混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
そして五分で、井草は敵を殲滅した。
思った以上に簡単に倒せた。というより、歯応えがないと言ってもいい。
どうやら、井草達は思った以上に強くなっていたようだ。半端な通常戦力では足止めにもならないだろう。
流石はアザゼルの血を継ぐ先祖返り。自分って、努力する天才だったんだなぁ。
などと井草は自画自賛ともいえる感想を抱き、すぐに振り返る。
「さて、時間ないから急いで助けに行かないと!!」
そして井草は振り返り―
「……いや、そうはいかん!」
―その声に、井草は遠慮なく光力の槍を叩き込む。
敵は難敵だ。それだけは分かる。
間違いなく魔王クラス。あの最強の魔王であるサーゼクスを真正面から蹴り飛ばし、その攻撃を前に凌ぎ切った、強大な戦士だ。
そう、敵は強大。
EEレベル6,5。バイアクヘーイーツの使い手の1人にして、フェニックスイーツをデフォルトで運用する化け物。
「ナイファーザー……だっけか!」
「その通り! 偉大なるムートロンの戦士、ナイファーザーだ!!」
そう宣言しながら、ナイファーザーは槍の雨あられを素早く回避しながら井草にナイフを突き出す。
再生能力を持つフェニックスイーツでありながら、しかし無駄にダメージを食うつもりはないと攻撃を回避する。
そこには「下等な存在に触れられたくない」という傲慢がある。初見殺しに対する警戒がある。攻撃を受けずに倒してこそ強者だという自負がある。
そして、厄介な事に全てを持っていておかしくないほどに、ナイファーザーは難敵だ。
そのナイフを回避しきれず、井草の肌には切り傷が入る。
レセプターイーツになった事で頑丈ではあるが、ナイファーザーの装備はムートウェポン。
オリハルコンを使用する特殊武装。伝説クラスの武器とも真正面から撃ち合える、最高性能を持つ武器。ムートロンの技術が詰まった、超高性能の武器である。
「くそ! こいつをリアスちゃん達に引き合わせるわけには!!」
「ふははははは! 本命前に体を温めようと来てみれば、まさか大物が出てくるとはな!」
攻防を繰り返しながら、井草とナイファーザーはルシファードの上空を舞う。
ビルの谷間を潜り抜けながら攻撃を躱し合うが、それらはナイファーザーの方が間違いなく有利だった。
ナイファーザーは無傷でありながら、井草は少しずつ明確に負傷が積み重なっている。
明確に、確実に、正確に、井草はナイファーザーに劣っている。その証左だった。
多種多様な能力がある。圧倒的な寿命がある。素体の性能では超えている。
だが、EEレベルではナイファーザーの方が上で、実際の戦闘経験や訓練の長さでもナイファーザーの方が上で。戦士としての力量でナイファーザーの方が上だった。
上述の利点など、本当に強いのならひっくり返せて当然。それを、ナイファーザーは見事に証明して見せた。
これがEEレベル6,5。これが、魔王クラス。これが、ムートロンのアウターイーツ。これが、サーゼクス・ルシファー達が揃う駒王会談に差し向けられた、ムートロンの一番槍。
そのポテンシャルを、ナイファーザーはこれでもかといわんばかりに叩き付ける。
「さあ、死ぬがいい!! ものども、仕掛けるぞ!!」
更に、ナイファーザーの命令に従い、八名のバイアクヘーイーツが迫りくる。
「ここに来てダメ押し!?」
「相手より多くの戦力を投入するは戦いの基本! 私の指揮下の分隊で、貴様らを蹂躙してくれるわ!!」
その数と質の猛威が、井草に一斉に襲い掛かった。
一方その頃、リアス達は窮地に追い込まれていた。
厳密にいえば、戦闘そのものはこちらに優位に進んでいる。
英雄派幹部である、ゲオルク、ジャンヌ・ダルク、ヘラクレスと接敵したリアス達は、最高の増援を手にしたからだ。
サイラオーグによってヘラクレスは一蹴。此処まではいい。
その後、イッセーの死という誤情報を知らされたギャスパーは、謎の闇の獣となって、ゲオルクを蹂躙。ゲオルクは匙の意地の反撃を喰らい、闇に飲み込まれて生死不明だ。
ここまではいい。だが、ここに来てジャンヌが凶行に及ぶ。
追い込まれたジャンヌは、逃げ遅れた子供を人質に時間稼ぎを敢行したのだ。
「……卑劣な手段をとってくれる」
「貴方なら言いそうだけど、悪魔が言う事でもないわね」
サイラオーグの素直な言葉に、ジャンヌは平然としたものだ。
とはいえ、これでは迂闊に攻め込む事ができない。
ジャンヌの戦闘能力は高いのだ。実際、堕天使の力を活性化した朱乃、新たに
迂闊に踏み込めば、子供が殺される。
そう警戒した、その時だった。
「―いえ、これで終わりなのです」
その言葉と共に、音が鳴る。
「―跪くのです」
その言葉と共に、全ての決着がついた。
ジャンヌは、一瞬で跪き、子供を放す。
「……な、体が……!?」
訳が分からないといった表情を浮かべるジャンヌだが、その瞬間、彼女の肩に何かが突き刺さる。
そして、ジャンヌは意識を失って倒れ伏した。
見れば、それは針の付いた注射器のようなもの。そう、麻酔弾だ。
呆気なく終わった戦いに、誰もが思わず目を見張る。
「どうやら、いいタイミングだったようなのですよ」
そして、ニングが苦笑しながらリムを引き連れて歩み寄った。
「ニング! 来てくれたのね?」
「ハイなのです。避難民の誘導というか、慰問の為に来ていたらこの騒ぎなので、強引に駆けつけたのですよ」
「ふふーん。ま、いいタイミングだったのは間違いねえですなぁ」
そう言いながら猟銃を肩に乗せるリムは、子供に歩み寄ると頭をなでる。
「もう大丈夫ですぜ? ちょっとぐらい泣いて問題ねえでさぁ」
気を使った言葉だったが、しかし少年は平気な顔をしている。
「だいじょうぶ! ほんとうにピンチの時は、おっぱいドラゴンが助けてくれるって信じてたもん!」
その言葉に、誰もが苦笑する。
子供達はイッセーが大変な事になっている事を知らない。
サーゼクス達が情報を伏せているからだ。この状況下で子供達のヒーローであるイッセーが死んでいるなどという情報を公開できなかった。確実に恐慌ものである。
とはいえ、生存の可能性が出てきたのも事実。ギャスパーにも後で教えておかなければならない。
リアスがニングの視線を向けると、どうやらニングも知っていたらしい。苦笑している。
「おっぱいドラゴンじゃなくてすいやせん。ま、とりあえず安全なところに―」
そう、リムが告げたその瞬間だった。
「……何か来るぞ!!」
サイラオーグが真っ先に気づいたその時だった。
カツ、カツ、カツと足音が響く。
そして、八人ほどのバイアクヘーイーツと、五十人以上の通常イーツを引き連れ、ナイアルが姿を現した。
「おいおい。ウォーミングアップがてらにちょっと遊びに来て見りゃ、なんかすげえ事になってるな、オイ」
「ナイアル……っ!」
リアス達が心から敵意を向けながら、一斉にナイアルを睨む。
それを愉快そうに受け止めながら、ナイアルは首をコキコキと慣らした。
「ちょうどいい。ちょっとばかしアグレアスじゃムカつかせてくれたからな。……ここで捻っとくか」
そうにやりと笑い、ナイアルはリムがカバーの体制に入っている子供に目を向ける。
「悪いな坊主。巻き込みまくっちまうが、ま、運が悪いと思ってあきらめな」
性格の悪さが透けて見える行為だが、しかし子供はそんな事を意にも介さなかった。
「ふーんだ! おっぱいドラゴンが助けに来てくれるもん!! 問題ないね!!」
その言葉に、ナイアルは可哀想なものを見る目を向けた。
どうやら、ナイアルも英雄派と情報を共有していたらしい。
「残念だが、赤龍帝はよくて戦闘不能で悪くて死亡だ。うちのところのバカが猛毒を叩き込んだらしくてよ? ま、この状況下でグレモリー眷属で唯一いないって事は、最低でもベッドから出れないってところか?」
ナイアルは意外と理知的なようだ。死亡をほぼ確信しながらも、万が一の可能性を考慮している。
まあ、体そのものは滅びている可能性がある以上、当然といえば当然だ。
同時に、イッセーの性格で未だに動いていないのはおかしいとも思っているのだろう。それぐらいにはイッセーのプロファイリングも進んでいるらしい。
……ここで生存の可能性がある事を告げたら、驚くのではないだろうか。
ふとそんな意趣返しを考え付くリアスだが、それより先に子供は首を傾げた。
「え、違うよ? 怖くて眠ってた時、夢でおっぱいドラゴンが元気づけてくれたもん。悪い人はやっつけてくれるんだって」
そういうと、子供は両手の人差し指を突き出して、おっぱいドラゴンの歌を歌いだした。
その時、空が割けた。
その日にもたらされた情報は、ぜひ空前絶後であってほしいと様々な勢力が告げた。
なにせ、生態がほぼ解析されていないグレートレッドの情報なのに、はっきり言って面倒といっていい展開なのだから。
具体的に言うと、変人の類確定と認識されたのが、実に大きい。
久々登場ナイファーザー。彼らネームドバイアクヘーイーツは、原作第四章におけるムートロンの怪人ポジションを想定していました。
そしてナイアルも登場。彼には事実上のこの章ボスを務めていただきます。とはいえ、現段階では文字通り総力をもってしても1人で相手にできる猛者。さらにいろいろな要素が絡み合ったうえで戦いになりますけどね。