混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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3話

 

 

 

 

 その後、一時間かかって何とか話をまとめる事が出来た。

 

「……話をまとめるわよ?」

 

 一応この場で一番偉い立場のリアスが、全員の顔を見渡してからまとめる。

 

「つまり、今この駒王町には聖剣計画で子供達を殺したバルパーがコカビエルと一緒に潜んでいて、それを追いかけてその後の研究で生まれた成功作が来て、失敗作として殺されかけた祐斗達といる……出来すぎね」

 

「世の中、意外とそんなものだよ」

 

 とは言え合縁奇縁にもほどがある。

 

 祐斗が聖剣計画の失敗作だという事にも驚きだが、その成功作が今回の揉め事に関わっているのも驚きだ。

 

 しかも、元凶のコカビエルは虐殺を行ったバルパーと組んでいる可能性が非常に高い。

 

 エクスカリバーの名に泥を塗った聖剣計画の汚点が、今この街で清算されようとしている。

 

「……リアスちゃん。そしてリムちゃんとニングちゃん。提案がある」

 

「何なのです?」

 

「一応聞くわ」

 

 ニングもリアスも、大体言いたい事は予想できているようだ。

 

 もとより彼女達は、アーシアを助ける為に井草達堕天使側が尽力した事を知っている。

 

 その最前線で動いた彼が何を言いたいかが、すぐに分かった。

 

「共同戦線だ。僕達堕天使は暴走したコカビエルを処罰したい。リアスちゃん達悪魔側は縄張りを守るのは当然。そして教会としてもエクスカリバーの悪用は断固阻止。……エクスカリバーを悪用して駒王町で暴れようとしているコカビエルを倒すという、利害が一致してる」

 

 そう。この状況は渡りに船だ。

 

 コカビエルはおそらく、教会の至宝を堕天使の幹部が使って魔王の妹を殺すという真似を行うつもりだ。

 それで各勢力のタカ派を動かし、三大勢力の戦争を再開させる。それがコカビエルの狙いだと、上層部は推測している。

 

 だから、その状況を逆手に取る。

 

 アザゼルはこれを解決する事で、悪魔と天界に会談の機会を作り、そこで和平を提案するつもりだ。

 

「……どの勢力にとっても今のコカビエルは敵だ。なら、ここでいがみ合うよりまず共通の敵を潰すべきだ」

 

 幸か不幸か、教会からのコカビエル討伐部隊と悪魔の管轄者がここにいる。

 

 井草自身が言った通り、利害は一致している。

 

「私は賛成なのです」

 

「こちらも同意見でやがります」

 

「私も構わないわ。二つだけ条件があるけど」

 

 と、ニングもリムもリアスも賛成してくれた。

 

 祐斗やゼノヴィアはかなり難色を示しているが、ここで反対すれば集中砲火を受ける事は間違いない。

 

 だから、ここは何とかなるだろう。

 

「条件って何だい?」

 

 井草はとりあえず話を進めようとする。

 

 さっさとその条件を聞いて、変に拗れないうちに共同戦線を張っておきたい。

 

「……バルパー・ガリレイを捕縛出来たら、その始末は祐斗に任せてほしいわ。それ位はさせてあげたいの」

 

「ぶ、部長!?」

 

 祐斗が逆に驚くほど、その提案は意外だった。

 

 だが、リアスは微笑すら浮かべて、そんな祐斗を抱き寄せる。

 

「あの時のあなたの悔しそうな顔はよく覚えているわ。だから、それを晴らす機会を与えるのは主として当然よ」

 

「……人心掌握にも聞こえるが、まあ、それ位ならこちらはかまわない」

 

 疑心暗鬼状態のゼノヴィアだが、しかし祐斗の来歴に思うところはあるらしい。そこは反対しなかった。

 

 井草としてもその程度なら問題ないだろう。最悪、自分が責任を取って処罰されればいいだけだ。

 

「罪もない子供達を巻き込んだ、教会の恥さらしだもの。それ位の仇討ちなら、主もお目こぼしくださるはずだわ」

 

「いや、聖書の神って処罰は自分が下すから報復は禁止とか言ってなかったっけ?」

 

 涙を流して祈り迄始めるイリナに、井草はつい突っ込みを入れたくなる。

 

 だがしかし、深入りすると嫌な予感がする。

 

 というより聖書すら取り出したので、強引に話を元に戻した方がよさそうだ。

 

「もう一つは?」

 

 その言葉に、リアスは少し罰が悪い表情を浮かべる。

 

「お兄さまにはつい最近迷惑をかけたばかりで心配させたくないの。出来れば自体が解決するまで、連絡は避けたいわ」

 

 事情は分からないが、何かあったらしい。

 

 顔が赤いところを見ると、かなり個人的な事情があるようだ。

 

 出来る事なら配慮しておきたいが―

 

「―出来ない事を無理にしようとして後で知らされるより、すぐにでも話して助けを求めた方がいいと思うよ? 先達からの忠告だよ」

 

「……分かったわよ。後で連絡は入れておくわ」

 

 井草の意見が素直に受け入れられるとは、井草自身思っていなかった。

 

 しかしリアスは意外と素直に忠告を受け入れてくれた。これは意外だ。

 

 とは言え、これは井草としても真面目な話だ。

 

 魔王と真正面から渡り合う事も出来るだろうコカビエルが出て来ているのだ、後で知るよりすぐに助けを求められた方が、サーゼクス・ルシファーとしても精神衛生上都合がいいだろう。

 

 なにせ彼はルシファーと言ってもグレモリー家の出身。リアスの実の兄だ。しかもシスコンだという話は堕天使側でも耳にしている。

 

 急に知って判断を誤られてもこちらが困る。戦争再開の危機でもあるのだから、ここは慎重に行ってほしかった。

 

「……ありがとうなのです、井草さん」

 

 話がまとまった時、ニングが井草にそう頭を下げる。

 

 井草としては自分達堕天使の都合もあったので、正直ちょっと戸惑った。

 

「私達は最初から共闘をするつもりだったのですが、ゼノヴィアさんとイリナさんは自分達だけで死んでも遂行するつもりだったのです」

 

「ああ~。殉教上等って感じだったもんね~」

 

 呆れ顔のニングに、井草は苦笑を浮かべて同情する。

 

 悪魔祓いというのは中々厄介だ。

 

 行けば天国逃げれば地獄の精神で言っているところがある。だから一定以上の信仰心の持ち主は、玉砕特攻をしかねない。しかも正義を定義する宗教の都合上、頭が固かったり排他的なものも数多い。

 

 むしろ、ニングやリムが柔軟な対応をしている事の方が驚きだ。

 

「私達はアーシアさんをリアスさんに預けた所為で、作戦指揮権が与えられなかったので推しきれなかったのです」

 

「その節はうちのレイナーレがご迷惑を!!」

 

 元々自分達堕天使側の暴走が原因なので、その辺については謝る他ない。

 

 しかし、それを見たニングはクスリと笑った。

 

 何か変なことを言っただろうか。嘲笑の可能性もあるが、これだけ綺麗な笑顔でそんな感情が浮かぶとは思えない。

 

「どうかしたのかな?」

 

「い、いえ。堕天使なのに井草さんは良い人だったので、驚いたのです」

 

 なるほど。確かに堕天使に良いイメージをわく者は少ないだろう。

 

 こと彼女は教会の出身だ。悪いイメージしかないのが普通だろう。

 

 だが、実際は違う。

 

「割といい人が多いよ。俺なんかに気を使ってくれる人だらけなんだ」

 

 事実だ。

 

 欲望に負けて堕天した存在ではあるが、しかし彼らは人間臭い。

 

 問題児は数多い。性的に開放的な者も多い。ことアザゼルはカリスマ性はあるし統治者としても中々有望だが、反面資金横領の常習犯だ。

 

 だが、同時に善良な人が多すぎる。

 

「俺なんかが所属してるのが悪いぐらい、とっても良い人達だよ」

 

 心からの自慢と共に、井草はそう断言する。

 

「堕天使が善良? 正直よく分からないな」

 

「あ、それは同感。井草さんはともかく、レイナーレの奴が糞過ぎる」

 

 ゼノヴィアとイッセーが、妙なところで共感した。

 

 まあ、長年殺し合いをしているゼノヴィアは当然だ。イッセーも、堕天使だと知っていて触れた初めてのケースがレイナーレなのは最悪クラスのパターンだろう。

 

 そういうことはよくあるものだ。第一印象はとても重要である。

 

 だが―

 

「教会だってコンキスタドールとか応援してたじゃないか。悪魔だって、リアスちゃんは善良筆頭クラスだけど下衆なのはかなり下衆だよ」

 

 だからどっこいどっこいだと、暗にそう言ってみる。

 

「ほら、堕天使だって俺みたいな屑がいるんだから、その辺はきちんと考えような?」

 

 そう。自分のようなものもいるのだ。

 

 教会にも、悪魔にも、堕天使にも。駄目なものや下衆なものは一定数いる。

 

 この場にいる唯一の堕天使()である自分も、その手の類だ。

 

 そう言い切った井草の唇に、人差し指が押し付けられた。

 

「―ダメなのです」

 

 その持ち主であるニングが、困り顔でそう告げた。

 

「自分のことを卑下したらダメなのです。今この共闘ができたのは、井草さんのおかげなのですから」

 

 そう、ニングは井草をたしなめた。

 

 井草にしてみればいつものことだ。

 

 ピスにしろアザゼルにしろイッセーにしろだ。もう少し自分を評価しろと言ってくる事など、もう飽きている。

 

 そんな風に自分を評価してくれる人が多いのは嬉しいが、反面それが申し訳ない。

 

 そんな価値のない自分なんかの為に、素晴らしい人達がそんな事を言ってしまう。とてもとてもしてはいけない事な気がする。

 

 だが、暗部出身でよく分かってないところが多いニングの言葉は―

 

「―まあ、その辺は誇ってもいいのかな」

 

 ―なんとなくだが、受け入れられた。

 

 よく分かってない人物なのが大きいのだろう。

 

 なにせ、相手は敵対勢力のしかも暗部だ。さっきは偏見について語っていたが、しかし自分がないとは言い切れない。

 

 少なくとも、敵対勢力の後ろ暗い組織に嫌なイメージぐらい沸いている。そういう勢力の出身だというのが、いい感じに受け入れる為のブレーキをかけてくれた。

 

 だから、よく分からないニングが必ずしも良い人物だとは言い切れない。

 

 だからこそ、ピスやアザゼルやイッセー達の言葉よりも、素直に受け止められた。

 

 そしてお互いににこりと笑い―

 

「「……っ」」

 

 なんか、もの凄く可愛かったので、少し顔が赤くなった。

 

 見れば、ニングの方も顔を赤くしている。

 

 その瞬間、これはまずいという危機察知がされた。

 

「おんやぁ? ニングったら堕天使にほだされるなんていけないでやがりま……いや、スパイにできるからいいでげすな」

 

「ひゃ!? り、リムさん!? 私はそんなつもりじゃないのですよ!?」

 

「そうよね!? 堕天使にもいい人はいるかもだけど、今は滅さなきゃいけない相手だもの!!」

 

 いや、今滅さないでほしい。とりあえずコカビエルをどうにかするまで待ってほしい。

 

 というよりリムは後で怒りたい。余計な事を言って混乱させないでほしい。

 

「何て失礼な! 俺なんかに惚れるなんてそんな失礼なことを身内に言ったら駄目だ!!」

 

「……赤龍帝。君は彼と親しいようだが、彼はいつもああなのか?」

 

「最近痛感してる。っていうか井草さん! 彼女がいまだにできない俺の前で、何でそういうフラグ立てるんですか!! ニコポなんて反則ですよ!?」

 

 ゼノヴィアとイッセーもうるさい。心底井草はそう思った。

 

 大体、ニコポナデポなんてイケメンにだけ許された絶技だ。自分如きがそんな奥義を会得できるわけないだろうがと、心の底からそう思う。

 

 さてそれはともかく。

 

「ついでに共闘の報酬として、これをアザゼル総督から渡すように言われてるよ」

 

 話を先に進めよう。

 

 井草はカバンから一つのUSBメモリを取り出すと、それをリアスに渡す。

 

「……井草さん、何ですかコレ」

 

「神器関係の技術の一つだよ。既に枢機卿に派遣された使いにも渡されてるから、教会にも送られるはずさ」

 

 ある程度の情報を前もって開示する事で、こちらが問題の解決を望んでいるという事を見せつける必要があった。

 

 アドバンテージを縮められるという危険性はあるが、和平がなされるならそんなものは無用だ。どうせ共同研究が行われるようになるのだから。その方が、研究速度も飛躍的に向上すると判断された。

 

「堕天使の技術を利用しろと? 我々を舐めているのか?」

 

 ゼノヴィアは苦い顔をするが、井草はそれをまっすぐ見返す。

 

「教会にも、神器を制御できずに苦しんでいる子供がいると聞くよ。なにより彼らを救う事を考えるべきだと思うけどね」

 

「邪な技術に手を出して地獄に落ちるよりは、神の元にいち早く迎えられる方がいいと思うけどね」

 

「度し難い考えだね。俺如きには分かりそうにないよ」

 

 これは和平は意外と大変そうだ。

 

 まず間違いなく、三大勢力から離反者が出てくるだろう。そういう意味では戦争に積極的な派閥を既に追放している悪魔側が羨ましい。

 

 まあ、タカ派筆頭のコカビエルを叩き潰す事が出来ればこちらも同じだ。

 

 ただし、教会は厄介だろう。

 

 今まで正義として行ってきた事の正反対をしろと言われても、すぐに動けるわけがない。信徒達からすれば信仰を裏切れたに等しいだろう。

 

 また、この立場ゆえに知りえた情報もある。それをコカビエルがばらすような真似をすれば、状況次第では世界恐慌だ。

 

 その重要性を覚悟して、井草は決意を新たにした。

 




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