混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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それではエクスカリバー編に突入します。









さて、フェニックス編の間井草が何をしていたのかといいますと……


月光校庭のエクスカリバー
1話


 

 堕天使とは、異形社会においても研究関係で一歩先を行く勢力だ。

 

 こと神器の研究においては他の勢力の追随を許さない。神器の生みの親である聖書の神が有する天界及び教会ですら足下に及ばない。それほどまでのアドバンテージを持っている。

 

 既に悪影響があるとはいえ、疑似的な神器の禁手化を行なえるに至った。人工的な神器の開発も、この調子でいけば数年以内に可能とするだろう。各勢力で神滅具を複数持っている勢力もそうはいない。

 

 その堕天使をもってしても、イーツの存在は手探りの段階だった。

 

 そして最悪な事に、急いで解明してそれを全勢力に公開する必要すらある。

 

 突然現れて強大な力を発揮するイーツ。しかも、人間世界で暴れている手合いより強大な存在が、よりにもよって堕天使側から出ている。それも、一気に六人もだ。

 

 今のところは悪魔と教会にしか知られていない。というより、あれがイーツだと判断できる者も悪魔側ぐらいだろう。

 

 だが、どこの勢力だってスパイや買収した売国奴の一人や二人は用意しているはずだ。何時気づかれるか分からない。

 

 イーツの存在は異形達にとっても目の上のたん瘤。それを生み出した勢力は間違いなく全勢力から叩かれる。そして、レイナーレ達が変化したイーツは明らかに他のイーツを上回る性能を発揮していた。

 

 まず間違いなく、技術力に長けた堕天使勢力が生み出したものだと勘違いする勢力は出てくるだろう。

 

 ゆえに対策は必要不可欠。速やかに行動を開始しなくてはならない。

 

 そんな中、希望の星を研究するのは、当然の流れだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼を閉じて、何の抵抗もなく井草は検査装置の中に納まっている。

 

 それを困った表情で見て、アザゼルは困り顔になった。

 

「……そういうことか」

 

「何がわかったんですかぁ?」

 

 井草が心配で分かる知識もないのについてきたピスに、アザゼルはどういえば分かり易く言えるのか考える。

 

 そして、すぐに思い至った。

 

「ピス。テラフォ○マ○ズのM○手術は知ってるか?」

 

「ええ。前にアニメを見たけれどぉ?」

 

「今のアイツは、それに近い」

 

 そう言いながら、アザゼルは分かり易くモニターに状況を移す。

 

「アイツがイーツ化した事で活性化したんだろう。アイツの体内に、俺達が観測した事のないエネルギー体が確認された。……おそらく、それがイーツ化の種だ」

 

「……まさかぁ」

 

 ピスの脳裏に、井草を助けたある日のことが移る。

 

 あの時、井草と揉めていた男はボディブローを叩き込んだ後、怪訝な表情をしていた。

 

 ハーフ上級堕天使である井草を、ただの一般人が一方的にボコボコにできるはずがない。また、事情を聴き出すとアザゼルも義憤にかられる展開だった。

 

 ゆえに監視しようとしたその後、あの男は()()()とともに行方不明になった。

 

 念の為の警戒として、自分たちも神の子を見張るもの(グリゴリ)の施設に隠れてみたら、ある意味で大当たりだった。

 

 その後二年間ほどほとぼりが冷めるまで隠れてから、井草自身が「自分に相応しい捨て駒同然の仕事」を求めてきた為、アザゼルと相談してリアスの監視役につけることにした。

 

 彼女の眷属が心配だった事もある。その対象である朱乃は、自分の堕天使の血を心底毛嫌いしているので、自分達とのパイプ役になる事はあり得ない。なので父親であるバラキエルもなんだかんだで心配していた。

 

 かといって監視役など送り込んだら問題が発生する。三大勢力は今もって冷戦状態で小競り合いも勃発しているのだ。

 

 そういう意味では、井草は適任だった。

 

 ハーフとは言え上級堕天使であるがゆえに、ピスと併用すれば監視役として相応の戦闘能力を発揮する。加えてその来歴まで詳しく説明すれば、善良極まりないサーゼクスなら同情票も入る。朱乃の件もあるので、万が一のトラブルを心配したバラキエルは緊急用の保険をかけておきたかった。そこに関してもお人好しで兄バカのサーゼクスなら理解を示すだろう。

 

 本人はいざという時の捨て駒のつもりだが、その実ほぼ確実にピスという戦力による警護をつけることができる。そしてこちらから手を出す気はないので攻撃される可能性も低い。そういう、危険に見せかけて安心な任務だった。

 

 ……それが、まさかこんなことで躓くとは。

 

 井草は非常に重要な検体だ。

 

 イーツの警戒度は大幅に向上している。元の段階でも中級レベルを超える戦闘能力を発動しているうえに、レイナーレの部下が変化した時には、若手といえど上級クラスと一対一でまともに渡り合った。

 

 つまり、今まで出てきたイーツは弱いタイプだということだ。

 

 そして堕天使達が変化したという事は、必然的にこれまでのイーツも素体があると言う事になる。

 

 ……もともと殺人をすることが前提の軍隊等が撃破していたから問題度は薄いだろうが、この事実が知られれば世論は割と揺れるだろう。

 

 とにもかくにもイーツについて急激な変化が生まれているのだ。しかも堕天使側から出てきた以上、絶対に勘違いする輩は出てくる。

 

 なので少しでも情報が欲しい。しかしその検体の確保は難しい。

 

 ……はっきり言って、井草の存在は非常に貴重だった。

 

 問題は、それを井草自身が知ってしまったということだ。

 

 実験体にされる事を抵抗するとか言う心配はない。むしろ、その逆が心配なのだ。

 

「あの子、解剖とか志願しないかしらぁ」

 

「俺もそれが心配だな」

 

 二人してため息をつく他ない。

 

 井草・ダウンフォールは自己嫌悪の塊だ。病的なまでに自分が大嫌いだ。

 

 事情を知っているピスやアザゼルからしても、そこが頑なになっている井草の扱いは大変だ。本人がそこで自己完結しているから、中々改善してくれない。

 

 幸い堕天使の寿命は長いので、それを利用してゆっくりと治していくつもりだった。

 

 ところがこれだ。堕天使側の非常事態に対して、自分が貴重な切り札になりかねない事を知ってしまった。

 

 こうなれば危険だ。井草は自己犠牲精神を全力で発揮するだろう。

 

 絶対に、解剖してくれと言ってくるはずだ。その辺は時間の問題だともいえる。

 

「……どうする? 親代わりのお前の意見が効きたい」

 

「何か別のことに意識を向けさせるべきですねぇ。例えば、グレモリーとわざと揉めるとかぁ?」

 

 確かにそれは効果的だ。

 

 井草は赤龍帝のことを友人として見ている。ゆえにそちらに意識を向けさせれば、先ずはそっちの解決を優先するだろう。

 

 しかしこの状況下で悪魔と喧嘩するわけにもいかない。

 

 ただでさえ異形社会をピリピリさせるイーツ絡みで大変なのだ。ここで攻撃される大義名分を増やすわけにはいかない。

 

 魔王の妹と揉めるなど論外だ。そうなれば、四大魔王はともかく大王派が黙っていない。

 

 ……三大勢力での戦争再発など自殺行為だ。人間達魔まで巻き込んで、自分達は滅びるだろう。

 

 できることなら和平に持っていきたいのが本音なのだが、さてどうしたものか。

 

「……ああ。教会の連中にもイーツ使いが生まれてくれねえだろうか」

 

「パワーバランス的にはともかくぅ、保身的には最高ですねぇ」

 

 二人してそんなことを希望的観測で思ったその時だった。

 

「総督! 大変です!!」

 

 勢いよく、配下の堕天使が飛び込んできた。

 

 その顔色は悪く、明らかに問題が発生している事が分かる。

 

「どうした! まさかもう他の勢力が仕掛けてきたのか!?」

 

 最悪の想像が頭に浮かぶ。

 

 教会も魔王も、堕天使関係者から大量にイーツに変身する者達が出てきた事は知られている。スパイが他の勢力に情報を漏らしている可能性も十分ある。

 

 そして、其れを知った勢力が勘違いして殴り込みをかけた可能性は普通にあった。

 

 このまま戦争再開かと思い、アザゼルは体をこわばらせ―

 

「―コカビエル様が失踪しました! あげく、教会では上位堕天使によって聖剣エクスカリバーが四振りも強奪されたという情報が出ています!!」

 

「あの馬鹿野郎がぁああああああ!!!」

 

 アザゼルが絶叫したのも、当たり前である。

 

 恐ろしいほどに全てが繋がってしまった。無論誤解で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 堕天使統括組織、神の子を見張るもの(グリゴリ)のトップ陣営は、殆どがハト派である。

 

 戦争で痛い目を見て懲りた者が大半だし、少なくとも今の時代ではもめ事を起こす気もない。神器など興味を引くものも多いから、その研究に集中したい。なによりこのまま戦争をしても滅びるだけだと思っている。

 

 サタナエルという幹部が暴走して離反した時もあったが、それは神器研究の為だ。研究の為に世界を混乱に陥れるあほな事をやらかしたが、それはあくまで研究の為である。

 

 そんな中、戦争再開を望むタカ派の中で、唯一運営陣の存在がいる。

 

 それがコカビエルだ。

 

 武闘派なだけあり最上級堕天使の中でも強い部類。迎え入れた神器使いを含めても、上位十指に名を連ねる奴だ。しかも性格も悪い部類である。

 

 そんなコカビエルが消えたと思ったところに、エクスカリバーだ強奪されるという非常事態。

 

 エクスカリバーは教会の重要戦力にしてたからである。そんなものを奪われたとなれば、聖書の教えを()()運営しているセラフはともかく、人間側の代表である枢機卿が黙っていない。

 

 しかもコカビエルの足取りを辿ってみれば、どうも駒王町近辺に潜伏している可能性が高いと来た。

 

 教会からも、聖剣使いという腕利きの悪魔祓いが駒王町に向かっている。おそらくエクスカリバーがそこにあると踏んでいるのだろう。

 

 堕天使に強奪されたエクスカリバーを追って、魔王の妹がいる土地に戦士達が来訪する。

 

 そして堕天使の中でもタカ派筆頭であるコカビエルが行方不明になったこの時に起きた事態。

 

 ……間違いなく繋がっている。

 

「あの馬鹿野郎がぁあああああ!!!」

 

 アザゼルがそう絶叫するのが最近の口癖になったのは当然だともいえる。

 

 ただでさえイーツの存在で誤解されかねないこの事態で堕天使はヤバイ。そのうえで魔王の妹とエクスカリバーの元凶がコカビエルだとするならば―

 

「何かあったら戦争再開だ。それも、天使と悪魔が手を取り合って堕天使に仕掛けかねない」

 

 そうアザゼルは結論した。

 

 最悪な事に、コカビエルと共に行方不明になった物の中に、聖剣使いの人工的な生成を研究していたバルパー・ガリレイという研究者が含まれている。

 

 この男も危険人物だ。何せ、実験の為に何十人もの子供を殺したという。しかも、殺す必要がない事が分かっているのにも関わらずだ。止めにその成果はきちんと出ており、エクスカリバー使いを生産する事は十分可能となっている。

 

 もうこれは黒でしかない。すぐにでも堕天使側が動かないと、本当に堕天使は集中砲火を喰らって滅ぶ。

 

 だがしかし、誰を動かすかも問題だ。

 

 もしコカビエルがエクスカリバーの使い手になっていたら、それを止められるのはごく僅かだ。

 

 アザゼルは無理だ。色々状況があれなので、総督は残っている必要がある。

 

 しかし残りでエクスカリバーをもったコカビエルをどうにかできそうなものが少ない。

 

 神滅具使い二名も堕天使幹部も全員別件があった。其れも、割と重要度が高い案件でだ。

 

 神滅具使いの一人である白龍皇が一番早く終わりそうだが、しかしそれでも時間がかかる。

 

 それまでに魔王の妹であるリアス・グレモリーとソーナ・シトリーがエクスカリバーとコカビエルに殺されたら……。

 

 なんとしてでも誰か戦力を派遣する必要があった。

 

「つーわけで、リアスと親しいお前が言って協力体制を取ってこい」

 

「いいんですか? 俺を使ってイーツを調べた方が―」

 

「其れよりこっちの方が急務だ」

 

 井草の反論を、アザゼルは遮った。

 

 ある意味でこれは好機でもあった。

 

 自己否定と自己嫌悪から自己犠牲精神の強い井草は、自分の親しいものの為ならば平然と命を賭けることができる。

 

 自分の価値が低いから、天秤に乗せた時点ですぐに傾くのだ。これを利用しない手はない。

 

 実際すでに心配が顔に出ている。これなら説得も簡単だ。

 

 それに、これは別の意味でも好機である。

 

「井草にピス。これはリスクもでかいがリターンもでかい」

 

「具体的にはぁ?」

 

「上手く活かせば、ミカエルやサーゼクスと直接会談を起せるはずだ」

 

 ピスに応えるアザゼルの狙いは明白だった。

 

 他の勢力に攻め込まれないようにする為の、三大勢力の和平。其れこそがアザゼルの狙いの一つでもある。

 

 そもそも三大勢力は何処もがたがたなのだ。

 

 冥界では本来の四大魔王は戦死し、その後内乱もあって大打撃。サーゼクス達のカリスマ性と戦闘能力、および転生悪魔制度による精鋭の投入で持ち堪えているが、しかしやはりダメージは大きい。

 

 天使・教会側も大きなダメージだ。というより、ある意味であそこが一番大きな打撃を負っている。前提条件が崩壊しているので、余計なトラブルは起こしたくないのがセラフの本命のはずだ。この数百年で20憶の信徒がいるが、それもあの地雷が爆発すれば逆に大混乱の根源になる。

 

 堕天使側もタカ派はほぼ全滅だ。人間の神器使いを集めているのも本命は研究。コカビエルさえ何とかできれば、首脳陣は和平で統一できる。

 

 戦争再開の危険性がある今回の事態だが、これを堕天使側が解決に協力すれば逆の可能性も出る。

 

 堕天使が何らかの形でコカビエルをどうにかする事で、自浄作用を示す事ができる。またこれだけの大騒ぎなら、ある程度の情報開示の機会を作る事もできるだろう。とどめにサーゼクスたち新魔王は、揃いも揃って戦争否定派だ。天界も、戦争をしたくてもできない事を首脳陣は理解しているはず。

 

 上手くすれば、三大勢力で和平を結ぶ事ができる。最悪でも、サーゼクス達と和平を結ぶ事で冥界だけは纏められる。

 

 堕天使側で高性能なイーツ変身者が出てきてるこの非常時において、このチャンスは好機でもあった。

 

 極めてハイリスクハイリターン。しかしコカビエルをこのままにすれば戦争再開はほぼ確定。

 

 やる他ない。

 

「とても危険だが重要な任務だ。しかも、これができるのはリアス・グレモリーの眷属である赤龍帝と懇意なお前だけだ」

 

 そう説き伏せ、アザゼルは指示を出す。

 

「……駒王町の魔王血族二人と協力して、聖剣奪取事件の真相究明及びコカビエルの調査を行なえ。……これは最重要任務だ」

 

 このチャンスを、最大限に利用して、最大の成果を上げる。

 

 割と崖っぷちな堕天使勢力の命運がかかった重要任務で、井草の人体実験志願を阻止する事もできる。

 

 一石二鳥の大博打が、今ここで行われる事になった。

 




検査のために神の子を見張るものの本部にまで戻っていました。

まあ、警戒しているイーツの変身者が自陣営の中に現れたんですからね。しかも当人は意図的になった覚えがない。いろんな意味で調べなければいけない案件でしょう






そして自己評価が低いというか自己嫌悪すらしている井草が自発的に実験体にならないようにするため、発生した緊急事態を利用することにしたアザゼル。

まあ、この事件ってやりようによっては原作のように和平のとっかかりにもなりますからね。当時の情勢では三大勢力の重鎮が顔を合わせる機会にすら事欠いていたのが現状。それが「馬鹿の暴走の再発防止」を理由にして顔を合わせる機会を作れるかもしれないんですから、ハイリスクですがハイリターンでもあります。
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