝ち目がない。さらに中堅どころのも普通に大きい部類だろう。小さい組はそもそも体格からして小ぶりなので、そもそも問題にならない。
……なんだろう、一人女として損している気がしてきた。
ちらりと、井草を見る。
「井草は、大きい方がいい?」
「大小の問題じゃない。持ち主のことを俺が好きかという問題だよ」
即答ですごいセリフが来た。
真顔でとんでもない発言だった。しかも真面目にかつ、さらに続ける気なのか、箸をおいた。
そして井草は、一度うなづいてから五十鈴をまっすぐ見直す。
「好きな女の子の胸のサイズが好きな胸だね。つまり、俺は胸のストライクゾーンが広い」
「いやぁん」
リムがわざとらしくうれしがるが、そこはあえてスルーする。
たしかに、ニングとリムは体格通りの小ぶりの胸だ。しかし伊予は四年前から今の五十鈴より大きかった。ピスに至ってはこの場で一番大きい朱乃より大きいかもしれない。
つまり、食事中に言う言い方ではないが対手の胸には反応できるということだ。
そして、井草は五十鈴の手を取ってさらに告げる。
「だから、五十鈴の胸も大好きだよ」
それは五十鈴のことが大好きだということの裏返しである。
真顔ですごいこと言ってのけている。とんだジゴロもいたものだ。
思わず一同全員真顔になった。此処まで真顔で惚れ気を語れる男もそうはいないだろう。ホームステイ先でやっているということを考えれば、むしろ厚かましいほどだ。
というか、概要だけ説明すればホームステイ先で婚約者のメイドをセクハラじみた発言で口説いているようなものだ。此処だけ聞けば最低一歩手前の発言である。
おこるべきか照れるべきか一瞬悩むが、しかしそれより先にニングがほほ笑んだ。
「よかったのですね、五十鈴」
「お、お嬢様? いま、私はお嬢様の彼氏に言い寄られてるんですけど?」
すさまじく起こるところではないだろうか。
だが、ニングはむしろ嬉しそうだった。
「井草さんが五十鈴と幸せそうにしてるのなら、ルシファーを受け入れたかいがあるのですよ」
裏のない笑顔で言われれば、反論もできない。
このいい人すぎる少女が、暗部出身だととは信じられない。さらには王族の責務を背負うのは大変だろう。
それを、それだけではないといえど五十鈴と伊予を救うために背負う覚悟を決めたのだ、彼女は。
そのおかげで自分はここにいる。井草と一緒に食事をするだなんて、幸せなことができている。
……仕えるに値する主人を持ったと、五十鈴は胸が熱くなる。
「あらあら、お熱いことね」
と、その様子を見ていたリアスが苦笑した。
そして一誠の隣に座ると、そのまま弁当箱を手渡す。
「はいイッセー。あなたのお弁当ね」
「助かります、リアス」
こっちはこっちでいちゃつき始めている。
自分が生き返った直後ぐらいのタイミングで、こっちはこっちで大告白をぶちかましたそうだ。
因みにその次の日の新聞やメディアは、大体四種類に区分けされている。
一つはニングのルシファー就任および、彼女の政策である
一つは、井草とニングの堂々としたいちゃつきからくるスキャンダル的なもの。
一つはイッセーによるリアスの告白という、「リアルでおっぱいドラゴンとスイッチ姫がくっついた」というスキャンダル的な物。
そして最後が、井草と五十鈴の愛の告白である。
乱入時の流れからすごく勢いで注目を浴びており、更には最後の最後で思いっきり抱き合ってキスまで交わしたのである。そりゃ注目されると自分でも納得だ。
その前に井草はニングとキスをしているが、しかしこちらは事後処理がまだ白熱していて、そちらに気を取られている者も多かった。ちゃっかりそちらもテレビに取られていて番組で引っ張りだこではある。
しかし大トリを飾った自分の方が注目されている。ニングに仕える眷属としては、見せ場を奪って申し訳ないと思うべきか、それとも恥を持ってやったことを誇るべきか、マジモードに入るぐらい考えこむ。
話を戻そう。とりあえず、兵藤一誠の愛の告白は、その後改めて行われて成立したらしい。
まあ、禍の団でも「こいつらくっついてるだろ」と思われていたので、むしろまだ告白してない事実に逆に驚いたが。
それ以来一時的にリアスのターンになっているらしく、一誠のお弁当はリアスの手製になっている。それまでは主体的に料理ができるメンバーが交代で作っていたらしいので、割と優遇されているだろう。
それを見ていると、なんだかほっこりする。
こういう関係は、いい関係のまま続けばいいとしみじみ思う。
「井草」
「うん」
井草も同意見だったのか、同じく言葉少なくうなづいた。
これは、守られるべきものだ。
少なくとも、ナイアルのような外道が触れていいものではない。
「頑張って守らないとね。こんな風景はさ」
「ああ。俺たちみたいにさせちゃ、いけないよね」
二人は同時に決意すると、そう頷きあった。
「そういえばイッセー? 孫はいつ見れるのかしら?」
「奥様!! さっきもそうでしたが結構下世話ですよ!?」
いや、守らなくてもいいものも混ざっているかもしれない。
五十鈴はそんなことを思うが、居心地がいいのもまた事実。
あと数年ぐらいこの家で暮らしたいと、心からそう思った。
と、いうわけで、新米メイド五十鈴視点でした。
ぶっちゃけ四年間が四年間なので、兵藤邸での生活はすさまじく来るものがあると思いまして、こんな感じに。
四年間、取り戻せるような感じに描いていきたいと思っております。