混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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ついに明かされる……でもD×D二次創作ならここまでは欲明かされる衝撃の秘密!!


8話

 

 その言葉に凍り付かなかったのは、たったの四人だった。

 

 一人は兵藤一誠。彼に関しては信仰に無頓着なところがある日本人ゆえの無知によるものだ。

 

 一人はニング・プルガトリオ。彼女は悲痛な表情を、顔を真っ青にさせているアーシアとゼノヴィアに向けている。

 

 一人はリム・プルガトリオ。かの嬢は明らかにあちゃーという表情で額に手を当てて、そしてすぐに警戒しんをだしてコカビエルに視線を向ける。

 

 そして、最後の一人であるコカビエルは、ため息をつくがすぐににやりと唇をゆがめる。

 

「……まあいい。どうせ戦争するなら、隠す必要もないな。教会の連中を混乱には落とせそうだ」

 

 そういうと、バルパーに視線を向けた。

 

「正解だバルパー。証拠を見ただけですぐにそれを理解するのは、お前が優秀な証拠だよ」

 

「そ、そうか! だから神器の持ち主の中には、そこのプルガトリオ機関のように教会に近づけないものがいる―」

 

 それ以上のバルパーの言葉は、井草の拳で遮られた。

 

 ただでさえ衝撃的な言葉で混乱に陥っているのだ。これ以上ややこしいことをされては、状況がさらにややこしくなる。黙らせるのが優先だった。

 

 しかし、是はかなり問題のある言葉だ。

 

 アザゼルが、教会と天界は厄ネタを抱えているから和平に賛同する可能性は高いといっていたが、これのことかと納得する。

 

 なにせ聖書の神をあがめる信徒は数多い。キリスト教とだけでも二十億人を超える。解釈の誓いであるイスラム教徒やユダヤ教徒を含めれば、地球人口の約半数に届く。止めに、その多くがすんでいる国は、世界大国や石油産出国だった。

 

 この前提条件の崩壊が知れ渡れば、世界的な大混乱が発生することは想像に難しくない。

 

「嘘だ……嘘だぁ!!」

 

「真実さ。バルパーが言っていた通り、聖と魔はよほどことがない限り交じり合わない。そこの聖魔剣が証拠だ」

 

 その揺るがぬ証拠がある状況では、狼狽するゼノヴィアの否定の叫びもむなしく消える。

 

 そしてゼノヴィアはデュランダルを取り落として棒立ちになった。

 

 そして、同じぐらい衝撃を受けているものが一人。

 

「そんな……。それでは、神の愛は……」

 

 アーシア・アルジェントは、コカビエルがそれを翻すことを期待して、うつろな瞳で言葉を漏らす。

 

 これは何かの冗談だ。自分たちの混乱を生むための罠だと、心のどこかで言い聞かせて。

 

 しかし、コカビエルはそれを鼻で笑った。

 

「死んでいる奴の愛など、どうやってもあるわけがないだろう」

 

 その言葉に、アーシアは気を失いかけて崩れ落ちる。

 

 それをイッセーが慌てて支える中、コカビエルはそれすらろくに見ずにさらにしゃべり始めた。

 

 そこには、隠し事をようやく話すことができるもの特有の安心感がある。

 

 ゆえにわかる。これは真実なのだと。

 

「まあ、聖書の神は奇跡をおこなうためにシステムを作っていたから、それをミカエルたちがうまくやることで持ちこたえている。……それでも取りこぼしは増えるがな」

 

 忌々しげにだがしかし誉め言葉がコカビエルから漏れた。

 

 それはすなわち、忌々しい相手を褒めるぐらいにはセラフは信徒を救うために全力を尽くしていたということだ。

 

 そして、その事実を聞いてリアスは歯を食いしばった。

 

 聖書の神が死んでいたことは驚きだが、しかしそれはまあいい。

 

 問題は、たった一つだ。

 

「だったら! なんであなたは戦争にこだわるの!? 世界がそこまで来ているのなら、戦争なんて起こしていいわけがないでしょう!?」

 

 そうだ。最早戦争の前提条件は崩壊した。

 

 戦争を主導した四大魔王と聖書の神はすでにいない。堕天使側も、コカビエルだけが戦争再開を主導しているという。

 

 理解ができない。意味が分からない。リアスにはその理由を推察することが全くできそうになかった。

 

 そして、コカビエルはそれを不愉快な視線で見据えることで答えにする。

 

「下らん。ならばこそ、誰が世界の頂点であるかを決めるべきだろう。()()はそれには興味がないようだが、俺にとってはそっちの方が重要だ」

 

 その意味深な言葉に井草は眉を顰めるが、しかしコカビエルは気づかない。

 

 憤怒の形相を浮かべて、コカビエルはそこにいないアザゼルに怒りの感情を叩きつける。

 

「それをアザゼル共は二度目の戦争はないだと!? そして神器などという玩具の研究にいそしみやがって!! 俺がどれだけ退屈したと思っている!!」

 

 それは心の底からの怒りだった。

 

 同時に、どこまでも身勝手だった。

 

「俺は再び戦争を起こす。万が一のためのセカンドプランも用意した。それに、それを望むのは俺だけではないぞ?」

 

 リアスたちをあざけるように、コカビエルは嘲笑を浮かべる。

 

 その言葉と嘲笑に、井草は最悪の創造に思い至った。

 

「……まさか、この騒ぎは三大勢力合同で―」

 

「その通りだ」

 

 その言葉に、ゼノヴィアは今度こそ崩れ落ちた。

 

 リアスも愕然となっているのだ。すでに限界ぎりぎりだったゼノヴィアが限界を超えるのも当然だろう。

 

「おかしいとは思ってやがりました。もちろん上も」

 

 リムは歯を食いしばりながら、コカビエルをにらむ。

 

 そして、問いただすように声を飛ばす。

 

「聖剣を四つも盗めたのも、最初の討伐部隊がイリナとゼノヴィアの2人だけだったのも、教会の戦争推進派の手引きっすか!!」

 

「無論。悪魔側もここに潜入するのを手引きしてくれたぞ」

 

 その事実は衝撃的すぎた。

 

 仮にも全魔王死亡後に戦争を継続しようとした魔王の末裔たちを追放迄した現政権の中に、戦争の再会をもくろむ者がいるなど、リアスたちにとっても毒だ。

 

 その事実に誰もが震える中、コカビエルは莫大なオーラを放つ。

 

 そこにあったのは純然たる殺意と戦意だ。

 

 彼は、正真正銘本気で戦争を起そうとしているのだ。

 

「俺は一人でもやってやろう! 其のための兵器も手の内にある。そして、其れを望むのは三大勢力内部に腐るほどいる!! そう、我ら堕天使こそが至高の存在だと見せつけるのさ!!」

 

「ふざけるな!!」

 

 その言葉に、相当で怒りの言葉が叩きつけられる。

 

 静かにアーシアを横たえたイッセーが、先ほどのコカビエルに勝るとも劣らない怒りの感情を視線でたたきつける。

 

「さっきから黙って聞いてりゃ、お前のそんな身勝手な欲望のために、俺のハーレム王の夢を邪魔されてたまるか!!」

 

 その言葉は、理不尽に巻き込まれた人の特有の怒りだった。

 

「……それが望みなら、俺についてくるか? 適当にいい女を見繕ってやるが」

 

「え、マジで!?」

 

 そのコカビエルの返答に即座に霧散したが。

 

 かなりの数がずっこけるのも当然だろう。井草も本当にこけた。

 

「イッセーくん! ちょっと落ち着こうか!」

 

「イッセー! あなたは何でそう平常運転なの!?」

 

 渾身のツッコミが、井草とリアスの双方から飛び出した。

 

 それで我に返ったのか、イッセーはピンと背筋を伸ばす。

 

「すいません!! ハーレムの言葉に抗いがたい魅力を感じまして!!」

 

 流石に自分でもまずいと思ったのか、イッセーも即座に謝った。

 

 しかし素直すぎる。素直に謝れるのは美徳だが、欲望に素直すぎるのは悪徳だ。

 

 いや、堕天使や悪魔が多数を占めるこの場においては、実に場にあった人物なのかもしれないが。

 

 とにもかくにも、これで空気が微妙に弛緩された。

 

 なんというか、微妙にやる気が薄れてくる。

 

 リアスは特に荒れな気分になったのか、心底ため息をついた。

 

「……もしコカビエルを倒したのなら、好きにさせてあげるとでもいった方がいいのかしら」

 

「……吸ってもいいなら命かけます。ドライグ、代償は今度は何にすればいい!?」

 

 すさまじい勢いで食いついた。

 

 しかも、明らかにオーラ迄増大化している。すでに並の上級悪魔ならおののくレベルに迄高まっていた。

 

 之にはさすがのコカビエルも、あきれるやら関心するやら、複雑な表情を浮かべている。

 

「……女を好きにできるというだけでこの上昇率とは。お前、何者だ?」

 

 その言葉に、イッセーは強い意志を込めて腕を突き出した。

 

 その余波で校庭の隅にある木々が揺れる。衝撃波が結界にぶつかって轟音を立てる。

 

 そんな割とインパクトのあることを、バカげた冗談の鵜呑みにして成し遂げたイッセーは、心の底から己を名乗り上げる。

 

「俺は兵藤一誠! エロと熱血に生きる、最強の兵士(ポーン)になる赤龍帝だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―へえ。こんなところでお目にかかれるとはね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その叫びに返答が返るとともに、結界が粉砕された。

 

 そして白い輝きが、一瞬でその場に舞い降りる。

 

 龍を模した鎧。背中から生える光り輝く翼。そして、観る者を圧倒するオーラ。

 

 コカビエル相手に勝るとも劣らない力を放つ鎧が、この場のすべてのものの注目を集めさせた。

 

「……白い龍(アルビオン)か」

 

 苛立たし気にコカビエルはそうつぶやき、そして素早く光の槍を形成する。

 

「貴様も邪魔する気か、どこまでもアザゼルはふざけてくれる!!」

 

 遠慮なく、その槍は鎧の男に放たれる。

 

 一発一発が井草の本気に匹敵するだろう威力。それが一気に十数本。しかもすべてが人体急所を狙っている。

 

 この場の誰もを圧倒するだろう其の力に、全員が目を見張る。

 

 フリードがイーツになった上でエクスカリバーを使わなければ太刀打ちすらできないだろう。少なくとも、単独戦闘能力ならば今の井草すらまともに戦うことはできないはずだ。

 

 それだけの威力の攻撃を、しかし白い鎧は躱そうともしない。

 

 まず間違いなく死ぬ。そう確信した皆の前で、声が響く。

 

『あの程度ではな』

 

 其の声は、イッセーの赤龍帝の籠手から響いた。

 

 おそらくは、其の声の主こそがドライグなのだろう。かつて三大勢力の戦争に介入し、神器に封印されたウェールズの赤き龍。二天龍の片割れである、主神にも匹敵する存在だ。

 

 其の声の主の余裕の発言に応えるかのように、白い鎧から音が響く。

 

『Divide!』

 

 その音と共に光の槍は一瞬で弱体化する。

 

 そして鎧にぶつかるが、それは傷一つつけることなく砕け散った。

 

「俺相手に手抜きができると思ったのか、コカビエル」

 

「チッ! 相も変わらず忌々しい神滅具だ」

 

 余裕の声を出す白い鎧に、コカビエルは苛立たし気に顔をゆがめる。

 

 コカビエルの圧倒的な力も驚きだが、しかしそれを意にも介さなかった白い鎧も恐ろしい。

 

 今ここに、神話の戦いが繰り広げられようとしている。

 

「……たしか、ヴァーリとか言ったっけ」

 

 井草は顔合わせをしたことがあるような内容なそのものの名前を記憶から引き出した。

 

 詳しいことは井草も知らない。だが、あのアザゼルの秘蔵っこにして、ある意味悪魔にとって重要極まりない人物でもある。

 

 それを伝えるとややこしいことになるので避けるが、然しこの場における最強戦力の片割れなのは間違いない。

 

「やあ、井草・ダウンフォールだったか。時間稼ぎご苦労」

 

「まあね。あとは任せていいのかい?」

 

 明らかに能力を下に見ている言葉が飛んできたが、井草は意にも介さない。

 

 上級堕天使と人間の混血である自分が、彼より格下なのは間違いない。

 

 あらゆる意味で彼の方が自分より格上だとわかっているので、気にする方が問題だとすら思う。

 

 自分ごときが彼と並び立てるなど考えてもいない。それが上級と最上級の間にあるとても高い壁であった。

 

『覚えておけ相棒。白いのは敵の力を半減しておのれのものとする。どうやら、この勝負はもう決まったようなものだぞ』

 

「え、マジで!? 俺のおっぱいは!?」

 

 ドライグの言葉にイッセーが愕然となる。

 

 だが、勝負がもう決まったという事実ではなく、ご褒美がもらえないということにショックを受けるのはいかがなものか。

 

 やはりイッセーは煩悩に忠実すぎる。抑えを聞かせておいてよかったと、井草は心から思った。

 

 このままほおっておけば、落ちてはいけないところまで落ちてしまったかもしれない。それだけはどうしても見過ごせなかった。

 

 自分と同じところにまで落ちてくるなど、黙ってみていられるわけもない。

 

 何とか押し上げることができたことに、井草はない心でほっとする。

 

 その合間にも、コカビエルはヴァーリに劣勢に追い込まれていた。

 

 すでに大幅に半減を受けており、コカビエルの戦闘能力は上級の下にまで落ち込んでいる。その分だけヴァーリは強化されており、実力差はどんどん開く一方だった。

 

「おのれぇ! この、俺が……っ」

 

「三流のセリフだな。そんなつまらない奴だから、アザゼルにいいように利用されるんだ」

 

 ヴァーリはそう冷たく言い放つと、さらに追撃を叩き込み、地面にたたきつける。

 

 その余波で校庭に大きなクレーターが生み出された。そしてコカビエルを血を吐いた。

 

 ヴァーリはそれを詰まらなさそうに見ると、拳に力を籠める。

 

「そろそろ終わるか」

 

「糞が! この俺が、この俺が……っ」

 

 悔し気なコカビエルは急降下してくるヴァーリをにらみつけ―

 

「……こんな玩具(おもちゃ)に頼ることになるとはな」

 

 ―勝利を確信して嗤った。

 

『タリスマン!』

 

 その合成音声と共に、コカビエルが怪人へと変貌する。

 

 その瞬間、ヴァーリを除く意識のある全員がイーツになったことを確信した。

 

 フリードとバルパーがイーツである以上、コカビエルがイーツになることは想定できた。あまりの強さにそれが抜け落ちていただけだ。

 

「下らん。そんな玩具で何ができる」

 

 ヴァーリは一切気にすることなく、拳を振り下ろし―

 

「―お前を倒すことはできる」

 

 ―それを意に介さず放たれたコカビエルの拳を叩き込まれ、宙に打ち上げられた。

 




いつからコカビエルが魔改造されてないと錯覚していた?

因みにニングとリムは聖書の神の死について知っています。プルガトリオ機関はその特殊な立ち位置上、あえて知らされているメンバーも多いのです。

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