混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
そういう意味では精神的にすり減る状況で、井草たちは―
それから数日、何事もない日々が続いた。
駒王町の外側からピスたちがローラー作戦を行っている。コカビエルに協力をした堕天使や悪魔祓いたちはそれで現在四割ほど撃破している。
そして教会の者たちはそれぞれ別行動をしながら、コカビエルを追っている。いかに共同戦線とは言え、完全な協調は心情的に無理なものが二人ほどいたからだ。具体的にはゼノヴィアとイリナだ。ニングとリムには同情する。
悪魔側も、リアスの眷属とソーナの眷属が複合チームで捜索している。祐斗が抑えきれなかったための妥協策だ。
「……まあ、いろいろあったけど義姉さんが合流するのを待っている間は暇だね。事務仕事は終わったし」
と、井草はお茶をしながら待機していた。
ピスから「リアスやソーナの警護」を命じられたので仕方がない。自分ごときが動くまでもなく高位戦力なのだが、コカビエルはそれより上だから仕方がない。
コカビエルの目的は、高確率でエクスカリバーを利用したリアスとソーナの殺害。それによる激情を利用した戦争再開だろう。
なので、護衛をつけるのは当然という判断だった。
「まあ妥当でしょう。コカビエルほどのものが本腰を入れるのなら、私達をまず真っ先に狙うでしょうから」
と、ソーナは冷静に状況を俯瞰していた。
ピス達にも指示を出しているらしく、ピスもその指示が有効に作用していることを感心していた。
この年でこれほどまでに軍師としての才能があるのは恐ろしい。火力だけなら現役の上位プレイヤーにも匹敵するリアスもそうだが、現四大魔王は家族に恵まれているようだ。
「かなり派手な前哨戦にしたいのでしょう。ですから、高確率でそれが整うまでは小競り合いに済ませるはずです。今回誘いに乗った者たちはほぼ囮でしょう」
「相変わらず、そういう読みでは勝てる気がしないわ」
ソーナの推測にリアスは苦笑した。
まあ、井草からしてみればリアスは前線で動くタイプだから素直に比べるのもあれだ。ソーナは後方で指揮する方が向いているのだから。得意分野の違いだろう。
しかし、それは裏を返せば準備が整えば大きく動くということだろう。
「……それまでに、バラキエル様か
「堕天使も大変ね」
リアスに慰められるとは思わなかった。
彼女は自分のことを警戒していたし、それも当然の立場だ。ここぞとばかりに皮肉の一つぐらいするかと思っていた。
「どうしたのさ。俺なんかを馬鹿にするのも飽きたのかい?」
「貴方、自分を卑下しすぎよ」
あきれ果てたリアスのため息は、然しどことなく色のある息へと変わる。
「……イッセーが信頼している人物だもの。なら、心配する必要はないと思いなおしたの」
と、顔を赤らめていった。
……何があった?
一瞬病気かとも思ったが、ソーナが静かに首を振る。
「草津の湯でも治せないあれです。どうも、兵藤君に好意を抱いたようなのです」
「ああ。イッセーはいい男だからね。……変態だけど」
そこはフォローしきれなかった。
あれに関しては本当にフォローしきれない。どうしようもない。
「まあ、あんなだからこそ僕もほっとけないんだけど」
「若気の至りで覗きでもしましたか?」
ソーナにそんなことを言われてしまった。
実際、普通にそう考えるだろう。
だが―
「いや、もっとひどいよ」
―実際は、そんなものではない。
少なくとも自分はそう思っている。
そう、だからこそ、自分はイッセーと仲良くなれたのだ。
兵藤一誠という男は、ドスケベであるため敬遠されやすい。しかし、その奥底に彼のいいところが隠されている。深く付き合うほど味がある人物なのだ。
なので、彼らの面倒を見ることにしなければ仲良くなることはなかっただろう。
そして、そんなことをしたのは―
「彼らを俺なんかと同じような奴にしちゃいけないからね。だから、俺としてもほっとけなかったのさ」
「……何をしたのか気になりますが、あえて聞かなかったことにします」
ソーナとしては深入りしない方向らしい。
正直、自分で語れるほど度胸はない。だから、仕方がないとも思っている。
それを語る時は、この関係が終わる時だ。少なくとも、和平を結ぶことで自分がお役御免になるまでは言うのはまずい。
「そういえば、リアスちゃんはどうしてイッセー君に惚れたのさ?」
と、それとなく話を変えてみる。
イッセーは確かに好漢であるが、しかし深く付き合わないと味がわからない人物だ。
確かにアーシアがらみの非常時でその本質が明かされたが、それでも即座に惚れるとも思えなかったのだが―
「ちょっと、身内で問題が発生してね。その時イッセーが尽力してくれたり、欲しかった言葉を言ってくれたから……その……」
何ともかわいらしい恥じらい方である。
自分なんかが口説いたら失礼だからしないし、イッセーにも悪い。だが、もし昔の自分だったら告白してたかもしれないぐらい魅力的だった。
「兵藤くんはかなり男気を見せましたからね。あれを自分に向けられたら……私も少しは揺るぐかもしれません」
などと、ものすごく冷静な口調でソーナまでそういった。
いったい何をしたのだろうか。それが非常に気になる。
なので話を聞こうとして―
「―リアス!」
慌てた表情で、朱乃が飛び込んできた。
「どうしたの、朱乃?」
リアスがすぐに顔を元に戻して、主としての顔で立ち上がる。
それを見て、朱乃も冷静さを取り戻しながら―
「イッセーくんたちが、フリード・セルゼン及びバルパー・ガリレイと交戦したしたわ。祐斗くんがさらに独断先行をしたようですの」
―思った以上に大ごとだった。
イッセー達が無事だったのは良いが、状況はいろいろと警戒必須だ。
井草はリアスが戻ったこともあり、シトリー眷属と共に行動を開始する。
状況は、イッセー達がフリード・セルゼンと激突したことに端を発する。
彼は奪われた四本のエクスカリバーの一つ、
イッセー達は好戦し、いいところまで追い詰めたのだが、しかしそれでも警戒は必須。
フリードはイーツにならなかったこともあるので、攻めきれなかったこともある。
そこにバルパーが介入。匙によってなされた捕縛をそのアドバイスを生かしたフリードが切り裂き、そしてゼノヴィアたちが合流したことで状況ふりとみなして離脱。その後、激情にかられた祐斗が、ゼノヴィア達と共に追撃を強行し、イッセー達は見失ってしまった。
これは痛恨のミスかもしれない。下手をすれば、祐斗たちはコカビエルの元までたどり着いている可能性もある。
それは、非常に危険だ。
戦っているところを見ていないニングたちはともかく、祐斗の戦闘能力でコカビエルに勝てるとは思えない。まず間違いなく、コカビエルは余裕で圧倒することができるだろう。
それができてこその神の子を見張るものの幹部。それができてこその最上級堕天使。それができてこそ、聖書に名を記させるほどの存在なのだから。
「……ねえ、ソーナちゃん?」
その捜索を行いながら、井草はソーナに聞きたいことができた。
「なんですか?」
「うちの総督、これを逆手にとって三大勢力で和平が結べないかとか思ってるわけなんだよ」
「……そういうことをここで言いますか」
ソーナの眷属が目を見張る。
ソーナ自身も気になっているが、しかしすぐに令婿さを取り戻してくれた。
「まあ、今の三すくみは他の勢力に仕掛けられかねませんからね。本格的に終戦するというのなら好都合ですが……難しいのでは?」
ソーナはそう言い切る。
なにせ、千年以上続いている戦争だ。その分の遺恨も残っているだろう。
積極的に戦争を再開させたい勢力は全体の半分以下だろうが、しかし積極的に終戦させたい存在も全体の半分を超えるだろうかと、ソーナは踏んでいた。
「なにより、教会勢力は悪魔や堕天使を絶対的に敵視しています。彼らがそれを了承するとは思えませんが」
「いや、そっちは何とかなるらしい。なんでも三大勢力の首脳陣は、全員聖書の教えに対する約ネタを知ってて、それをチラつかせれば天界と教会は黙るしかないとか言ってた」
詳しいことは聞かされてない。とは伝えておいた。
どうも、自分達上級クラスですら迂闊に知ってはいけないことらしい。ソーナたちが知らないのもそれが理由だろう。教会でも枢機卿しか知らないかもしれない。
とにかく。総督であるアザゼルはその余地があると踏んでいる。
しかし、今まではきっかけがなかった。
コカビエルの行動を、そのきっかけにするつもりなのだ。
「そういうわけだから、和平した方がいいと思うなら、死んだら駄目だよ? いざという時は通信をつなげるから、自分達だけでも逃げること」
「それはそれで屈辱的ですが……。まあ、今の時代で戦争が本格的に再開すれば、被害は三大勢力ではすみませんからね。仕方ないでしょう」
ソーナは了承してくれた。
なら、あとはリアスだけだが―
「……会長!」
そこに、ソーナの
「どうしました?」
「……コカビエルが、リアス様と接触しました」
……どうやら、状況は最悪らしい。
とにかく自分を下に見る井草。彼がこうなったのには深い事情があります。
そして本格的にコカビエルも行動開始。
コカビエル。真に突入した段階でもオカルト研究部メンバーですら一対一だと苦戦するものが多そうなレベルの実力なんですよねぇ。腐っても神の子を見張るものの幹部ですし。
それが一蹴されるんだから、このときからヴァーリの戦闘能力ってシャレにならないですよね。