混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

135 / 157
オーフィスとの交流もある程度は書くべきですよね。


6話

 

 とはいえ、イッセー達は色々大変な身の上だ。

 

 なにせ中間テストと中級試験が同時にやってきているのだ。必然的にやる事は多い。

 

 特にイッセーは元々学力がそこまで高い方ではない。入学する時でも、偏差値が足りなかったのをスケベ根性による執念で無理やり底上げしたようなものなのだ。

 

 如何に駒王学園が素質のあるもの以外を振り落とすタイプの学校でないと言っても、割と進学校である為難易度は高めだ。

 

 目的意識があればしっかりと頑張れ、そして努力家であると同時に吸収率も高いイッセーだ。最近はリアス達が勉強を教えている事もあり、成績そのものは上がっている。中間テストは曹操のことがなければ大丈夫だろう。

 

 中級昇格試験もだ。筆記試験は調べてみると広く浅く色々なジャンルから出題されるので少し苦戦しそうだが、なんだかんだで経験が濃いので、赤点を取る事はないだろう。実技試験においては言うまでもなく、今の時点で最上級クラスに喧嘩を売れそうな実力を持っているイッセーが中級候補如きに負けるとは到底思えない。むしろ模擬戦の相手になった悪魔が秒殺されてポイントを稼げない可能性の方が心配だ。

 

 とはいえ、もしかしたらという事もある。

 

 いかに多芸が基本の節がある悪魔業界といえど、参入して壱年目のイッセーに過負荷を押させるのもアレだろう。減らせる負担は減らしてあげるのも先達の務めだ。

 

 こと今回は学生と悪魔の二足の草鞋でそこそこ重要度が高い試験である。少し位サポートしても罰は当たらないだろう。

 

 と、言う事で―

 

「……はい、これがイッセーの真女王こと、真紅の赫龍帝(カーディナル・クリムゾン・プロモーション)と俺が模擬戦した時の記録映像」

 

「覇龍より弱いけど、全く暴走してない」

 

 -頑張って気を引いて、井草がオーフィス相手に時間稼ぎを敢行していた。

 

 はっきり言って心臓に悪い状況だ。

 

 なにせ相手は世界最強。単純戦闘能力ならば、グレートレッドと唯一の同格。主神クラスですら、戦闘能力の桁で負けている化け物中の化け物である。

 

 一瞬でも隙を見せれば、その瞬間に塵になりかねないのだが―

 

「んまんま」

 

 ―ポップコーンを見ながらモグモグと戦闘映像を見ているその姿は、まったく威厳を感じない。

 

 心の底から思う。むしろシュールだ。

 

「……で? 何か分かった?」

 

「ん。とても不思議。あとおかわり」

 

 おかわりを要求された。余裕でどうこうできる状況とはいえ、緊張感がなさすぎる。

 

「はいはい。コーラとポップコーンのおかわりお持ちしましたーっと」

 

 そして、この緊張感のなさにいい加減慣れた五十鈴もまた、なんというかだれた態度でおかわりを持ってきた。

 

「はい。こぼさず食べなさい」

 

「ん。……モグモグ」

 

 メイド服でコーラとポップコーンというのもいかがなものか。

 

 井草はそんな場違いな事を思いながら、改めて記録映像を確認する。

 

 ちょうどいい機会なので、自分で復習するのもありだろう。そう考えて、マジマジと見直してみる。

 

 実際問題、真女王の戦闘能力向上率は目を見張るものがある。

 

 これまではレセプターイーツと赤龍帝の鎧の性能差は、そこまで大きなものではなかった。

 

 少なくとも、これまでは十分立ち回りようはあった。数多くの敵を撃破したレセプターイーツの特性ゆえに手札の数と、井草自身の数年間に及ぶ自分を苛め抜いた訓練による技量が、十分カバーしてくれた。

 

 アスカロンとデビルイーツの噛み合わせの悪さで苦戦を強いられているが、しかしそれでも大差はなかったのだ。

 

 しかし、真女王を発動されればそれもひっくり返る。

 

 それほどまでの性能の向上率だ。これまでも要所要所では最上級悪魔クラスに届いてたイッセーではある。それが、真女王の発動中は完全に最上級悪魔の領域だった。

 

 パワータイプの悪魔としてはかなり上位だろう。単純火力なら魔王クラス相手に食い下がる事だってできるはずだ。この時点で、戦い方次第なら下位の神を足止めできるものを持っている。

 

 むろん井草もトールセイバーがあるから攻撃力では負けていない。それに、イッセーのもう一つの奥の手である合体モードなどがある以上、井草が弱いという事ではないだろう。

 

 しかし、明確にオカルト研究部最強は誰かと成れば、間違いなくイッセーになる。

 

 真女王の持続時間は最初期の禁手より少ない時もある。だが、発動させれば間違いなくオカルト研究部最強だ。基本性能で他のメンバーを押し切れるだろう。

 

 追随できるとするのなら、新技を開発中の祐斗だろうか。こちらもまた二つの禁手という反則級の力によって化けており、イッセーとは別の意味で手に負えなくなってきている。

 

「……とはいえ、これ以上イーツの力を取り込むのもなぁ」

 

 そう、井草はぽつりと呟く。

 

 現実問題、これ以上他のイーツの力を取り込んでも、その本領を発揮できるとも思えない。

 

 単純問題手札が多すぎて、井草の判断能力を超える恐れがあるのだ。それに、デビルイーツなど取り込んだ結果弱点ができるという問題もある。堕天使というシンプルかつ弱点の少ない種族の利点を殺してまで、多種多様な手札を集める意義も薄かった。

 

 イミテーションイーツ研究の応用で、レセプターイーツが持つこの特性の抑制が可能になっている。これにより、本当に必要な手札以外は取り込みを抑制する事も可能になった。

 

 また、アウターイーツはレセプターイーツでは取り込み不可能だという事も判明している。単純に格上で吸収しきれないとのことだ。

 

 何かしらのパワーアップは必要だが、それはイーツの撃破による取り込みだけに頼っては頭打ちになるだろう。

 

 なにせ、手札とは有効なものを瞬時に取捨選択出来て初めて意味があるのだ。多ければいいというものでは断じてなく、選択肢が多すぎると選択に時間がかかり即応性が欠けることもある。そして必ずしも有効な選択しを選べるという確証もない。

 

 当人の判断能力に見合った数の選択肢。結局はその中でその選択肢の力を高めるのが最も有効なのである。

 

 そういう意味では、結局は地道なトレーニングが必要不可欠ではある。

 

 だが、同時に何らかのブレイクスルーがなければおいて行かれかねないのも確かだ。

 

 なにせイッセーは禁手のその先という、新たな次元に到達している。これは前代未聞の領域であり、覇の克服という歴代二天龍でもあり得ない偉業だ。その分絶大な力を秘めている。

 

 そしてもう一人のエースである祐斗も逸材だ。禁手そのものがイレギュラーであった事もあるが、それによって二つの禁手を保有している規格外である。

 

 オカルト研究部の二大エースは双方ともに化け物といっても過言ではない。いずれ冥界の歴史に名を遺す存在となるのは明白である。

 

 そして、その二人が同時に仕掛けてもナイアルの壁は厚く高い。

 

 EEレベル7,5。主神クラスの領域に対抗するには、これをもってしてもなお難しい問題である。

 

 そのナイアルを倒すには、今のままでは絶対に足りない。

 

「……ねえオーフィス。物事には対価ってものが必要だよ?」

 

「どういう、意味?」

 

 小首をかしげるオーフィスに、井草は冗談を言ってみる。

 

「アザゼル先生が自分の命を懸けて会談をセッティングしたんだから、それ相応の対価は払うべきだって話。具体的には君の蛇とか」

 

 本気で冗談である。

 

 いくらなんでもそんなものを敵に寄越すわけがない。

 

 対策がそれで立てられれば、その時点で状況が大きく変わる。それほどまでにオーフィスの蛇は禍の団にとって大きなアドバンテージだ。

 

 井草としても本気ではない。打開策が見えない現状に対するいら立ちが、なんとなく冗談という形で発散されただけであるのだが―

 

「……正論。はい」

 

 ―ぽんと、手の上に蛇が置かれた。

 

 一分ぐらい、井草と五十鈴は沈黙した。

 

「「……えぇええええ!?」」

 

 驚いてひっくり返ったのも当然である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五分後、井草と五十鈴は冷静さを取り戻した。

 

「……オーフィス。ストップ、いったん返す」

 

「??? 欲しいといったの、そっち」

 

 蛇を井草から返されて、オーフィスは首を傾げた。

 

 その姿はかわいらしいが、しかし井草からすれば冷静ではいられない状況だ。

 

 とりあえず深呼吸指摘を落ち着かせると、オーフィスに向き直る。

 

「オーフィス。俺たちがどういう立場かわかってるのかな?」

 

「??? ドライグの、同胞」

 

 そう答えるが、そういう問題ではない。

 

 井草はこんなことをいうのも馬鹿らしいとは思うが、しかしこみあげてくるものに耐え切れず、とりあえず懇切丁寧に教えることにする。

 

「うん。そして、ドライグは禍の団と敵対している三大勢力の側にいる。此処まではいいね?」

 

「それで?」

 

 ここまで言ってわからないのか。

 

 一瞬本気で呆れかえるが、何かしらの嫌な予感を覚えたので、井草は肩をつかんではっきりという。

 

「敵に切り札の横流しをするんじゃありません。ビルデとかホテップとか、怒るよ?」

 

「なんで?」

 

 小首をかしげられた。

 

 真剣に頭痛を感じ始めるが、しかし井草はあきらめない。

 

 どうすればわかってもらえるのかと考えて、とりあえず懇切丁寧に説明する。

 

「君が作る蛇は禍の団のアドバンテージ。それを勝手に敵勢力に流したら、禍の団が困るよ? 禍の団の盟主である君も困るんじゃないかい?」

 

「確かにシャルバ達、蛇を欲しがってた。でも、汝も欲しがってる。いらない?」

 

「興味はあるけどね? だけどね、物事には道理ってものがあってね?」

 

 どう説明すれば分かってもらえるのだろうか。井草は真剣に考えて頭を抱える。

 

 この天然ぶりはどうにかした方がいい。いつか大きな問題が起きるかもしれない。

 

 などと思い説得方法を考え、井草はとにかく冷静に告げる。

 

「いいかいオーフィス。君たち禍の団(カオス・ブリゲート)は、善悪はこの際置いといても、現政権側にとっては迷惑なことをしてくるテロリストなわけだよ」

 

「? でも、グレートレッド、倒したい。シャルバたち、蛇くれれば協力するといった」

 

 本当に協力するかどうかすごく疑問である。

 

 というより、もしかしてこれ、だまされているだけではないだろうかとすら思う。

 

 オーフィスの目的は次元の狭間に居座っているグレートレッドを倒すこととは聞いている。次元の狭間にいる邪魔になっていると。

 

 だが、オーフィスが次元の狭間を独占されると禍の団にとって困るのではないだろうか。

 

 一瞬本気で考えるが、しかしだましてメリットがあるとも思えない。

 

 騙していた事が知られれば、オーフィスの怒りを買ってもおかしくない。そうなれば確実にオーフィスと禍の団が全面戦争だ。

 

 そんな事になっても、禍の団は誰も得しないだろう。

 

 などと思考が脱線していると、オーフィスは飽きたのか、視線をずらす。

 

 その視線が、テーブルの上にある物を見て止まった。

 

「……あれ、なに?」

 

「「ん?」」

 

 視線に二人が顔を向けてみると、そこにあったのは絵の具とバーコードシールの山だ。

 

 配膳役をすることになった五十鈴が、敵相手に真剣みを出してもしょうがないと内職をするために持ってきたのである。

 

 あと少しなのだが期日が迫っているので、割と忙しいのだ。

 

「絵具と、それに貼るバーコードシールよ」

 

「シール張る? なんで?」

 

「バーコードってのはこの国で売り物にするために必要な時があるからよ。私の副業……って言ってわかる? お仕事の一つで、お金を稼ぐの」

 

 五十鈴が丁寧に教えると、オーフィスはうんうんうなづいてから首をひねった。

 

「お金は知ってる。お金、足りない?」

 

「……お小遣いは足りてるわよ。内職(あれ)は復興支援金に当てるの」

 

「復興支援金? なんの?」

 

「……ムートロンに所属していた時に迷惑かけた地域に送るためのよ」

 

「……なんで、そんなことする?」

 

 その言葉に、五十鈴は苦笑しながらはっきり言った。

 

「ムートロンにいたときにしたことが悪いことだと思ってるからよ。悪いことしたらお詫びするのは当然でしょ?」

 

 その言葉に、オーフィスはきょとんとしながら五十鈴を見つめる。

 

「お詫び、必要?」

 

「賠償金は払ってるけどね。まあ、金で何でも解決ってのもアレだけど……ね」

 

 そう苦笑する五十鈴に、オーフィスは首をかしげる。

 

「………ムートロン、悪いことしてる?」

 

「ええ。少なくとも、同盟側からすれば悪いことね。っていうか禍の団の行動が基本悪いことね」

 

「禍の団、悪いことしてる……。なら、お金払わないといけない?」

 

「……いや、金払えばいいってもんでもないけど………」

 

 返答に詰まる五十鈴だが、しかしオーフィスは首をかしげる。

 

「我、次元の狭間で静寂を得たい。それ、悪いこと?」

 

 それは無表情だが、真剣みがあった。

 

 だから、井草はそれに真剣に答える。

 

「難しい内容だね。だけど、同盟としてはそれをされると迷惑で、他のことで解決できるならそうしてほしい」

 

 正直に言えば、オーフィスからすれば理不尽な側面はあるかもしれない。だが、それをさせるわけにはいかないというのが実情だった。

 

 だからこそ、井草はあえて悪いこととは言わない。

 

 そして、井草はあえて遠回しに交渉を求める言葉を紡いだ。

 

「……困った。我、静寂を得たい」

 

 オーフィスは無表情に首をかしげるが、しかしどこか困っているようだった。

 

 その様子を見て、井草と五十鈴は顔を見合わせる。

 

 どうも、オーフィスは少しだけだが本気で困っているようだ。こちら側の「オーフィスの目的は困る」という言葉をまじめに受け取ったらしい。

 

 しかも「悪いこと」という言葉にも反応した。どうも、今まで悪行をしているという意識がかけらもなかったみたいにも受け止められる。

 

 ……もしかしたら、自分達は何か勘違いしているのかもしれない。

 

 そう思うが、しかし迂闊につつくのは自分達の立場だと難しくもあり―

 

「……よくわからない。とりあえず、それ、すればいい?」

 

 と、視線が五十鈴の内職に向けられたので、話を逸らすことにする。

 

「……手伝ってくれるなら、まあいいけど」

 

「あ、じゃあ俺も手伝うよ」

 

 テロリストのボスが、テロリストをやめた女性の内職を、その女性の彼氏とともに手伝う。

 

 はたから見ると、実にシュールな光景だった。

 

「……オーフィス! そこはバーコードを張る場所じゃないから!! お金貰えないから!!」

 

「あとシールを破かないでね? いや、予備はきちんともらってるけど、破かないに越したことないからね?」

 

「ん、ゴメン。我、気を付ける」

 

 ……バーコード張りに苦労する世界最強の存在。

 

 実にシュールな光景であった。

 




放せばわかってくれる素直なオーフィス。

五十鈴と井草は少しずつですけど認識してきました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。