混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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さあ、ウロボロス編も最終話です。








乱入してきた謎の人物! もう正体ばれてる気もするけど、一体誰だ!!


13話

 

 条件反射レベルで、井草はイッセーを蹴り飛ばした。

 

 デビルイーツの特性があるといえど、基本的には堕天使なので井草の方が光力に耐性がある。それだけの理由だ。

 

 そして攻撃を何発か喰らいながら、井草は速やかにそちらに突撃する。

 

「井草さん!?」

 

「イッセーはシャルバを! 伏兵は俺が引き受ける!!」

 

 イッセーに目的を思い出させながら、井草は槍が放たれる方向に向かって突撃する。

 

 いくつかの攻撃を喰らいながら、しかし大半を迎撃しつつ井草は突貫する。

 

 そして、その敵手の姿を正確に把握して、井草は舌打ちした。

 

「ここで来ますか、コカビエルさん!!」

 

「ああ、そうだ! 暇つぶしにシャルバを探していたらいいものが見れた!!」

 

 光力の刃同士がぶつかり合い、光の粒子が飛び散る。

 

 そのままつばぜり合いをおこないながら、井草は全力でこかびえるを押しのける。

 

 幸か不幸か、コカビエルが使った転移魔方陣はまだ残っている。うまくすれば利用できる。

 

 今この状況下で混乱が起きるのだけは避けなければならない。

 

 イッセーにはシャルバに集中してもらう必要があった。

 

 故に、井草は術式を起動しながら転移魔方陣に体当たりを敢行する。

 

 その瞬間、転移魔方陣が暴走した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弾き飛ばされた空間は、不幸中の幸いか冥界だった。

 

 黒歌たちによる転移術式に引き寄せられたのだろう。遠くには井草たちが転移に巻き込まれたホテルが見える。

 

 幸か不幸か脱出できた。これはいい。

 

 イッセーが残されているが、今は気にしている余裕がない。かれには彼で頑張ってもらうしかなかった。

 

 流れ弾で都市に被害が生まれかねないという厄介な事実の方が重要だ。

 

 井草はわざと都市から離れ、コカビエルに上空を取らせながら戦闘を行う。

 

 これならコカビエルの攻撃が都市に届くことはない井草の攻撃が当たることもない。

 

 それを理解しながら、コカビエルもあえてその戦法に乗る。

 

 そちらの方が面白いと判断したのだろう。

 

「いいぞ! しばらく見ないうちに強くなったようだ!!」

 

「激戦と訓練の毎日ですからね!」

 

 近接戦闘や遠距離戦闘を織り交ぜながら、コカビエルと井草は激突を繰り広げる。

 

 コカビエルはいまだイーツになっていない。

 

 だが、コカビエルは変身前から堕天使でも上位一桁に入る強者だ。そのままでも並みの最上級悪魔よりはるかに強い。

 

 そして井草はイーツ状態で最上級堕天使クラス。それもまだ上が多く存在するレベルだ。

 

 断言してもいい。イーツになられたら勝ち目がない。

 

 アザゼル達がこの転移に気づいて増援を送ってくれる可能性に期待し、それまで凌ぐ覚悟を決める。

 

 死ぬ気はない。そんなつもりはかけらもない。

 

 意地でも生き残る。その決意を決め、井草は剣を握り締める。

 

「まだ戦争をするつもりですか、貴方は!!」

 

「勿論だとも! 望んだものとは形は違うが、これまでにない大規模な戦争だ! これを楽しまなくて何が堕天使か!」

 

「色事とかに夢中になってください!!」

 

 ぶつかり合い、撃ち合いながら井草とコカビエルは高速で飛翔する。

 

 音速すら超える速度のドッグファイト。街中で起きれば衝撃波で大きな被害が生まれていただろう。

 

 振るわれる攻撃をしのぎながら、井草は状況の不利を痛感する。

 

 性能で劣る。経験で劣る。技量で劣る。残存体力で劣る。とにかく劣る部分が多い。手札の数で勝るが、それだけだ。

 

 曹操に叩きのめされ、更に死神たちと激戦を繰り広げた。はっきり言ってそろそろ限界に近い。

 

 それでも、それで心が折れれば死ぬ。

 

 それがわかっているから、井草は戦闘に全力を尽くした。

 

 そして、その渾身の戦いをコカビエルは心底から嬉しそうに嗤って認める。

 

「本当に強くなった! 素質はあったがこの短期間で伸びるとはな!!」

 

 戦闘狂に強さを褒められれば、間違いなくそれは強くなったということだろう。

 

 だが、喜んでいる暇はかけらもないので意識を戦闘に集中し―

 

「さすがはアザゼルの血を継ぐものだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -思考が止まり、カウンターの攻撃が井草を大きく切り裂いた。

 

「………は?」

 

 ダメージを感じる余力もなく、井草はぽつりと声を漏らす。

 

 その光景と思わぬラッキーヒット。二つの出来事にコカビエルがぽかんとした表情を浮かべた。

 

 まるで、まだ知らなかったのかお前とでも言いたかった表情だ。

 

 そのまま崩れ落ちる井草を見下ろしながら、コカビエルは、はっきりと告げた。

 

「ああ。お前はアザゼルの血を引いている。……まだ聞かされてなかったのか?」

 

 その表情は本心からの驚きが見えており、嘘でないことがすぐにわかった。

 

 というより、余計なことを言って滾る戦いを阻害してしまったことに精神的ダメージすら受けている節がある。これは確実に真実だ。

 

「……どういう、ことですか……!? 俺は、上級堕天使と人間のハーフか何かだとばかり……?」

 

 井草はそうだと思っていた。そうだとばかり思っていた。

 

 それを聞いて、コカビエルは静かに肩をすくめる。

 

「いや、貴様はニング・プルガトリオ・ルシファーと同じ先祖返りだ。……昔俺がアザゼルと一緒に関ヶ原の戦いを見物した帰りにあのバカがはしゃいでな。しかも酔った勢いでそのことを忘れていたらしい」

 

 あきれ顔で告げるコカビエルは、遠い目をしていた。

 

「酒の席でたまたま告げてそれが発覚してな。調べてみたら、先祖返りのお前が見つかったというわけだ」

 

 そして、コカビエルは憐憫の視線を井草に向ける。

 

「大変だったらしいぞ? なにせ異形を知らない家系でいきなり堕天使の翼だからな。俺は触りしか知らないが、無理心中が起こったらしい」

 

 ……井草は、親のことを深く考えたことはなかった。

 

 親戚からはたらいまわしにされていた。だから、両親には問題があるのだとも思っていた。

 

 だが、真実は逆だった。

 

 井草・ダウンフォールこそが、家族を苦しめていたのだ。

 

「全く下らん連中だ。これだけの力を秘めた先祖返りを恐れるのだから、人間とは度し難いと思わんか?」

 

 そう告げるコカビエルは、翼を広げると飛び上がる

 

「……見逃す、気ですか……?」

 

「ああ。こんな決着は興ざめだ。お前はもう少し伸びそうだからな、そのあとのほうが狩りがいがあるというものだろう?」

 

 にやりと笑いながら、コカビエルはそのそのまま飛び去ろうとし、そして井草に振り替える。

 

「ああそうだ。兵藤一誠ではなくお前が俺にぶつかったのは失策だったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャルバはサマエルの毒をもっている。兵藤一誠は死んだかもしれんぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最大級の爆弾を投下しながら、コカビエルはそのまま飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、気づくと、涙が頬にあった。

 

 井草自身の涙ではない。井草に縋りつく、ニングの涙だった。

 

 悲しみではなく安堵の涙をこぼしながら、ニングはほぉ、と息を吐く。

 

「……おはようなのです、井草さん」

 

「ニング……?」

 

 どうやら気絶していたらしい。気づけば病室のベッドに寝かされていた。

 

 そして、不意打ちの如く体当たりされた。

 

「井草! 井草井草井草!!」

 

「起きやがりましたか、井草!!」

 

 涙目の五十鈴とリムに抱き着かれて、井草は心配をかけていたことを自覚する。

 

 まあ、いきなり行方不明になるはコカビエルに殺されかかるはと大変だったのだ。心配されても当然だろう。

 

「……ごめんね、みんな。心配かけた」

 

 井草はそういうと、五十鈴とリムの頭をなでる。

 

 そして、ニングにほほ笑むと手招きした。

 

 ニングは少しだけ周りを確認して、誰もないことを把握してから、すっと寄り添う。

 

「起きるまで心配だったのです」

 

「うん。心配してくれてありがとう」

 

 そしてニングの頭をなでながら、井草は静かに苦笑し―

 

「いい雰囲気のところ申し訳ありませんが、状況は刻一刻を争います」

 

 ―いきなり現れたシアリーに、全員が度肝を抜かれた。

 

「うひゃぁ!?」

 

「メメメメイド長!?」

 

 井草と五十鈴がドギマギするが、シアリーは何言ってるんだお前的な顔をする。

 

「数万以上の衆人環視で接吻をするような方々が、この程度であわてないでください」

 

「まあ、ムードってありやすからねぇ」

 

 シアリーをそうたしなめるリムも、少し顔が赤かったりする。

 

 ニングもニングで顔がほんのり染まっていたが、すぐに咳払いをすると真剣な表情を取り戻す。

 

「……シアリー。状況の説明をお願いするのです」

 

「かしこまりました。では手身近に説明させていただきます」

 

 ニングの指示に従い、シアリーが現状を説明する。

 

 すでに丸一日警戒しており、現在冥界は非常事態宣言状態。

 

 シャルバ・ベルゼブブによって強制的に至った魔獣創造の禁手によって生まれた超巨大魔獣は、超獣鬼(ジャバウォック)および業獣鬼(バンダースナッチ)と名付けられ、冥界の各都市に向かって侵攻している。

 

 迎撃部隊は現状足止めしかできてらず、定期的に獣鬼が生み出す小型魔獣が近辺を荒らすこともあって、そちらの対処に回ることもあって対策は容易ではない。

 

 さらにシャルバが発言していた通り、獣鬼たちは大魔王派側にも侵攻を開始。禍の団も迎撃作戦をとっているが、此方も苦戦しているとのことだ。

 

 シャルバはどうやら本気で自分を崇めない悪魔全てを滅ぼすつもりらしい。迷惑極まりない。

 

 不幸中の幸いは、結果的にこれで同盟側が警戒しなければならない獣鬼の数は約半分だということである。

 

 しかし、神殺しの槍を持つ曹操を警戒しなければならないため神々が動けないことがネックで、迎撃作戦は遅々として進んでいない。

 

 そして、冥界全体での問題と同様に、オカルト研究部にとっての問題も浮上していた。

 

「……現時点において、明確な被害者が生まれました」

 

 静かにシアリーはそう告げ、そしてニングたちは目を伏せる。

 

 井草もまた、それが誰なのかを理解した。

 

 理解したからこそ、奥歯をかみしめ、拳を震わせる。

 

「……コカビエルさんが言っていたよ。シャルバはサマエルの毒をもっていたって」

 

 井草の言葉にシアリーはうなづいた。

 

「……兵藤一誠様は駒だけがご帰還なされました。これまでの前例から考えて、一誠様の死亡は確定的かと思われます」

 

 それは、最悪の打撃だった。

 




 タイミング悪く出生の秘密が明かされたことで、大打撃を受けた井草、撃沈。まあ、たまには負けるところも見せておかないとね。

 井草が先祖返りなのは初期から確定していました。ニングやシアリーなど先祖返りが多い作品ですね。

 そしてコカビエルの傲慢により生き残った井草は、痛恨の失敗を知らされることになります。

 あの場で逆なら全員無事もあり得ましたが、さすがにとっさの展開なうえ、シャルバがサマエルの毒をもっていることは想定外だったのでミスとも言い難いですけどね。だが、結果的に今のころと最悪の事態がちらつきます。シアリーの意見はもっともです。









 ……真相を知っている皆様としては、もはや笑うほかない展開ではありますけどね(苦笑い
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