混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
派遣という名の帰還を果たした井草ですが、実はタイミングがある意味ドンピシャで―
そして、移動中の車内で井草はため息をつく。
例のごとくピスとは別行動だ。
井草はイッセーとの付き合いを利用して、悪魔側との協調体制をとる。
其の間にピスは堕天使側からアプローチを行い、可能ならばコカビエルを誘い出す。
どうもコカビエルは他のタカ派にも誘いをかけていたらしく、百人近い数の堕天使が行方をくらましていた。
中には上級堕天使も含まれている。それも、全員タカ派の戦争再開派だ。
さらにはぐれ悪魔祓いもかなりの数が行方不明。もとより牽制のために迎え入れただけで、その大半は殺しが大好きな外道なのでまともな幹部は嫌っていた。
と、いうわけでコカビエルなどの一部を除いて、問題なく殺していいと来たものだ。
「俺なんかに殺されるのは、彼らに悪いと思うんだけどなぁ」
はぁと、少しため息をついた。
井草によって殺されるというのは屈辱だろう。井草は心からそう思っている。
だが、これも仕事だ。其れも重要任務で、今後の堕天使の未来がかかっている。
それにアザゼルの望み通りの結果になれば、悪魔になったイッセーとも普通に付き合いが持てるだろう。
なんだかんだでいい少年で、井草もスケベすぎるところに困ることはあれど、心から嫌ってはいない。むしろ好感が持てる。
彼が道を踏み外さないようにすることが、道を踏み外した自分にできることだ。そう思っている。
「さて、頑張らないとね」
井草はそう決意すると、電話をつなぐ。
今回はリアスではなくソーナの方につなぐべきだと判断してそうする。
ソーナの方が計算高い判断ができる。こういう時の交渉なら彼女の方が優先順位は高いだろう。
それに、何でもリアスは緊急の用事があるらしいとのメールが来た。堕天使に知られたくないのか、商才は機密とまで言われている。
なので、選択肢は一つだった。
『何か御用ですか、井草・ダウンフォールさん』
「生徒会長。うちのトップのアザゼル総督から、緊急の書状がある。魔王様に取り次いでもらいたい」
速攻で話を本番に持っていく。
今この状態で嫌味を聞いている余裕はない。
自分ごときが相手に強引に話を持っていくのは失礼だとは思う。しかし、ことは一刻を争うのだ。
『なにがあったのですか?』
即座に状況が切迫していると理解してくれたのか、ソーナは話を促す。
そして、井草は現状神の子を見張るものが確信している内容を説明した。
なにせことは彼女たちの命にもかかわるのだ。防衛のためにも、ソーナたちも動いてくれるだろう。
しかし―
『……そんなことになれば、怒り狂ったお姉さまが戦争を起こしかねませんね』
「冗談だよね?」
本気でそう願いたい。しっかりしろ外交担当。
などと思ったが、しかしソーナの声色は割と心配の色だった。
『……そういうことなら、リアスを経由してサーゼクス様に伝えた方がいいでしょう。それに、そちらの方が話がまとまりやすいと思いますよ?』
「なんでかな?」
確かに、共闘の件があるからそちらの方が話はたやすいだろうとは思うのだが―
『そろそろ、教会からの使者とリアスが会談を行いますので』
―どうやら、状況は割と切迫しているようだった。
そして一時間ぐらいしたころ、まさに爆発寸前の状況になっていた。
まさにそのタイミングで部屋に入った井草は、どうしたもんかと本気で考えた。
「……何事?」
「よ、よりにもよってこんな時に―」
井草は冷や汗をたらりと流し、リアスが顔を引きつらせる。
そして、イッセーとにらみ合っていた女悪魔祓いは殺気を漏らした。
「馬脚を現したな、リアス・グレモリー! 堕天使が気安く部屋に入ってくるということは、悪魔と堕天使の内通は明白だ!!」
もはや語るまでもないと、青い髪に緑のメッシュを入れた少女が、聖剣らしき剣を振り上げ―
「ストップしやがれです」
―その後頭部に光の銃を突きつけ、リム・プルガトリオがため息をついた。
「おや、あの時の」
「久しぶりっすな」
と、井草の反応に片手をあげてリムがあいさつする。
「ちょ、ちょっとニングさん? なんで私に魔剣を突き付けるの?」
「釣られて暴走しそうだったのです」
と、こちらも栗毛の悪魔祓いに魔剣を突き付けながら、ニングがため息まじりにそういった。
そして、井草を見つけるとぺこりと頭を下げる。
「どうも井草さん。お久しぶりなのです」
「やあニングちゃん。……で、どういうことかなリアスちゃん?」
「……どうもこうもないわよ。私も貴方に話を聞きたいわ」
ジト目で井草をにらみつけるリアスだが、さらに続ける前に井草が動く。
手に持っていた一枚の書状を、リアスに見せ、即座に話す。
「堕天使総督アザゼルから、魔王サーゼクス・ルシファーに緊急連絡があってね。君を経由して取り次いでほしい」
「……やはり貴様ら、我らを倒すために内通をするつもり―」
「因みに枢機卿にも使者は送られてるからね!!」
先走りそうになった悪魔祓いの言葉をさえぎって、井草はそういった。
そしてとりあえず手っ取り早く、わかっている事情を説明する。
さらにリアスたちの説明も聞くと、どうやら大体こちらの想定通りのようだ。
聖剣エクスカリバーを奪ったのはコカビエル。そして逃げ込んだのはこの駒王町。そして彼女たちはその追撃のための悪魔祓い。
で、青髪のゼノヴィアと栗毛の紫藤イリナは、現地で活動していたことのあるニングとリムをサポートメンバーとしてこの駒王町に派遣された。
ニングとリムはアーシアの件を利用して共闘することも考えていたようだが、ゼノヴィアとイリナはそれに反対。
その上、ゼノヴィアはアーシアを介錯しようとして、イッセーと衝突。
それになぜか祐斗が便乗して、爆発寸前になったところで井草が入ってきたらしい。
「……ああもう。いろいろこじれてるなぁ」
心底ため息をついた。
で、とりあえず一つずつ解決しよう。
まずはゼノヴィアの暴走を押させるべきだ。
「ゼノヴィアちゃんだっけ? ……君は戦争を起こすつもりかい?」
「なんだと?」
「人様の縄張りで暴れるのを黙ってみてろと言ったうえ、挙句にその眷属を殺そうだなんて。そのまま殺されても文句は言えないだろうに」
信仰心が強いのも困りものだ。
人というものは、正義が自分にあると確信すると何でもできる生き物だ。
特に教会はコンキスタドールなどで虐殺を繰り広げた前科がある。そのあたりの反省をしてもらいたいものだが、教義的に滅ぼす対象である悪魔が相手ではこうもなるということか。
正しいのだから黙って従え。そういう盲目的な信仰心が見え隠れしている。
で、これについてはとりあえずおいておいてイッセーだ。
「イッセー君。この子たちはあくまで善意による介錯で動いたから、とりあえずスルーで」
「いや、俺は言いたいことは言ったからもういいけど……」
どうやら鬱憤をこのタイミングで晴らしただけらしい。
おおかた、リアスが止めに入ると判断しての行動だろう。なんだかんだでイッセーは意外と頭が回るタイプだ。自分が怒られて多少の罰をうければ収まると思ったらしい。
少々考えなしかもしれないが、良くも悪くも宗教関係で緩い日本人らしい発想だ。こればかりは文化の違いと考えるべきだろう。
そして、最後の問題は―
「祐斗くん。悪いんだけど、ちょっと押さえてくれるかな?」
「無理だね。倒したくて倒したくてたまらないエクスカリバーを切るチャンスってだけでも大変なのに、さらに仲間を殺すとまで言われたのなら我慢できない」
何があったのかわからないが、しかしとりあえず事情を聴くべきだろう。
「リアスちゃん。なんで祐斗くんはエクスカリバーに殺気立ってるのさ」
「僕は彼女達聖剣使いの失敗作だからだよ」
リアスがためらっている間に、祐斗自身がそう答える。
「捨て子だったぼくたちは、教会の連中にいいように騙されて実験体にされ、最後は失敗作だからと毒殺された。……すべてはエクスカリバーのせいでね!!」
そして魔剣の切っ先を、ゼノヴィアに向けた。
「その後生まれた成功作が、エクスカリバーをもって、仲間を殺すといった。……これで我慢が効くと思うかい?」
「あ、その元凶はコカビエルと一緒にいるよ?」
ものすごい話を進めるチャンスだった。
あわやコカビエルが介入するまでもなく三つ巴の戦いが勃発するところでした。
そこは年長者の井草。教会側もニングとリムがオブサーバーとして派遣されていたこともあり、かろうじて場を収め……られるといいね!!