混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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さて、ついに禍の団が動き出します!


7話

 

 井草は気づいた時にはイーツになっていた。

 

 そして、周りを見ると三分の一ぐらいが固まっている。

 

 確かに、いきなりイーツになってしまったら驚くだろう。思わず硬直してもおかしくないかもしれない。

 

 だが、自分がイーツになる姿を見てきたはずの朱乃や小猫が固まるのはどうだろうか。ちょっと残念な気分になり、井草は自嘲する。

 

 今更自分にそんな事を思う資格はない。なのに、そんな事を思ってしまうのは暖かい場所にいて甘くなったからかもしれない。

 

 そう、いつものごとく自己嫌悪を行いながら、井草はしかし違和感に気づく。

 

 硬直というより、本当に固まっている。

 

 精神的動揺による硬直ではない。これは、本当に物理的に硬直している。反応が全くないのだ。

 

 イッセーですら固まったまま動かない。他にも、72柱の直系であるソーナですら動きを止めていた。

 

「これは……」

 

「なるほど。これがイーツですか」

 

 そう感心するミカエルの声に、井草は振り向いた。

 

 何時の間にか、動ける者達は全員が外を見ている。それどころかピスすらこっちに来ていた。

 

「それでぇ、とりあえずどうしますぅ?」

 

「ああ、とにかく今は結界を張る事に集中しねえとな」

 

「いや、何があったんですか?」

 

 二人して何なのか分かっている上司と義姉に、井草はとりあえず状況を把握しようと会話に割って入る。

 

 全く状況が分からない。

 

 いや、おそらく和平阻止を目的とした過激派の行動なのは読めている。だが、手段が分からない。

 

 時間干渉を使うにしても、こんなものは強大すぎる。普通の方法ではできないはずだ。

 

 しかも視線を外に向けてみれば、護衛部隊の殆どが時間を停止させれていた。

 

 規模があまりにも大きすぎる。こんなもの、魔王クラスが時間停止に特化していなければ不可能だ。

 

 時間干渉ができるといえば、悪魔ではアガレス家が有名だ。しかしそれでも出力が足りないだろう。そもそもアガレス家は現四大魔王にしたがっているから理由がない。勝ち目もない事は理解しているはずだ。

 

 と、思ったその時だ。ガタンという音が聞こえた。

 

「あ、あれ?」

 

「イッセー!」

 

 突然動き出したイッセーに、井草はとっさに声をかける。

 

 そしてイッセーはイッセーで、イーツ化している井草を見て目を見開いた。

 

「何でいきなり変身してるんですか!? っていうかあれ? 朱乃さんにアーシアに小猫に会長達が……ってこれ、ギャスパーの時間停止!?」

 

 そのイッセーの反応に、井草はふと気づいた。

 

 井草自身は積極的に関わる事を避けていたが、確かリアスの眷属であるギャスパーが時間停止の神器を持っていたはずだ。

 

 これは、おそらくそれによるものだと思われた。

 

「総督! 義姉さん!! これは一体どういう事ですか!?」

 

「テロだ」

 

 即答だった。

 

 一瞬、何がどういうことなのかよく分からなかった。

 

 テロ。正式にはテロリズムの略称で、単純に言えば殺害を前提とする大規模な暴力で物事を解決しようとする行動全般。

 

 それが、起きている。

 

「テテテテテ、テロぉおおおおおおお!?」

 

 全力でイッセーが驚愕していたが、気持ちは分かる。

 

 荒事に巻き込まれるようになってから日が浅いイッセーに、いきなりのテロは刺激が強いだろう。

 

 とは言え、井草からすればなるほどとは思う事だ。

 

「まあ確かに言われてみれば、コカビエルに便乗して戦争再開しようとした三大勢力のタカ派が、和平会談なんて成立させたがるわけないですよね」

 

「確かにそうだけど、ギャスパーと同じ力が働いているの!? まさか、テロリストにも停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)の使い手が?」

 

 リアスの言葉はもっともだろう。

 

 彼女は眷属を信頼している。ギャスパーとは付き合いも長い部類だろう。

 

 ギャスパーが停止を行うなどとは露ほどにも考えていないのだ。

 

 そして、それはある意味ではあっているがある意味では間違っている。

 

「いや、おそらくだがあのハーフヴァンパイアの小僧の神器が使われてるな」

 

 はっきりと、アザゼルはそう言い切った。

 

「………アザゼル総督? 如何に和平が結ばれる寸前とは言え、私の眷属を侮辱して、黙っていられると―」

 

「勘違いすんな。何もあのガキンチョが自分からやってるなんて言ってねえよ」

 

 一瞬で沸点に達しかけたリアスを宥めながら、アザゼルは旧校舎の方に視線を向ける。

 

「おそらくだが、あの坊主の情報を知ったテロリスト共が、坊主を捕らえて無理やり神器を暴走させてるんだろうな。その所為で周囲の護衛連中がピス以外全員停止されたって寸法だ」

 

 そう言いながら、アザゼルは怪訝な表情を浮かべる。

 

「だがなんで仕掛けてこねえ? このまま時間をかければ俺らを停止する事も可能かもしれねえが、それにしたって足止めぐらい必要だろうによ」

 

「そうですね。これが戦闘中なら、無理に脱出を試みて街に被害を出すわけにもいかないので牽制になりますが、何もないのならとりあえず脱出するという手段も取れます」

 

 ミカエルも同意を示しなか、井草はどうしたものかと考える。

 

 この不自然な行動に、何か薄ら寒いものを感じてしまう。

 

 何かとは言えない。だが、何か嫌な予感がする。

 

 誰もがそれを察しているのか、動けない中、声が響いた。

 

「……待ってください! ギャスパーが敵に捕まってるなら、先ずギャスパーを助け出すのが先でしょう!!」

 

 そのイッセーの声に、動ける全員の視線が集まる。

 

 そしてそれに気圧される事なく、イッセーは強い視線を向ける。

 

「そりゃギャスパーも俺も下っ端ですけど、俺はギャスパーの仲間です。助けに行かせてください!!」

 

「……そうね。イッセーの言う通りだわ」

 

 その言葉にリアスは微笑を浮かべ、サーゼクスに向き直る。

 

「魔王様。我が眷属が敵に利用されているというのなら、私がそれを打倒します。眷属を守るのも主の務めですわ」

 

「それはかまわない。だが、流石に結界は敷かれているだろう。無造作に外に出るわけにはいかないし、転移の妨害もされているだろうがどうするのかね?」

 

 サーゼクスの試すような物言いに、リアスは動じる事なくまっすぐに視線を向ける。

 

「旧校舎には未使用の戦車(ルーク)の駒が残ってますわ。それを使ってキャスリングを行い、私自ら助けに参ります」

 

 キャスリング。それはチェスにあるシステムだ。

 

 キングとルークの駒を入れ替えるという特殊なルール。本来ならキングを安全圏に移動させる為に使用するのが基本だ。

 

 しかし、だからこそ攻め手に使うという発想は薄いだろう。敵が警戒していたとしても、盲点である可能性は高い。

 

「いい手だ。だが王を一人だけというわけにはいかないな。……グレイフィア、どうにかできるかね?」

 

「我々が術式を調整すれば、もう一人は送り込めるはずです」

 

 即座に術式に当たりをつけ、サーゼクスの女王であるグレイフィアは術式を調整する。

 

 そして、問題は―

 

「なら、私が行くわぁ。この中で動きやすくて一番強いのは、私でしょぉ、総督?」

 

 ―誰が行くのかも、普通ならそうだろう。

 

 いくらなんでもトップが動くわけにはいかないだろう。そして、その中で強い者が行くのが普通でもある。

 

 そういう意味でなら、井草からすれば納得の人選だ。

 

 ヴァーリに視線を向けるが、明らかに乗り気でないのは明白だ。ならピスが出張るのが一番確実。彼女の戦闘能力なら、最上級クラスが万人だとしても勝ちの目はある。

 

「だったら俺が囮になりますよ。一人ぐらい外から仕掛けた方が、相手も引っかかるんじゃ―」

 

「待ってください!!」

 

 井草がナチュラルに自ら囮になろうと言い出したその時、イッセーが声を荒げる。

 

 それに再び視線が集まり、イッセーは再びまっすぐに皆を見ながら声を上げる。

 

「ギャスパーは俺の後輩です!! いくなら、俺が行きます!!」

 

「……別にいいけどぉ、貴方達が失敗するとこっちは荒っぽい手段に出るしかないわよぉ?」

 

 ピスがそう言うと同時に、ヴァーリは焦れたのか外に向けていた視線を前に向ける。

 

「いっそのこと、俺が旧校舎ごとそのハーフヴァンパイアを吹き飛ばしてもいいぞ? それが一番確実で手っ取り早い」

 

「ヴァーリ。そういうことを許可なく言うのはどうかと思うよ?」

 

 イッセーが憤るより早く、井草はじろりとヴァーリを睨む。

 

 それを涼し気に受け流しながら、ヴァーリは肩をすくめた。

 

「いい加減退屈なんだよ。テロリストも、来るならさっさと本命を投入すればいいものを」

 

「落ち着けよ。最悪そうするが、和平前に余計な揉め事は作りたくないんでな」

 

 ヴァーリをそうたしなめながら、アザゼルは懐に手を入れる。

 

 そして、そこから二つのリングを取り出した。

 

「おい、赤龍帝」

 

「兵藤一誠だ!」

 

「なら兵藤一誠。ハーフヴァンパイアを助けたらこれを付けろ。それでこの停止現象は止まるはずだ」

 

 そう言いながら渡してきた二つのリングを受け取りながら、イッセーは首を傾げる。

 

「二つあるぞ?」

 

「もう一つはお前がつけろ。いざという時にそれが禁手の代償になってくれるさ」

 

 そう言うと、アザゼルはため息をつきながら外に視線を向ける。

 

「しかしこのタイミング。仕掛けてきたのは奴らかねぇ?」

 

「かもしれないですねぇ」

 

 と、ピスも同意のため息をつく。

 

「あの義姉さん? 何か心当たりでも?」

 

「まあねぇ? ちょっと諜報部がサタナエル様がやらかした残り火を見つけちゃってねぇ」

 

 凄まじく嫌な予感を井草は覚えた。

 

 これは、絶対にややこしい事が起きている。

 

「……アザゼル。和平前に不穏な事を言わないでくれ。何かあるのなら今ここで説明してほしい」

 

「そうだな。ついでにここで説明しとくか」

 

 サーゼクスに促され、アザゼルはぼりぼりと頭をかきながらも説明する気になった。

 

「うちのサタナエルがそっちのメフィスト・フェレスんところの離反者や五代宗家のはぐれ者と大騒ぎを起こした事があったんだが、そいつらが他にもいろんな勢力のはぐれ者をかき集めてテロ組織を立ち上げようとしてたみたいなんだよ。で、それがサタナエル亡き後も独り歩きして最近でかい勢力になってきてる」

 

 ……凄まじく嫌な予感がしてくる内容だった。

 

 そして、それを後押しするようにアザゼルは嫌そうに外を見る。

 

「おそらく、今回のテロを起こしたのはそいつらだ」

 

「サーゼクスちゃん。それ、シャルバ達も関わってるんじゃないかしら?」

 

「あり得るな……」

 

 心当たりがあるのか、セラフォルーもサーゼクスも苦い顔をする。

 

 実際、コカビエルと共に裏で動いていた開戦派の行方も知れない。もしかするとコカビエル達が逃げ込んだのがそこの可能性もある。

 

「ゾッとしない話ですね。それで、その組織の名前は?」

 

禍の団(カオス・ブリゲート)。名前の通りに禍を世界にもたらそうってんだから、分かりやすいだろ?」

 

 ミカエルにそう答えながら、アザゼルは更に肩を竦める。

 

「なによりやばいのは、そのトップに据えられたのがこの世界最強のドラゴンだって事だ」

 

「「「っ!?」」」

 

 その言葉に、ただでさえ気色ばんでいたサーゼクスたち首脳陣の顔色が一気に変わる。

 

 そこに映っているのは、明らかな驚愕だった。

 

「まさか、彼が……?」

 

「ちょっとちょっと、それってまずくない!?」

 

 ミカエルとセラフォルーが額に汗すら浮かべる中、サーゼクスは瞠目する。

 

無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス。……彼が世界に対して悪意を持ったというのか……っ」

 

「え? あの、オーフィスって……?」

 

 よく分かっていないイッセーが尋ねようとした、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ええ。禍の団の盟主はそのオーフィスです』

 

『もっとも、奴は所詮飾りでしかないがな』

 

 其の声と共に、魔方陣が浮かび上がった。

 




そして次の話で、本作のオリジナル敵勢力も登場します!! イーツ関係に関しても、この章で一気に情報が開示されるのでお楽しみに!!
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