混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
一方その頃、アザゼルとサーゼクスは冥府から帰還していた。
「ったく。あの骸骨爺は面倒極まりねえ」
「過去の遺恨は確かにあるとはいえ、それを若者達に向けられるのは遺憾という他ない。困ったものだ」
そうため息をつきあったアザゼルとサーゼクスは、しかし笑みを浮かべる。
確かに大変な事態だったが、しかし良いニュースもいくつか出てきている。
三大勢力内部の裏切り者のあぶり出しは、ほぼ成功した事が一つ。中堅どころの堕天使や天使が内通していたが、目立つところは全て捕縛もしくは追放に成功した。
まだ教会や末端の組織など、警戒するべきところはいる。新たに勧誘を受けて裏切る者が出る可能性もある。だが、今までよりかは情報が漏れにくくなる可能性は大きい。
悪魔側はビルデのクーデターで目立つところが一斉に離反している為、此方に関しては問題ない。最も、派閥争いなどがある為面倒なのは変わりないのだが。
「しかし、シャルバが見境なくて良かったぜ。大魔王派の連中にも向けられてたから、こっちは意外と負担が少なかったしな」
「そうだな。
超大型魔獣についても大方片が付いたのが一つ。
悪魔だけではまだかかったかもしれないが、各勢力から戦力が来てくれた事で、だいぶはかどった。
これも和平の成果の一つだと考えれば、間違いなく良いニュースだ。今後の和平活動も進むだろう。
そして―
「っていうか、グレートレッドに乗って参上とか、イッセーの奴、外連味効きすぎだろ。なんだ、出待ちしてたのか?」
「なにせ彼はおっぱいドラゴンだからね。そういう星の下に生まれついているのかもしれない。まさしく冥界の英雄に相応しい少年だよ」
更にイッセーの無事が確認されたのも一つ。
よもやグレートレッドと合体して超獣鬼をせん滅するとは想定外だった。流石に全てをそのまま公開するのは難しいが、ある程度はばらした方が後が混乱を起こさなくていいだろう。
グレートレッドにしても愉快な性分である事が判明したのも僥倖かもしれない。少なくとも、今後交渉する機会があった時には少しは役に立つだろう。細胞を採取される事を許容した当たり、話せば意外と分かってくれるかもしれない。
オーフィスもイッセーと行動を共にしており、無事が確認。これで一安心といえば一安心だろう。
そして、サーゼクスはアザゼルを労わる様に微笑んだ。
「そして井草君も一皮むけたようだ。先祖としては一安心かな?」
「うっせぇ。ま、安心したのはその通りだがな」
そして井草もまた、一皮むけた。
伊予が目覚めた事で禁手に目覚め、その上で一皮むけた事でナイアルに一泡吹かせたのだ。
色々とあれな過去を知られた時は少し不安だったが、どうやら無事なようで何よりだ。
アザゼルは息を吐くと、そのまま肩をコキコキと慣らす。
「ま、俺も総督を辞任するし、当分あいつの周りに集中するのも良いかもな」
「確かにその通りだ。彼には母親代わりはいても父親に相当する人物がいなかった。それをあなたが代行するのが、彼に対する贖罪にもなるだろう」
サーゼクスはそう返すが、アザゼルはそれに半目を向ける。
「馬鹿かお前は。そんなんじゃねえよ」
「む? なら?」
「親代わりをするのは贖罪の為じゃねえ。アイツが俺の息子同然だからだ」
その言葉に、サーゼクスは納得すると微笑んだ。
「正論だ。その方が井草君も喜ぶだろう」
その言葉を適当に聞き流しながら、アザゼルは思考を始める。
イッセーの体と井草の禁手。どちらも特殊な事例であり、興味もあれば必要性もある研究になるだろう。
無限と夢幻の肉体で構成された体を持ったイッセーは、もはや異次元のデータと言っても過言ではないほどの価値を持っている。
ただでさえ研究中で調べるべきところが豊富なイーツ関係。それに特化した進化を遂げた、井草の禁手。まさかイーツの能力を進化させる事に特化した禁手になるなど、神器については世界で一番詳しいといえるかもしれないアザゼルでも想定の埒外だ。イッセーの体に匹敵するレベルで興味がわく。
聖書の神は、一体どれだけのポテンシャルを神器に込めたというのだろうか。亜種禁手の独自性に関して言えば、間違いなく慮外面の禁手といえるだろう。
イッセーの神滅具も、二体の龍神の影響でどんな進化を遂げるか分かったものではない。そういう意味では、研究者としての興味も尽きない。
そして、それ以上に井草のことだ。
……真実を知られ、これから少しぎこちなくなるかもしれない。
なにせ、両親の死の遠因はアザゼルが何の対応もしてなかったからといってもいい。
勿論知らなかったのだから、どうしようもない。とはいえ、それで片付けていいことでもないだろう。
だが、贖罪として親のように接するのも間違っている。
アザゼルが井草に親代わりになるとして、それは贖罪だからではない。断じてない。だから、基本的にはピスに任せていた。
するならば、それはアザゼルが井草のことを気に入っているからだ。そして、養子にするにしても井草の許可を得るべきだろう。
「……もし親代わりになったら、俺はルシファーの親代わりにもなるのか。そのうえで義理の娘が三人も追加され……ピスまでなるかもしれねえ」
「色々大変だね。まあ、それが親の苦労というものだよ」
訳知り顔で行ってくるサーゼクスを殴りたくなったアザゼルだが、しかしここは悪魔領なのでぐっと堪える。
とはいえ、これで何とかこの戦いも終了し―
「サーゼクス様! 大変です!!」
突如、泡を食った顔で悪魔の一人が駆けつける。
「どうした? 一体何があった?」
サーゼクスがそう促すと、その悪魔は顔を真っ青にしながら声を上げる。
「はっ! 現在、ムートロンの艦隊によって冥府が攻撃を受けております!! 既に神殿内部に深く入り込まれており、オリュンポスは各勢力に救援を要請しました!!」
……どうやら、ムートロンもただで転ぶ気は欠片もなかったようだ。
「ざまあと言ってやりてえが、流石にサマエルを奪われるのはまずい!!」
「動ける部隊を全員招集して送り込むんだ。急げ!!」
どうやら、まだまだ忙しい時間帯になるらしい。
『が……ぁ』
倒れ伏すハーデスを見下ろし、ホテップは肩で息をしながら一安心する。
ナイアルが井草・ダウンフォールに一矢報いられた時は戦力計算が一気に狂うかと思ったが、すぐに復帰してくれた。
大魔王派の協力でフェニックスの涙の増産ができたのが大きい。技術供与の見返りに、一定の割合をもらえるようにして正解だった。
おかげで難敵であるタナトスとオルクスを抑え込む事ができた。彼らがハーデスの護衛として付けば、流石に状況が分からなくなっていただろう。
とはいえ、今の段階では生産速度にも限界がある。そろそろ新しいアプローチを用意したいところであった。
「ホテップ様」
そこに、カルネテルがバイアクヘーイーツの姿で歩み寄る。
彼女には、今後の活動において重要になるカウンターとして、どうしても確保しておきたかったものを確保する為に部隊を率いてもらっていた。
そして、ここに戻ってきたという事は―
「サマエルの毒の抽出、現在10リットルまで完了しました」
「分かった。まずはそれを運び出せ。……いや、どうやらここまでだな」
何かに気づき、ホテップは外に目を向ける。
そこでは、先ほどまでの死神の攻撃を遥かに凌ぐ種類の攻撃が放たれ、戦闘が激化していた。
そして、外で大暴れしているはずのナイアルからの緊急通信が送られる。
『おいホテップ! サーゼクス・ルシファーが来やがったぞ! しかもなんか、いきなりマジモードになって無双してるんだけどよ!?』
「撤退の為の支援砲撃の準備まで殿を頼む。大丈夫だ、お前ならできる」
『無茶ぶり!? 俺ボロボロなんだぞ!? せめて他の7,0以上の連中を呼んできてくれ―』
通信を速攻で切ると、ホテップは肩をすくめてハーデスを見下ろす。
「運が良かったな。此処で貴様を殺す余裕はなさそうだ」
『……貴様………っ』
屈辱極まりない状況にハーデスは睨みを利かせるが、しかしホテップは意にも介さない。
「今後貴様らの接触はできないよう、徹底的に監視させてもらう。あと英雄派が壊滅したので、彼らとの交渉の記録も流しておこう。……今後の活動には大きな制約がつくと考えるといい」
そう言い放つと、ホテップはそのままカルネテルを連れて去っていき―
『……クカカ。気づいてないようだな』
-ハーデスは、ほくそ笑んだ。
屈辱を味わったのは認めよう。大きな被害を受けた事も認めよう。
プルートを失っただけでも痛手なのに、それ以外でも大きな被害を受けたのだ。これは本当に大打撃である。
だが、ハーデスとて長き時を生きた最高位の神の一柱。
万が一に備えた保険は、しっかりとしていたのだ。
英雄派や旧魔王派は御しやすいが、それに乗じて動けば大魔王派やムートロンが何かする可能性は考慮していた。
あの二勢力は警戒に値する。何かしらの意趣返しだけは考慮していた。
『……儂だ。データは取れたか?』
「はっ! 敵戦艦に侵入した者達が、データを持ち帰りました。……恐ろしいデータまでありましたが、これがあれば、我々もロキ神のようにイーツを開発できるはずです!」
『そうか、被害は?』
「船の爆発に巻き込まれて、三割が殉職しました」
『そうか。そ奴らの犠牲に見合った勝利を得ねばならぬじゃろうな』
ハーデスもまた、暗躍の一つや二つはできる。
ムートロンの唯一にして最大の失敗は、艦隊を派遣するだけの大規模襲撃を仕掛けた事だ。
これだけの規模の襲撃ともなれば、他の勢力も大慌てで援軍を派遣したがる。サマエルの効果を考慮すれば、グレートレッドや味方側のドラゴンの安全を考慮する為にも、助けに行かねばならないのだ。
故に、今回の戦闘ではそれに賭けた。
潜入工作に長けた者を総動員して、陽動作戦まで敢行して敵の船に侵入。データの奪取を行った。
その船は潜入部隊が逃げ遅れる事を覚悟のうえで集中攻撃を行い、徹底的に破壊している。これならゼウス達にも勘付かれにくいだろう。
そして、サマエルそのものの奪取だけは阻止する為に徹底的に術式による防御を行った。
毒そのものは多少奪われても問題ない。うっとおしい
そして大きな被害は受けたが、致命傷には程遠い。そういう戦い方をした。
ホテップとナイアルの戦闘能力を警戒して、ホテップは自分が受け持ち、最上級死神の中でも有数の実力者であるタナトスとオルクスをナイアルの妨害に徹させた。
読みが甘く死にかけたが、しかし生き残ったのなら逆転の芽はある。
『舐めるなよ、出戻り風情が。……貴様らが忌々しい三大勢力と潰し合ってくれるのなら、それに越した事はない』
ロキは迂闊に動きすぎた。
気持ちは分かる。そして、切り札があった事も認める。
だが、あまりにも性急すぎたのだ。
自分は違う。準備は念入りに行い、相応のタイミングを見計らって動かせてもらう。
臥薪嘗胆。今まで屈辱を味わってきたのだ。勝機が見えたのなら、それを最大限に生かせるチャンスまで耐え忍ぶのみ。
今後に備えた動きに徹する事にしよう。具体的には、他の神々に協力体制を取り付けるのだ。
同盟に対して不満を抱く神々は少なからず存在する。彼らと連携を取れば、相応の規模の勢力になるだろう。
そのうえで、今回手に入ったイーツの技術をものにする事ができれば、同盟や禍の団に拮抗する大勢力にする事も可能なはずだ。
その時までは雌伏の時だ。当面は居心地の悪い思いも我慢するべきだろう。それぐらいの覚悟は必要経費だ。
『精々潰し合っているがいい。最後に笑うのが儂らだとは断言できんが、貴様らの思い通りに動くほど、神は甘い存在ではないと知るがいい』
切り札とも言える技術を手にした事で、ハーデスは余裕すら取り戻していた。
そしてその頃、須弥山から一つの通達が同盟の各勢力に送られる。
英雄派の神滅具保有者を捕縛する事に成功したとの事だ。
ストレスの溜まっているハーデスのご機嫌取りの為に、冥府に叩き込む事を宣言。聖槍に関しては一時的にだが保有する事も告げていた。
イッセー達から手柄をかすめ取った形ではあるが、しかし実際に捕縛してしまった以上、文句が言いだしづらい状況だ。
混迷する世界情勢を暗示させるかのように、数多くの勢力がそれぞれの判断で動き出している。
何が起こるのか、それを全て予期できる者は誰一人としていない。
断言できるのは、これからの戦いは世界でも類を見ない大規模な争いになるという、ただ一点だけだった。
「……そんでビルデくん? おじさんまで投入して何とか一体捕まえたけど、
「むろん研究に使うとも。これだけの強大な禁手による創造物は類を見ない。データを徹底的に採取するだけでも、アザゼル総督の人工神器研究に並ぶ成果を上げれそうだとは思わないかね?」
「なるほどねー。ま、暴走してもおじさんが出張ればすぐに終わるし、そこは安心してちょ♪」
「期待しているとも、スリエール。だが、吸血鬼の方はいいのか?」
「そっちはひと段落澄んだところだよ。とりあえず、復活させる奴らのデータとかを探さないとって感じかねぇ」
「なるほど。労力や負担もあるし、有象無象を復活させても意味はないか」
「そゆこと! 魂とかが特にしぶとい、ドラゴン系統からやってみるべきだって結論だねぇ」
「問題は、果たして言う事を聞いてくれるのか……と言ったところだが、その辺りは?」
「ま、復活させてくれた恩とか、その復活に制約を付けるとかで何とかなるっしょ。無理だとしてもサーゼクス君達と組むような手合いは選ぶ気ないしねぇ」
「なら、まあいいか。……とはいえ、アジュカ・ベルゼブブの協力が得られない以上、そろそろあなたにも表舞台に出てきてもらう事になりそうだ」
「OKOK。今まで楽させてもらったからね。こっからは俺ちゃんも出張るとするぜ」
「期待しているぞ、我が
「ご期待に応えるぜ、我が
別名:暗躍する連中共の回。
しっかり「神々をボコれる」ことを示したうえでハーデスに一泡吹かせたムートロンも、そのムートロン相手に出し抜いてさらにその先の一手を打ったハーデスも、ちゃっかり原作通り英雄派取り込みの一手を打てた帝釈天も、我が作品恒例の獣鬼確保をやらかしたビルデも、満を持して正体を明かしたスリエールことリゼヴィムも、とにかく暗躍してます。
これ、もはや「悪党どもの本気」とか名付けてもいいぐらい暗躍ですね。前半のアザゼルとサーゼクスのやり取りが清涼剤です。