混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
井草「……ヒロアカ風に言わないでくれない?」
明朝。何やら緊張感すら漂わせるアザゼルとともに、井草たちは兵藤邸の玄関に集まっていた。
そしてノックが鳴ってからドアが開く。
そこにいたのは、露出度の高い黒のゴシックロリータに身を包んだ、小柄な少女。
外見年齢は小学生程度だろう。年齢より小柄な小猫やリムにニングよりも小さく、京都で出会った九重と同じぐらいだ。
だがしかし、彼女は断じて幼女の類として語っていい相手ではなかった。
「ドライグ、久しい」
と、簡潔にイッセーに挨拶するその存在は、世界最強である。
というか、オーフィスである。
「うえぇえええええええええ!?」
イッセーが五歩ぐらい下がったが当然だ。
来客があると言われたら、寄りにもよって世界最強の存在だった。ちなみにテロリストの親玉でもあった。
普通に狼狽ものだろう。むしろ、その程度で収まっていることが奇跡に近いといってもいい。
「何でここに!? くそ、まさかここまで警戒されてたなんて!!」
井草は速攻でレセプターイーツに変身し、トールセイバーすら構える。
これでも全く足りないなんて気だ。なにせ、主神クラスですら戦闘能力の桁が足りないといってもいいほどの強敵なのだから。
まさか神話の最終決戦やインフレ極まるタイプの物語のラスボスを張るような存在が、こんなところに出てくるとは想定外だ。
いくらここには魔王の妹や堕天使の総督や天使長の直属がいるとはいえ、堂々と朝っぱらから一般市民が大量にいる地方都市の住宅街に出現である。
そういえば魔王の末裔すらいたのだった。ある意味で重要拠点であることを改めて思い出し、井草は歯噛みする。
「………ふぅっ」
「五十鈴ぅ!? しっかりするのです!!」
五十鈴に至っては失神し、ニングに介抱されている。
当然だろう。一か月ほど前に禍の団を離反した彼女は、オーフィスから見れば裏切り者である。それも、つい先日禍の団の主力構成組織であるムートロン及び大魔王派と大立ち回りをしたところである。
普通に考えれば粛正の可能性も考慮に入れる。心臓に悪すぎる。
「ひ、避難誘導ぅううううう!!!」
リムもさすがに狼狽しているが当たり前だ。
まさに一触即発、すぐにでも攻撃を開始しなければならない。
そのタイミングで、アザゼルが割って入った。
「だからやめろって昨日言っただろ!! それに俺らが総力でかかっても勝てねえからよ!!」
そんな問題ではない。
ヴァーリチームがらみでだれか来るとは聞いていたが、敵の首魁が来るなどとは想定外だ。
意図的に情報を出し渋っていたとしか思えない。当然、知られていられれば誰だって反対するにきまっているとはいえ、さすがに大問題だ。
当然、この地の管理官として派遣されている立場のリアスからすれば激怒案件である。当たり前の如く激高している。
「アザゼル!! そのドラゴンは禍の団の首魁よ! 世界に多大な損害を与えている仇敵を、同盟の重要地区となっているこの場所に招き入れるだなんて―」
「ていうか先生。いやな予感がするんですけど」
リアスの言葉をさえぎって、井草はふと湧いた嫌な予感を言葉にする。
この地の監督を任されている悪魔のリアスが、詳細を利かされていない。
井草も知らない。この地に最も詳しい堕天使である、井草も聞かさられてないのは疑問だった。
そしてイリナも動揺している。おそらく、ミカエルからも何の連絡もなかったのだろう。
「……まさかと思いますけど、俺たち以外の誰にもこのことを伝えてないんじゃないでしょうね?」
疑問符ではあるが、確信できる。
この地はなんだかんだで重要地域だ。三大勢力の和平会談という、同盟の足掛かりとなった出来事のおきた地である。加えて、魔王の妹と堕天使総督と天使長直属が住んでいるという意味でも、重要地域だ。
状況次第ではほかの勢力との交渉や、歓迎などにも使われる。
それゆえに、この地域には三大勢力のスタッフは何人もいるのだ。それぐらい重要な地域と化している。具体的にはシトリー眷属などだ。
当然、相応の監視網も敷かれている。普通なら、オーフィスクラスの力の持ち主がこんな無造作に入ってきて気づかれないわけがない。
つまり、スタッフに話が通っているか、関係者がこっそり招き入れるかしているのだ。
そして、イリナも井草もリアスもアザゼル以外から何も聞いていない。オーフィスなどという超大物が来るなら、一言では済まないはずなのにだ。
リアスもそこに思い至り、魔力を垂れ流して怒りの視線をアザゼルに向ける。
「……協定違反よアザゼルッ!! 魔王様や熾天使に糾弾されても当然のレベルの背信行為だわ!!」
「正気ですか総督!? 同盟の全勢力から堕天使が攻撃されますよ!!」
当然井草も大声を出す。
和平から堕天使側がはじき出されても文句が言えない事態だ。堕天使側と親しいものたちが所属勢力から冷遇されてもおかしくない横暴である。
へたをすればニングやリムにまで被害が及ぶ。井草としては激怒案件でしかない。
「いくら何でも勝手がすきます!! この場で俺は責任をもって、貴方を粛正することだって視野に入れますよ……っ」
半ば本気でその覚悟を井草はしかねないレベルで追い詰められている。
なにせ、そんなことになればニングとリムは間違いなく不利な状況に置かれる。眷属悪魔になっているうえに、基本罪人である五十鈴や伊予にも被害が及ぶ。
その前にアザゼルを粛正しなくてはならないのか。それは心が痛むがそうしなければ四人が大変なことになる。
精神的に板挟みになるが、そのかたをシアリーがつかんで止める。
「お気を確かに持ってください、井草様。リアス様も、だからこそ……とかんがえてくださいまし」
その言葉に、リアスは激高していた精神を急激に沈める。
リアス・グレモリーは聡い女性だ。付き合いもそこそこあるからこそ、アザゼルの性格や人となりもある程度理解している。
だからこそ、落ち着けた。
「……それだけの価値が、あるっていうのね?」
アザゼルは各勢力の協力を強く訴えていた。三大勢力の和平を最も最初に提案したのもアザゼルだ。この同盟の中心人物といっても過言ではない。
だからこそ、そんな人物がこんなことをしたのならなににか理由があるはずだ。
そして、アザゼルは静かにうなづいた。
「ああ。俺の首が物理的に飛ぶ覚悟はしてる。だが、
アザゼルは聡明だ。
彼がそう判断したのなら、それだけのものが本当にあるのだろう。
そして、アザゼルは誠実に頭を下げる。
「全責任は俺がとる。だから、話だけでも聞いてやってくれないか?」
沈黙が、場を支配する。
そして、一同の視線が何となくイッセーに向けられる。
「じゃ、じゃあ……話だけなら……いいですか?」
そして、リアスに話を振ってきた。
リアスも苦笑すると、肩をすくめる。
「仕方ないわね。……それで、ヴァーリチームがかかわってるんじゃなかったのかしら?」
その事実上の了承に、魔法陣が玄関前に出現することで返答がなされる。
そこから現れるのは、学生服のような私服に魔法使いのテンプレート的な三角帽子をかぶった少女。そして、灰色の毛皮を纏った狼が一匹。
地味にこちらも面倒な獣である。はっきり言って全滅の危険すらあった。
その事実に井草が頬を引くつかせるなか、オオカミを連れた少女がぺコンとお辞儀をする。
「ごきげんよう、皆さん。ルフェイ・ペンドラゴンです。フェンリルちゃんともどもお世話になります」
「……どちら様?」
井草は面識がないので、少女にちょっとぽかんとした。
いや、冷静に思い返すとどこかで見たような記憶がある。
たしかつい先日にナイアルとやりあった時に姿を見たような記憶がある。あの時はそれどころではなかったので全然意識してなかった。
「ヴァーリチームにいるアーサー・ペンドラゴンの妹だよ」
祐斗が丁寧に教えてくれて、とりあえず戦は納得する。
「……ふむ。なら丁重な対応をするべきなのです」
と、ニングは指笛をいきなり吹いた。
いきなり何をしたのかと多くのものたちが首をかしげると、すぐに理由が判明する。
「バウワウ!」
「ワンワン!」
と、庭からスコルとハティが表れて、フェンリルにじゃれ付いた。
フェンリルはプライドが高いのか対応に困っていたが、とりあえず素直にそれを受けれている。
「あ、フェンリルちゃんのお子さんですね! 可愛がられているみたいで何よりです!」
「主として当然なのです。毎日お風呂で洗っているのです」
などとペット談議が始まってしまった。
伝説の狼とその子供を飼い犬扱いである。フェンリルはどう思っているのか、少し不安になった。
そして、さらに魔法陣が展開すると今度は黒歌が姿を現す。
「やっほー! 赤龍帝ちん、元気してたー?」
「うっひょぉおっぱい! ……ってお前かよ!」
抱き着かれてイッセーが理性を失いかけるが、そんなイッセーにジーっと視線を向けるのがオーフィスである。
はっきり言って、何を考えているのかわからないオーフィスが一番怖い。戦闘能力的にも、何をするのかわからない敵にもだ。
「我、話、したい」
その言葉に、アザゼルがポリポリと頭をかく。
「とりあえず、お茶でもしてやってくれ。このセッティングに俺は命かけてるんだ。ほかの勢力までだましにだましてるから、ほんとに成果を出させてくれねえか?」
「……もぉ。何か当ったら俺は責任もって首脳陣に突き出しますからね」
井草はそういうしかなかった。
「そういえば、寝てるの、だれ?」
『『『『『『『『『『……あ』』』』』』』』』』
そのオーフィスの言葉で、井草たちは五十鈴がいまだに失神してることに気が付いた。
というか、オーフィス的には五十鈴は眼中にもなかったらしい。
そして、VIPルームにオーフィスを招いた。
小猫と五十鈴は部屋で休んでいる(五十鈴は寝込んでいるともいう)が、とりあえず貴族であるリアスとニングが、イッセーを中心にする形で座り、それに向き合う形でオーフィスが来客席に座っている。
「イッセー? ニングの肩に手を回したりしたら怒るからね?」
「井草、そんなこと言ってる場合じゃねえですぜ?」
この状況下で嫉妬心に意識を向ける井草に、リムは一周回った感じの感心すら向けている。全員微妙に引いていた。
そしてそれをスルーして、本職メイドのシアリーはオーフィスにお茶とお茶菓子を差し出す。
「どうぞ、ダージリンとミルクレープです」
「……うまうま」
はむはむと頬を膨らませながら食べる姿はほっこりするが、相手が相手なのでほっこりしきれない。
というか、その上で視線をイッセーにまっすぐ向けているのでシュールだ。
口元も食べかすがたっぷりついている。服は露出度が高いので、微妙な状況になっている。
この状況下で重要な会話をしても、集中できそうにない。
「……とりあえず拭こうか」
井草はため息を付くと、ウェットティッシュを取り出して汚れた部分をふく。
そして一瞬考えこみ、まだ緊張感が維持できると判断してキッチンに行ってナプキンを持ってきて、オーフィスの首に巻いた。
「ほら、汚れるからこれ使ってね?」
「……ふぁかった」
食べながら返事をしないでほしい。
本当に世界最強のドラゴンとか、テロリストの親玉なのだろうか?
井草は一瞬本気で考えてしまう。頭痛を少し感じ始めてきた。
とはいえ、ミルクレープをオーフィスが食べ切ったタイミングを見計らって、イッセーはとりあえず切り出した。
「で、話って何……ですか?」
すごく当たり障りがないが、仕方がない。
一瞬でも対応を間違えれば。冗談抜きで駒王町が地図から消える。それこそ戦略核の方がまだましな惨状になるだろう。
なので慎重に対応するほかない。
そして、オーフィスは、小首をかしげた。
「ドライグ、天龍をやめる?」
……意味が分からなかった。
「えっと、質問の意味が分からないです」
「今代のドライグ、いままでと違う成長をしている。我、とても不思議」
どうやら、イッセーに相当興味をひかれたらしい。
「今までの天龍と違う。ヴァーリも同じ。とても不思議」
イッセーとヴァーリの成長。
確かに、資料で見る限りの歴代の二天龍とは、イッセーもヴァーリも異なっているだろう。
そもそもお互いがお互いを敵視して決着をつけるために暴走するレベルだったという歴代に比べて、イッセーとヴァーリはむしろ協調している節がある。
少なくとも、歴代が共闘したことはあまりないだろう。普通ならみつどもえになっていてもおかしくないのが、資料から読み解ける二天龍である。
赤は女を、白は強者を。
アザゼルはそうイッセーとヴァーリを称した。実際問題、会えば即激突とまで言われる二天龍のはずが、他のことに興味があるので優先順位が下がっているレベルだ。イッセーに至っては結構な間、「戦わずに済むならそれでいい。決着なんて興味ない」といった対応だった。
それが、気になったということだろうか。
「我、これまでの戦い見ていた。ドライグ、ビルデとの戦いで紅になった。我の知ってる限り、初めてのこと」
真女王については知られているようだ。
もっとも、ビルデとの戦いで至った形態だ。彼の性格ならほかの派閥にも伝えて、対抗策を考えているだろう。オーフィスの耳に届いても不思議ではない。
そして、オーフィスはさらに続ける。
「だから訊きたい。ドライグ、なんになる?」
と、首をかしげながら聞いてくる。
といっても、イッセーも答えようがないだろう。
ここで「ハーレム王に、俺はなる!!」とか答えるのもアレだ、イッセーもそれぐらいは理解しているだろう。
ここは助け舟を出すべきかと思ったが、それより先にオーフィスは続けた。
「ドライグ、乳龍帝になる? 赤じゃなくて乳になると、天龍、超えられる?」
ドライグが発狂寸前になったので、この話はお開きになった。
結果として、オーフィスおよびルフェイ&黒歌は当分兵藤邸に居つくことになる。
ちなみにフェンリルはスコルやハティと一緒だ。さすがに犬小屋はかわいそうなので、兵藤夫妻にニングが頼み込んで家の中に入れてもらった。
フェンリルから感謝の念らしきものが浴びせられるとはニングの弁である。誇り高い神喰狼は、礼をきちんとする性分らしい。
特に覚えられてないのに失神物の恐怖が五十鈴を襲う!!