混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
そして会談当日、井草は正直居心地が悪かった。
自分なんかがこのような大それた場所に立つ事もそうだ。へまをするかもしれないので、色々と緊張感漂うだろう場所にいるのはそれだけで思う所がある。
それに、付き合いが長いのである程度気心の知れたアザゼルはともかく、近くにいるヴァーリが気になる。
アザゼル曰く「史上最強の白龍皇になる男」だそうだが、アザゼルを挟んで自分が隣に立つ事が、とても場違いに思えてしまう。
それに―
「……」
無言で笑顔を向けてくるニングに対しても、思うところはある。
一応和平を結ぶつもりではあるが、それにしたって今は問題だろう。
もう少し緊張感を持つべきだと思うのだが、ニングは割と自然体でミカエルの後ろに立っていた。
「ほほぅ」
そしてリムもまた、そんなニングと自分を見てにやにやと笑っている。
そして視線がアザゼルと繋がると―
「「……っ」」
二人してサムズアップをするのは勘弁してほしいものだ。
「さて、そろそろ緊張感を持つべきだぞ。ミカエル様に失礼が無いようにな」
「「はっ!」」
ヤーロウがとりあえずたしなめ、それに反応して二人とも背筋を伸ばして直立不動の体制になる。
その対応に、彼らの前で座っている男性が苦笑した。
彼こそが、聖書の神亡き今展開をまとめ上げるセラフのリーダー。熾天使ミカエルである。
「そこ迄緊張しなくても構いません。サーゼクスもアザゼルも、この場で争うような真似はしませんよ」
「いえ。一応TPOは弁える必要がありますので」
ミカエルにそう返答するヤーロウだが、しかし表情は柔らかい。
とりあえず警戒はしているが、しかしこの場で三大勢力の三つ巴の戦闘になる事も考えて内容だった。
まあ、当然といえば当然だ。
天使側が何を考えているか分からないが、悪魔側と堕天使側は事を積極的に起こす気はないと推測する事は容易だ。
この駒王町は悪魔側の縄張りだ。そんなところで悪魔側が問題行動を起こすのは避けたがる。
堕天使側はコカビエルの暴走に積極的に対応した。ゆえに、今の状況を悪化させる事は考えづらい。
そういう意味では天使と教会が一番の警戒対象だ。
善と正義を展開する側である為、逆に一番暴走しやすいともいえる。人間、正義が自分にあると妄信した手合いほどリミッターが外れるものなのだから。
だが、その天使・教会側が落ち着いているのなら、この会談が物別れに終わったとしてもいきなり殺し合いにはならないだろう。
ならないとは……思うのだが……。
「……総督。外、ここよりピリピリしてませんか?」
外で警備をしている者達の睨み合いを見ていると、問題が起きそうで怖い井草である。
「ま、長年睨み合ってきた連中同士が顔を突っつき合わせるんだからそうなるだろうよ」
「その通りです。まあ、こちらで何か問題でも起きない限りは動かない人物を選んでますので、ご安心ください」
「最悪の場合、手を出した陣営をその陣営の長が処罰すれば示しはつく。落ち着いてくれて大丈夫だ」
などと三大勢力のトップが行ってくるが、自分如きには到達できない境地な気がする。
「まあ、俺としてはそうなってくれた方が面白いんだけどな」
「ちょっと黙っててくれないかな、白龍皇」
この男を真っ先に倒すべきかもしれないと思い始めてきた。
とは言え、現状実力差は大きく開いている。今ここで揉めても勝てる可能性はごく僅かだ。黙って見ている他ない。
などと不安がっていると、ノックの音がした。
「失礼します」
そして、リアス達が姿を現した。
……ここから、会談が始まる。
三大勢力の戦争の行く末。ひいては、堕天使の未来を駆けた会談が始まろうとしていた。
結論から言うと、井草はとても疲れた。
会談自体はスムーズに進んだのだ。サーゼクス・ルシファーやセラフォルー・レヴィアタンの後ろで緊張していたリアス達も、少し肩透かしを食らっている印象があった。
「やはり、我々としてはこういう方向性で行きたいのだ」
「それはかまいません。こちらとしてもその辺りの意見は統一しています」
「それは良かったのねん。これは平和的にいきそうだわ」
などと、ルシファーやミカエルやレヴィアタンは和やかに会話していると言ってもいい。
会談そのものは終始平和的なムードで進んでいる。
どうやらどこの勢力も、これ以上戦争を継続する意思がないらしい。
「……ま、俺らはその辺どうでもいいんだがあ痛っ!?」
時々からかい半分でアザゼルが引っ掻き回すが、その場で井草が後頭部を叩きのめして黙らせている。
「
「いや。彼がそう言う人物なのは知っているから安心したまえ」
「そうです。貴方もそんな人の下で苦労しているでしょう」
「駒が余ってる子を紹介するのよん?」
真剣に謝罪していると、三人とも穏やかな言葉で励ましてくれる。
それはとてもありがたいが、とても絶えられない。
「そんな!? 俺なんかの為にそんな優しい言葉を投げかけるだなんて!! そういうのはもっとこう、立派な人に!!」
「……アザゼル、彼はいつもこうなのですか?」
「悪い。全然治らなくてなぁ」
アザゼルが同情された。解せぬ。
とにかくそんな調子で会議は進み、そしてコカビエルの暴走についての話についに進んだ。
その報告そのものはリアスが担当した。そもそもこの駒王町は悪魔の縄張りだからだ。その担当官であるリアスが報告するのは当たり前である。
ちなみに、リアスが終始イッセーの手を握っていた事については大半が微笑ましい気持ちになっていたが、当人達は全く気付いていなかった。
「……以上で、報告を終わります」
「ご苦労様。もう座っていいよ、リアス」
サーゼクスの労りの言葉に、リアスは小さく息を吐いて席に戻る。
そして、視線がアザゼルへと向けられた。
「今回の件、アザゼルとしては何か補足する事はあるかね?」
これはある意味で糾弾ともとれる。
なにせ今回の件、堕天使側の監督不行き届きであると言われれば反論できない。少なくとも、コカビエルを抑えきれなかった事は責任問題だろう。
ゆえにその反応で推しはかろうとしているのだろう。流石は魔王である。
井草としては気が気でない。
なんとしても自分を生贄にしのいでほしいと願い―
「いんや何も。強いて言うなら井草は頑張ったから、そこは褒めてくれや」
思わず踵を叩き込んだ自分は悪くないと思う。
「何を言っているんですか!? そこは俺を生贄にして首脳陣の保身を図るところでしょう!? 俺なんかの弁護をしている暇がありますか!!」
心の底から全力でツッコミを叩き込んだ。
状況を把握しているのか真剣に考え始める。真剣に組織を抜けた方がいいのではないかと警鐘を脳内で鳴らすぐらいにはツッコミを入れたかった。
しかし、何故か視線は自分に向けられた。
それも同情ではなく「お前何考えてんの?」的なそれである。解せぬ。
「……アザゼル。彼はいつもそうなのですか?」
「そうなんだよ。俺も苦労してる」
何故かアザゼルが同情されている。解せぬ。
「……申し訳ありせん魔王様。彼、どうも自己評価が低いというか自分を卑下する癖があるというか……」
「リアスちゃんも苦労してるのねん。なんか、かわいそうな子が監視役なんだ」
リアスを慰めるセラフォルーの言葉は、井草にとって救いの光だった。
思わず涙目で跪いた。もちろんセラフォルーに向かって。
「ようやく、ようやく僕の価値を理解してくれる人がいてくれた……っ! 思わず下僕になりたい!!」
心の底から敬意を表するが、何故かセラフォルーからはドンビキの視線が叩きつけられる。
明らかに引いていた。
「……すまんセラフォルー。こいつを連れてきたのは俺の失敗だった」
「貴方も苦労してるのねん、アザゼルちゃん」
何故かアザゼルが同情された。解せぬ。
「まあ、とりあえず俺らの方針としては和平一択だ。つーかイーツ絡みで余計な疑いが向けられそうなんで助けてくれねえか?」
明らかに人に助けを求める口調ではないが、それはスルーする。
むしろそれを待っていたといわんばかりに、サーゼクスもセラフォルーもミカエルも頷いた。
「……まあ、それについては言うと思ってたのよ。イーツを生み出したのがアザゼルちゃんじゃない事は読めてたわん」
セラフォルーはそういうと、すぐに資料を展開する。
そこには、いくつものイーツと思わしき存在の姿と、それに変身した思われる人物の写真が写っていた。
そこに映っているのは、悪魔だった。
「堕天使と全く関わりようがないところで、悪魔によるイーツ変身者が確保されてるわん。他にも、無秩序に各神話勢力にもイーツ変身者による事件が起きている。……各勢力のトップがするような真似じゃないわねん。よくて末端の暴走よ」
その資料と情報には、井草も面食らった。
人間世界や一部の堕天使に行き渡っているだけだと思っていたイーツだが、まさか既に三大勢力だけでなく他の神話勢力にまで広まっているとは思わなかった。
そして、其の中でも数少ない異形側が使用している堕天使陣営は、かなり追い詰められているといってもいい。
これは和平関係においてどれだけ足元を見られるか……と井草は覚悟し―
「そういうわけだから和平は賛成なのよん。このままいったら悪魔も共倒れだし、ちょうどいいと思うわ」
と、あっさり言ってきたセラフォルーに面食らった。
確かに和平望むところなのは嬉しいが、もう少し吹っ掛けられるタイミングではあった。少なくとも、彼らにとっての好条件を強引に獲得する事は出来ただろう。
にも関わらずそれをしようとしなかった。
「セラフォルーの発言は4大魔王の総意でもある。ここで足元を見て利権を吹っ掛ける事もできるが、加減を間違えて戦争再開の愚を犯すよりも、先ず和平を結ぶ事が先決という事で意見は一致したよ」
サーゼクスもそう言いながら、ほがらかな笑みを浮かべる。
少なくとも井草には、そこに悪意や裏の算段を感じる事は出来なかった。
「悪魔も堕天使もこの世界に生きる種族だ。甘い発言と旧家には言われるだろうが、私としては種族が一つ滅びる事を望まないしね」
そういうと、サーゼクスは視線をミカエルに向ける。
ミカエルの判断を探るつもりなのだろうが、ミカエルもまた苦笑と共に頷いた。
もちろんこの状況下で天使が和平を却下しても、冥界が一枚岩になることで状況は不利になる。しかも聖書の神の死という約ネタまであるのだ。戦争を仕掛けても大打撃を受けるリスクが大きすぎる。
しかし、ミカエルの表情もそれとは別の感覚だった。
井草はふと気が付いた。
あ、この人達全員お人好しだ。
「もとよりこちらも和平を結ぶつもりです。そもそも、天使の私が言うことではありませんが戦争の先導者である先代魔王と聖書の神は死んでいるのですから」
その言葉に、アザゼルは吹き出した。
「おいおい。いくら聖書の神のシステムを掌握してるからって、そんな堕ちかねない発言するか、普通」
皮肉とも挑発ともとれる発言だが、ミカエルは慣れたものなのか平然としている。
「亡くなったものに縋り続けることよりも、主の子供らを導き慈しむ事が先決だと、こちらもセラフ全体で結論しました。こちらのヤーロウ達プルガトリオ機関も、同意見なので直営として連れてきたのですから」
その言葉に、ヤーロウは静かに頷いた。
「私達大人はともかく、プルガトリオ機関にはそこしか居場所のない子供達もいます。その立場ゆえに望まずとも荒事に投入する他ない子供達に、それ以外の居場所を用意できるならそれに越したことはないと判断しました」
「確かにな。三大勢力で和平を結んで、神器研究を活発化させりゃぁ、俺らで抱えたりしている神器持ちも待遇をよくできるしな」
「同意見だ。我々も一部の心無い悪魔に酷使される神器使いなどに権利を与えやすくなる、ぜひとも協力したいところだ」
ヤーロウの意見に、アザゼルもサーゼクスも好意的な反応を見せる。
実際、神器使いの扱いは何処の勢力も困っているのが実情だ。
天界や教会は、一部の神器使いを冷遇する事になっている。プルガトリオ機関という受け皿はあるが、アーシアの事や先程のヤーロウの発言からすると、問題もまだまだあるらしい。
悪魔側も、転生悪魔制度を悪用して強引に下僕にしているケースがある。それを阻止したくても、以下に魔王といえど若輩者でしかないサーゼクス達では中々上手くいかないのが現状だ。
堕天使側でも、扱いがピーキーな神器使いを殺す事は必要な事であり、それを打開するにはより高レベルに技術発展が必要だ。それに、保護したとしても敵対組織が多い都合上、組織に属したくない者をそのまま野放しにするわけにもいかなかった。
三大勢力で和平が結ばれるだけでも、大きく状況は改善する。
そして、三大勢力のトップ達は皆それを望んでいた。
「……なんでこんなお人好しの群れなのに、今まで冷戦状態が続いていたんですか?」
「そりゃお前、きっかけがないと動けない連中なんていくらでもいるだろうが」
つい出てきた井草の言葉に、アザゼルがツッコミを入れる。
それがきっかけになったのか、全員がぷっと噴出した。
ぶっちゃけ便利すぎるプルガトリオ機関。イレギュラーズでも出しましたが、ケイオスワールドでも出す予定だったり